すべてのおすすめ
僕は水色のグライダーではなく
鳥の中でも一番ありふれた
雀やカラスでもなくて
ひばりのように高く
カモメのように鮮やかに
はばたきたいと
願う
風に乗り
....
「ママ!ママぁ!」
真夜中私を激しく呼ぶ声の元に行き
いつも通り右手を差し出すと
大事なお人形を愛でるかのように
それを自分の胸の前でぎゅっと抱き締め
再びすやすやと寝息をたて始める
....
雪がふる雪がふる
音もなくふりつもる
蝉たちは土の中
耳を傾け夏をまつ
あの日の麦わら帽子は
いまも埋もれてい ....
埃だらけのコンクリートに影を焦げつかせ、
立っているひとりぼっちの後ろ姿を見つける
のに君がずいぶん手間取ったのは、二歳の子
には高すぎる太い鉄柵がちょうど君の視界を
遮り、そこからコンクリ ....
あなたとわたしは一膳の箸でした
年を経た槐の木から
それはそれは丁寧につくられて
生まれたのでしたね
ある朝 ....
言葉、とは
不思議なものだ
スリッパだと覚えれば
スリッパ以外の
なにものでもなくなる
寒い冬
人の足をあたためて
踏みつけられているくせに
そのいでたちは
ほんのり可笑しみを含 ....
主婦が三日寝込んだだけで
高く高く それは高く
見事に築き上げられた
お皿の山
洗濯物の山
子供が引っ張り出したガラクタの山
塵・埃・ゴミの山…
実家を離れて初めて知った
美味しい ....
書き散らかした
言葉のきれはしを集めて
布団にしていたけれど
とうとう
足の踏み場もないほどになってしまったので
優しく重ねて
クリップで留めておく
クリップが
あなたの詩集だよ、 ....
夜の天幕はマグネット
キミが蹴ったつまらない石ころを
引き寄せて
星にすりかえる
朝が来るまで
せめて忘れたふりしてる
自分が永遠に満たされることのない
闇であることを
さみし ....
その金曜日の午後
いつものように黄色いスクールバスから降りてきた
娘達の笑顔を確認してから
思い切り抱き締める
「ねえ、ねえ、今日学校でこれを描いたんだよ」
私の腕を振り切る勢いで バックパ ....
今日も待ち針を刺す
心の縁に
ずれないように
歪まないように
一針一針
ゆっくりと
ただまっすぐに縫いたいだけ
私の心の裏側に
注意深く
ちくりちくりと
針を刺す
明日は真っ直ぐ ....
詩は傷みです
あなたとわたしの間で
血が流れるように
空白を引き裂いた文字です
詩は苦しみです
あなたとわたしが共に
吐き続けたように
空白に汚れたままに散らかした ....
1.ゆきんこちゃん
段ボールに書かれた 真っ赤に書かれたクレヨンの暖炉の炎には
ぱちぱちと
もえる友情が燃えていた
おともだちの ゆきんこちゃんは 五年生で
なふだにも ....
今が 日付を一歩跨いだのか
時が 向かい風のようなのか
昨夜から
今朝へ
光が溢れ
新雪積もって白紙に戻り
一文字人文字人間が
寒い眠いと起き出して
....
己が一番美しい時に
化粧を覚えた少女は
素の顔を誰にも見せぬまま
女となり
老女となり
やがて
横たわる冷たい屍となる
その顔に
再び恭しく施される
化の粧
唇に置かれた紅 ....
青く開いた空の深みから
一つ また一つ
無言の頷きのように
頬に
建物に
大地に寄せられる
ふわりと白い口づけ
それは
氷柱のように尖らせて行く
生ぬるい毎日の中で肥大した妄想を ....
私は亀ちゃんを生んだ
亀ちゃんとは本人の前では決して使わないあだ名
亀ちゃんは本当にゆっくり成長していく
初めて歯が生えたのは一歳三カ月
初めて歩いたのは一歳八カ月
二歳になって ....
心のなかに埋まっている この磁石が
引き寄せる
たとえばそれが砂漠に転がっている石ころだろうとも
たとえばそれが海を漂う明日をも知れぬ泡だろうとも
たとえばそれが誰も見向きもしないような ....
トンボになって飛んでいた。
桜の木もすっかり葉を落とすころ。
トンボの翅はなにも思考せずに
ただ
トンボのこれからを ひたすら羽ばたいていた。
大きなビルの大きな木陰で
すこしばかりの ....
さよなら
と言いながらつむじ風
くるりと巻いて
さよなら
ともう一度
こんにちは
とは言わないで
何度も
何度も
さよなら
止まらない銀河鉄道
開かない窓からアンドロ ....
春に生まれた掌が
今 燃えている
血管に赤い血をめぐらせて
秋の沸点はとても低い
燃え尽きたあと
何もつかめないまま
地に落ちる たったひとつの
例外もなく
執着もなく
燃え ....
美しさがある見えない糸の整列にあるなら
その糸の端っこをちょっと引っ張ってみたい
その僅かなゆるみが美しさを引き立てるのだろうか
謎解きが残された人生が美しいように
言い切らない余韻も ....
海に心を映してみれば
おんなじだよと
波がいう
満ち足りぬ
満ち足りる
くりかえす
やさしい
さざ波
想いの珠がふくらんだり、しぼんだり
どっくん どっくん 鼓動する
あたいは、生きる
目を見て
と言われる
視覚優位の
人体の脳
脳の統制は
ある種の幻想
見るためには
もはや目を開かない
涙のためにだけ
目を開閉する
耳で聞 ....
「借り物は、持ち物以上に大切に。」
子供の頃
そう叱られました。
週に1・2回
ハンドルを磨き
フロントガラスを磨き
付属ミラーを全て磨き
(事故を、起こし ....
「コルセットを巻くのは、抱き締められる事が無いから。。」
走りながら呼吸を止めて
無心になるのを待つ。。
泣キ出シテカラデハ/何モカモヲ/壊シテシマイソウデ
「背中に、両腕を ....
下を向いていることが なにより好き
下しか見えないから 当たり前
もっと前を見つめて 天を仰ぎみて
大きく羽ばたき
大きく羽ばたき
うん そのあと どうする ....
母の作る
遠足のお弁当
いつでもそこには
りんごのうさぎ
黄色い躯体に
赤い耳
役に立たない耳の端(は)を
世界に
ぴん、とそばだてて
ああ
君がい ....
あの丘の上に登れば
何かが見えてくるような気がしている
ただ思考を記録するのだった
いつかくる明日の為に
ああ ああ 拍動
そして雲は流れていった
飛ぶように風
私の時は未 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99