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タランは耳が無い
タランは聞きたくない音が多すぎて
耳がなくなるように進化した
タランは子を産めない
タランは子供なんていらなかったから
子供なんて産めな ....
今日もまた水平に生きてしまった
床に零れた水のように
だらりと二次元に広がる憂鬱
その中で私は
音楽のような殺意を胸に秘めて日常に微笑む
空に観察されている
私は何者でもない
冬の山 ....
もう 帰りたくなってきたんだ
雲の 始まりのところへ
僕は こんな草原に一人でいると
どこに帰ればいいのか 本当にわからなくて
山の 上の方まで 伸びた雲の裾野を追って
歩いていくん ....
物理的にいうと
今現在あなたとの距離は
約10センチメートル
ここは
広大な宇宙の拡がりと
気の遠くなるような長い時間の交差点
次の瞬間!
あなたは
もう二度と
わたしの手の ....
風が吹いて、あたし
かんたんに飛ばされてしまう
未完成な結晶のすがた、まだ
花にはなれない
舞い上がって、遠いところへ
行ってしまうなら、
今がいいと、思ったの ....
空を
どこまでも飛んでみるということを
振り返った視線の、端のほうの夢の中
ほんの少しの香りで、漂っている
今、この辺りで
いつのまにか、梯子がなくなっている
あの木の ....
全てを量る僕のものさし
あなたのものさしと違うものさし
あの娘もまた違うものさしを持っているよ
自分のものさしで量ったのと違うからって怒らないで
僕のものさしでは量りきれないこ ....
畳の上で死にたいとは思わない
むしろ畳の下敷きになって
老人ホームにも行かないで
遠く遠のく意識の果てで
頑固ジジイと罵られ
諦めながら死んでいく
そんなカッコつけた
馬鹿げた死に方
....
出勤途中
春の雨が降り始める
傘をさしながら
自転車でこぎ急ぐ
信号待ちの時ふと気付く
この雨が一日一日春を呼び
急に芽吹き出した緑の木の下
緑のカッパを着た老人が
信号待ちをしている ....
仄暗い公園のベンチで
みかんの皮を食べろと言われている老人が
喜んでと言って頬張っていたのは新聞紙
これでいいですかとにこにこしながら
鳩の目で少年たちを睨みつける
ぽおっぽっぽっぽ ぽ ....
夜、
{引用=背後に
人は身体をこわばらせる
何がよぎったのか
誰があとをつけているのか
この暗闇の中では
振り返る勇気はなく
確かめるすべもなく
人は
いくつもの時を越えて
....
どこにでも
約束は無いとして
真夜中で
月の沈む場所
緩やかな寝息で
どこへ落ちていく私にも
約束できる
ものは無いとして
少し
はぐれる
月の端を狙撃して
落ち ....
遠くから はさみの鳴る音が聞こえる
それはとても正確で 狂いの無いリズムで
冬の雲を切りそろえ 月の出る準備を
飛び散った雲は星に変えよう
はさみの刻む音で 月がくる
光輪のファーを巻き ....
橋を渡る
ここから先であえて水の味を嘗める
遠い背後で冷たくなった人びとは
絶句したまま 熱い指を池の面に浸す
最初から順番に数を数えて
今日もまた
汚れた者がひとり
明日もまた
汚れ ....
丸い円を描いて ととととって 黒猫が通りを横切った
ナゼか猫は、いつも視界から視界の端へ擦り抜けていく
彼女は、特に変わったところなどなかった
特に変わったところがないなんていう人は
ほん ....
建築現場の鉄骨が
空の重さに耐えている
昼下がり
子供たちがホースで虹をつくる
二階のベランダから身を乗り出す猫
視線の先には
鳥が羽を休めている
鉄骨が発する低い唸り声が
体 ....
水も飲まず
GAMEに耽って
夕方
肩の痙攣が止まらなくなったら
世界の肉をしゃぶりに行く
丸めた汗臭い服を構わず羽織って
液晶に浸かった神経を
引っこぬいて
ものも言わず ....
レールの上に立ち尽くせば
ただ一人取り残されて
進む道さえ分からずに
もがくだけ体力は奪われていく
小さな幸せを夢見ていた
多くを望みはしなかった
けれどレールの上では誰もが
競うこ ....
じーちゃんは 耳が遠い
ばーちゃんは 歯がなくて発音が悪い
二人の会話は
何度も聞き直し
何度も言い直し
互いの顔を
くっつけるように近づいて
可愛らしくて
仲がいい
ばーち ....
ひとつの認識から始まる憂鬱
鶏が鳴く
もう朝である
月を背後に負った者は
木の幹の太さを計測して
空にまで届かない溜息を吐く
星の下につぶされた者は
動かない時計を見つめて
色のない繰 ....
混沌の中に
夜はある
夜の中には数多の息が
凍りついたまま存在していて
人々はその下で
ぶざまな眠りを眠っている
君は
やがて忘れ去られる
それが君の運命である
目的を持たない淋しい ....
風来の四季が如何なるものか
玉響に滲む光
何人をも詠わせる薫風
筑紫恋しい蝉法師の鳴く声
月冴ゆる日に舞い散り踊る紙吹雪
詠い人を饒舌にさせる風月よ
其れよ ....
一月の風が過ぎ去った頃
空を迷って辿り着いた木の実が
夜を探していました
まだ
日暮れ前の鳥たちが並んで飛んでいる
公園の歩道には誰かが落としたハンカチが
あと少しで浮こうとしています ....
オバサン
檮瀬チカ
朝 ラッシュ時の改札をくぐり抜け
列車の扉を開くのを待ちかまえて
飛び込んでゆくのを
不器用に追いかけ押されながら
乗り込んだ朝
列車のつり革につかま ....
指先でつまんで
そのあとどうするの?
まさか捨てたりしないよね
脇役は最後まで残っても
結局脇役で
だけどその場面を彩るのには必要なんだ
パセリ
緑色のアクセント
僕が ....
花は美しく
どんな世界をも完成させます
花は清く
失った物の美しさを
思わせるようです
花は明日枯れるので
一層美しくありたいのでしょうか
その
脅えるように開いたつぼみは
わた ....
あなたの子供は駈けていきました
あなたの急を知らせに
道の向こうの
そのまた向こうまで
私が知らない間に
他の多くの大人たちが
それぞれの世界の片隅で
何も変えられないでいる間に
あな ....
あのね、母さんこの犬ね
父さんも母さんもいないのよ
1人ぼっちで暮らしているの
あのね、母さんこの猫ね
足を怪我してうごけない
小さな子犬や、仔猫たち
みんな母さん見つかって
ち ....
年を重ねるごとに
また一つ新しい痛みを覚えて
段々と臆病になっていく
諦めることにも慣れた
この頃は
ただ抱きしめてくれる腕を探して
他愛もない嘘だけを積み上げる
砂で作った城のよう ....
そうして
僕らのこれまでの順路を
紙の上に書き出してみる
その上に雲なんか浮かべたりして
無駄に力を入れて笑ってみたり
過ぎ去ったあとで
自然に昔話ができれば
それはそれ ....
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