しろもくれん
umineko
指を折って下さいと
私は尋ねる
憤懣やるかたなし
といった風情で
彼は
動かぬ指を折る
ことばほど
指は曲らず
ただ
夕暮れが訪れる
もくれんの花びらの
やがて
春を待つように
白い手のひらが
ゆっくりと 咲く
こんな小娘の
命令などきけるかと
怒ったように窓を見る
あと
どれほどの人生を
彼がおくることになるのか
指を折って
数えようにも
彼の右手は
しろもくれんだ
明日が来れば咲くだろう
夜が来れば閉じるだろう
人は
なぜ生きるのか
私にはわからない
花の咲く意味
夜の意味を
繰り返すのは
夕暮れの赤