しろもくれん
umineko

指を折って下さいと
私は尋ねる

憤懣やるかたなし
といった風情で
彼は
動かぬ指を折る

ことばほど
指は曲らず
ただ
夕暮れが訪れる

もくれんの花びらの
やがて
春を待つように

白い手のひらが
ゆっくりと 咲く

こんな小娘の
命令などきけるかと
怒ったように窓を見る

あと
どれほどの人生を
彼がおくることになるのか

指を折って
数えようにも
彼の右手は
しろもくれんだ

明日が来れば咲くだろう
夜が来れば閉じるだろう

人は
なぜ生きるのか
私にはわからない

花の咲く意味
夜の意味を

繰り返すのは
夕暮れの赤
   


自由詩 しろもくれん Copyright umineko 2004-04-07 07:19:30
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