すべてのおすすめ
トイレで用を足したなら
ちゃんと流す
それがおとなの対応
いくら大好きな彼のであっても
普段は決してあからさまにすることの無い
若かった頃の女性遍歴やら
誰かと何を食べたのか見せつ ....
真夏の陽炎の向こうから
短い編成の列車はやって来る
そのいっぱいに開かれた窓から
ショートカットの後ろ姿が見える
列車の外から
車両の様子は
ありありと伺えて
制服の脇に置かれた ....
抑えられて ふくらむ青
咳一つごとに 飛び散る景色
定まらぬ正中線が
欠片を探している
打ち上げられた海鳥が一声鳴いたとか
なぞったものを 刷り込めば
たがうことなく歩む夏
しば ....
無職になってしまった
のら猫にエサをやる
ドブ川の浅瀬を渡る
涼風に
酔いしれながら
手弁当で道草こいてたら
いつの間にかすっかり日暮れて
帰り道がわからなくなってしまった
火薬の ....
何ゆえあたしは起きているのか。
人が眠る時間に。
ああ、冷凍庫の変な安いアイスでも食せばよいのかしら。
もう意味がわからないわ、広い広いこの地球にいてガリガリくんを食べるなんて。
....
電話が鳴る
漆黒の闇の中から
それは誰でもない
誰かからの沈黙の暗号
受話器の向う側へ
言葉の無い声を弄る
焦げ臭い私の指先
電話が鳴る
跪いた気怠さの上に
凶器に ....
空が滲んでいる
夏の午後の昼下がり
遠くからだんだんと自分の方へ
その暗闇が近づいてくる
あっという間に
滲んだのは空だけではなくなった
明確だった単語や熟語の中を
その雲は浸透してくる ....
いのちは
大観衆に埋められた
ステージの上で
歌いたがっている
鳴り止まない拍手を浴びたくて
いのちは
気を失うほど
ビールをとことん
飲みたがっている
みんなを笑わせ
喜ばし ....
気づいたら
自分の後ろに
千の詩がこぼれていた
足跡とともに
時には運命に悲しみ
時には人に喜び
生きてきたことを
生きていることを
感謝する
まだ前に道は続いている
そう
まだ ....
ガラス窓が
ごつん、と鳴った
振り向いたら
何かがぶつかって
怪訝そうな顔をした
ガラス窓がいた
蝉が死んだのだ
わたしはそっと拾い上げて
犬にやった
窓の外には
....
何年ぶりだったろう
母のうでの中で眠っていた
幼いころに 暑がっては
アトピーの背中で いら立つわたしを
そうっと うちわで仰いで寝かせつける
記憶が 優しかった
起きたときに
とても
....
数多のあなたから
発信されることばに
わたしは固くまぶたを閉じる
それらを愛さないために
西側の、部屋
窓に切り取られた風景のなかで
遠く稜線がたそがれてゆく
そう
書いたときには ....
つきと金星のあいだに
カチャリと流れていったものが一瞬をすぎて
それは未来のような行方で
幸せとか苦しいとかというものと別次元
何もない世界のもとにある、わたし
すべての動作や感情を ....
アンドロイドになるのは容易い
毎朝 世界にいざ、入獄
反復する彼の言葉だけ持参
雨ざらしの秘密
振りながら縺れる水、を笑う
時に大きくうねる
波、それからプラト ....
僕を支えてくれる柱
小鳥が運んできてくれた 一本の枝
あまりにも短すぎた夏 あまりにも短すぎた夜
僕らを邪魔した虫達は今
小さいけれど美しい羽 ....
君を連れていこう
この 干上げられてゆく都会の
最後の楽園へ
マンションに包囲されながら
奇跡のように生き残った
ちいさな田園のそばへ
君を連れていこう
この 干上げられてゆく都会の ....
四畳の和室は
ぴゅうぴゅうと風が吹き荒れて
窓際に掛けた古い制服の横で
私と云う個体が何かに脅えている
(そうら
(夏だよ
CDは何度も繰り返しながら
ゆっくりと世界を ....
朝霧の蒸発してゆく速さに
子供たちは
緑色の鼻先をあつめて
ただしい季節を嗅ぎわける
くったり眠っている
お父さんのバルブを
こっそりひらいて
空色を注入する
うん、うんとうな ....
小さな子供が空を見上げて
緑の瞳をぎょろりと泳がせたのを私は見逃さなかった
何時でも地球の中心に立つ私達は
きっとその目線が怖くて堪らないはずだ
時間軸でさえ
カウントは足 ....
+落葉の日には
赤い色、青い色
残りの空を数えている
穏やかな日々、頬は
青く紅葉として
時間は等しく流れていく
境目に乗って遊ぶ
あなたの身体に耳を置く
....
ふたりでいる孤独とひとりの孤独
前者は後者を凌ぐと誰かが言っていた
ふたつはひとつになれない それを思い知ることになるからだと
隣の部屋から漏れていたふたつの声は
いつしかソプラノとバス ....
校長先生のお話は
いつもとても長く
生徒が一人、二人と崩れてゆく
背筋を真っ直ぐ伸ばしたまま
音もなく倒れ
そのまま影となる
「これで、校長先生のお話を終わります」
その瞬間
....
きめ細かい粒子が
向こうの水平線に
ゆっくり溶ける
聞こえない音色は
憂鬱の向こう側
黄色の支配に
世界は従う
蝶のワルツ
橙色の光に絡まって
そのまま堕ちていって
消 ....
明日の夜 君はきっと 僕に似た女の子とキスをする
月の光りに照らされて 綺麗な影が伸びるだろう
僕が嘘をついて 君が嘘をついて
ふたりがうまくいくのなら
良いんじゃないか
....
ひとりで食べる夕食は
いつものように
電子レンジでチンして3分
たった3分
それでも3分
どうにも待ちきれなくて
電子レンジの前で腕組みしながら
ながめるタイマーは
永遠にカウ ....
蒼白な表情を
死体の父は脆く浮かべた
体から湧き出る日常が
沢山の汚いを表現していて
宇宙の屑のように感じた
(からだの なかの
優しい、濁毒が
ピアノ ....
温かい霧雨は
失われた羊膜の記憶のように
柔らかに
わたし
という意味を
緩やかに包括する
鳴き声のような雨音は
鼓膜に優しいけれど
痛みに疼く左目が
暗転する風景を拒絶している ....
一、蝉しぐれ
白い病の影がおりて
夏の命、際立つ
すり硝子の花瓶に
溢れていたはずの笑顔
シーツに残された
僅かな起伏は
生きていた
あなたの
散らばった
レモン色 ....
たまに
思い出す
ふと
きみのゆびさきの
深爪のやさしさ
買い物帰りの
坂道や線路沿い
二番目の
小さな交差点
そんな場所に
沸き立つ
やさしさ
ひらがなを
好むきみ ....
闇
から病んで臥せっていたはずの姉さんが這い出てきた
北の海はすっごく寒かったんだから
カラカラと寂しい音が喉からして
手で青を掴んできたわあんた青が好きだったでしょう
ショウの途中で姉さん ....
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