すべてのおすすめ
不具の男が夏の夜に向けて
煙草の煙を吐き出している
誰かと繋がりたいと強く願いながら
それと同時に同じ位強く
誰かと繋がることを拒んでいる
携帯電話の点滅
そしてその振動する音
発光 ....
急坂を自転車で滑り降りながら
葉桜に見惚れていたら
視界がひっくり返って
廻ってた、ぐるぐると
。
マリア様はそれを
相変わらずな微笑で
見ていた。
真っ白な、
イエス様はずっと
....
ケータイなんて使わなくても
感性とテレパシーで出会えるさ
東京特許許可局局長
お前の許可なんてナシに
あのコとの
電波つなぐ
愛の装置
発明したよ
....
朝靄の中
頼りない影を引いて
配達夫は世界の悲報を配るのに忙しい
昨日のキスは二人しか知らないこと
ベットに傾けようとしたとき
「今夜はいや。」と云った君の
声の湿度は僕の鼓膜しか知ら ....
空に白い爪あとひとつ
段々と色を変えてゆく空に
段々と浮き立ってくる
細くて白い爪あとひとつ
薄暮れてゆく空の下では
灯りをつけはじめた街
行き交う車のヘッドライト
テールラン ....
今日もまた欲望に負けました
自分の弱さをごまかして
見せかけの優しさにすがりました
自己嫌悪という快楽に
身を投げて
今日もまた失望に負けました
幸せそうな人を眺めては
この身を憂い ....
ぼくの 内側には
ふたつのいろをした
無数のコトバが はりついていて
ぼくは それを通して
世界を みている
ぼくのお弁当のスウプをみんなわらった
カバンをぬらし ....
からだが どうん、まばたきしたときの
あのせかいが まっぷたつ から、ゆうぐれて
頭から 地球の中心に ぐん、と押されると
わたし、いつも きまって あやまってしまう
ごめんなさい、ごめんなさ ....
真夏の夜に
突然降り出したにわか雨
こんな夜は蒸し暑く
寝苦しいと決まっているのに
今夜は何故か寒気に包まれて
窓を開け放しては肌寒い程
雨は段々と激しさを増し
私の心を代弁するかの ....
遠い昔の夢を
忘れずに
追い続けてる
年老いた少年
いつ掴むかも
わからない夢
夢がいつか
叶うといいね
年老いた少女が
微笑む
きっと叶うよ
遠い世界のてのひらで
君は自由と笑う
熱を逃がさないように
風に切られないように
この世界の足元に
君はそろりと帰る
次の予告もしないまま
無駄な言葉を恥じた ....
あまりに懇願されるので
試しに小指を与えてみた
男は急いで口に運び
コクリと飲み込むと
生あたたかい求愛がわたしに届く
唾液に光った男の喉をうっとりと通りぬける
わたしの小指
満たさ ....
あいつはとても優しい
プラスチックの歯ブラシが風呂場で
ふいに落ちたときにおもうくらい
それくらいさみしい
大阪で
散乱する破片を踏んでみてから
それが言いたいことだと気付く
僕 ....
そこにも ここにも
からまりあった いのち
てをのばせば
からだに ふれる
くさも きも
さかなも けものも
あなたも わたしも
ほとばしるものを
....
誰も信じやしないだなんて
陳腐なセリフを吐いて酒
女なんていらないと強がって
タバコの煙で涙を誤魔化す
いつもの見飽きたフラッシュバック
ひたすらシャッフルする心の燃え滓
えへらえへら ....
電車に乗るどこかに連れて行かれる
たしかに
どこかに連れて行かれる電車には
ひどい恐怖があるとくに
闇の
なかを走り続ける地下鉄の
なかの蛍光灯
にぽっかりと照らしだされた人たちが
何 ....
母を見る
今日も
少し
年取ったようだ
年は
人から
何を取っていくんだろう
魂、みたいなもの?
何かが今日も
母から
少しずつ抜けてゆく
4歳のこどもを
正面から抱っこすると
つい4年ほど前には
お腹の中にいたことなど
信じられないほど大きい
わたしたちひとつだったはずなのに
分裂したね
さびしいけどもう元には戻れない ....
ずっとここに住んでいる
ここがどこなのか
わたしにはよくわからないけれど
アル日
ここに
白い服を着た
顔のない誰かが
わたしを連れてきてくれた
わたしの手を引いて
それからずっ ....
「俺って結構まじめなんだよ」
っていう男は多い
ほんとに多い
いったい何が言いたいのか
さっぱりわからない
心の中では
「へえー」と答えてるけど
別に言わない
繁華街のホテルを出た
....
限定解除!!止まれない回遊魚達
ペンを投げるのは死ぬ時だ
限定解除!!止まれないPankSter
ノートを燃すのは死ぬ時だ
生きる事は 日々を告白する事だとも
生きる事は 苦しむ事だとも ....
先週の午後
雨と一緒に
隣の男が降った
最上階に住んでいるとそれだけで
いつでも飛び下りなさい、と
手招きされているような気がするので
荷物が重たくなった時などは
ベランダに近づ ....
残業もそこそこに
今夜もいそいそと帰ってきた
玄関のすぐ脇の部屋で
かつて母だった生き物が
また呻いている
父の三回忌を済ませた頃から
母は溶け始めた
ビデオテープのように過去を ....
ふらっとでいこう。
何にも迷わず。いや迷うのはいい。迷うのは出口を探すからだ。
ここは360度の透明な海。出口もなく。入り口もない。
誰かがドアのふりをして私のそばをすり抜ける。
おは ....
見飽きてしまった景色なら
ちょっと視点を変えてみればいい
忘れかけていたもの達が
二人の瞳に映るかも
去年と同じ季節 同じ場所
少し大人になった二つの影
そんな些細なことも奇跡のよう ....
ためいきで綴る日記のかたすみに
月明かりが影を落とす
灯りの輪の中には入れない
淋しがり屋の文字だけが
影をつたって降りてくる
ほら木の上ではアホウドリが
孤独なものだけへのレクイ ....
聖母子像
霧のなかをわたしは母の手に
ひかれ ながれるもやの
街道を歩いていた
それは途方もないかなたへの
流離譚のようにおもわれた
母が世 ....
猫が逃げました
ボヤが出ました
便所は汚すな
と
親切な貼り紙のアパートの
隣の部屋の人の顔
まだ見たことありません
のような午後の世界に
河川敷の花火
の音が聞こ ....
魚が手紙のようなものをくわえたまま
道の真ん中で力尽きているのを
少年は見つけました
水を泳ぐ魚にとって
ポストはあまりに遠かったのでしょう
少年は手紙のようなものを
代わりに投函しました ....
それは目に見えない
見えないけれどある
確かにある
見知らぬ場所をお散歩中に
見つけた空き家
ぼろぼろの屋根の下から
黒猫が四匹
わたしを見つめ鳴く
知らない庭の
知らない犬 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99