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飲みすぎたアルコールとともに吐き出した
苦しみも 悲しみも 寂しさも
苛立ちも 憤りも何もかもが
それはもう呆気なく
それはもう大きな渦となって
便器の穴から消えてゆく
吐き出した ....
一、
せんせい、と
あたしの声が響くたび
澄んだ空気が
ゆらり
あでやかに揺れる
それに気付いて
目の奥のどうようを
れいせいな
おとなのまなざしで
隠すひと
その距離は ....
午後の輪郭をなぞる
コーヒーの湯気は婀娜っぽい
ブラックはもう飲めない
この頃は結婚式に呼ばれてばかりだから
フレッシュを二つ入注ぐ
深いマグカップに沈み混んで
滑って 昇ってくるのを ....
生きてるのが
怖い
死ぬのも
怖い
いつも穏やかに
笑っている僕
心が血を流し
かさぶたの鎧を
心が身にまとう
苦しい 辛い
誰にも言えない ....
やわらかな陽射しに顔を照らされて
ふと立ちどまる
それはあの人の腕の中と同じ温もりで
ぽっかりと空いた胸の空洞に気づく
子供みたいに駄々をこねて
一夜だけでいいからと縋ったの ....
メロンパンが破裂して
扉が開いた
向こう側には
名前の知らない海峡がひとつあって
多分自分もあっち側なんだと思う
それなのに僕は波音を聞きながら
こっち側でひたすらメロンパンの
....
あの海の家はどこにあっただろうか
夏の
暑すぎる昼下がり
そこで笑っていた太陽のような人びとは
どこに行ってしまったのだろうか
時というものが絶えることなく
いつも継続して流れてゆくとは
....
足を 踏み出せば
いつでも 闇に
落ちる 覚悟の
自制 が たりない
自制 が たりない
あたしを ここに
とどめる ものが
ない
あたしの 大切が
ここに しかない ....
それは
頑なな蕾
慈しみの雨にも
きららの陽射しにも
咲かずにあり
ひっそりと
花弁の色を思案している
いつかきみの唇 触れて
眠れる森の姫のごと
ゆっくり ....
準備運動は必要だよね
途中で足がつらないように
君と地球を泳ぎきるため
助走はやっぱり必要だよね
途中で失速しないように
君と地球を飛び越えるため
怖いときは目を瞑ればいい
....
満月の夜 いつもは 真っ暗な空が
ぼんやりと光る
どこから 見ても 満月は 悲しいくらいに 美しく光る
それぞれの人の 気持ちを じんわりと 動かしていく
わたしの 気持ちは ....
君の知らない深い悲しみを
僕は背負って生きている
そして君も僕の知らない過去の残骸に
足をとられては涙を流す
この街のプラタナスも深まる秋の気配に
すっかり色づき始めたよね
....
呟いた台詞をどれだけ記しても
書き殴った言葉をどんなに叫んでも
僕の声は旋律を切り裂いているから
どうやっても詩になりきれないんかな
涙と汗は溶け合いながら
湿りきった風に運ばれていって ....
珍種の鳥を集めた
大学博士の庭の檻のなかに
クチバシがスパナアの形をした
虹色の鳥がいた
わたしは胸のかごの扉のねじが
どこかでゆるんでしまったらしく
風がふくたび
かたりことりと音 ....
真正面の三日月を眺めながら
帰りの坂道を登っていた
薄ぼんやりとしたその境目が
どこか僕に添うようで
しばらくの間僕はじっと
三日月を見つめて歩いた
するとやが ....
夏休の校庭で逆上がりの練習をしていた
鉄棒にぶつけた脛はどす黒く変色して
何故か分からないけど
鼻血まで出る始末だった
汗と鼻血が土の上に落ちて
どんどんと吸い込まれてゆく様を見ていた
....
枯れ落ちる
葉の上に声を震わせて
蒸散することのない深さ
やがて機能しなくなるであろう涙の透けた色に眩暈して
ああ雨の夜の崩れゆく{ルビ慟哭=どうこく}
スローモーションの叫ぶ先に
....
幾重もの等圧線の下で
雪虫たちは急いて冬を配り
息を白くするあしたは
ドアの外で待っている
羽根のように
踊り
うたう
白のひとひらは冬の鱗
北のまちでは
夏の半分と
秋は ....
なめればにがく
すかせばしろい
ふれてつめたく
おちてしみいり
にじんでくろく
つめたくきえる
とぼけたいろは
ふくまぬほうに
まぢったやみを
かいすいいろで
ごまかしたてて
ぐ ....
触れない唇
握らない掌
体中の
あちこちが渇くのです
潤して欲しいと
井戸を掘るのです
上手に
井戸が湧けば
わたしはきっと
すくわれる
井戸を掘るのです
時間す ....
生まれ変わったら何になりたい
と、問われたので
水
と、私は答えた
それは或る時
貴方の頬を伝う涙であろう
再びこの世に生まれる時に
貴方を抱く羊水であろう
今はた ....
ひけらかすような寂しさを
風が夜更けに運んできた
分かり易過ぎて僕は
冷たくしらけてみたりする
寂しさなら山ほど
ウチの廊下にも溜まってるし
そんなに暇じゃない ....
国道沿いのマクドナルドで
あなたのシルエットを買った
伝えたかった言葉で
支払いを済ませる
足りなかった文字が、あったような気がする
4時限目の鐘が
モノレールをつたって、とど ....
柿の実色に日は暮れて
通学路に残ったチョークの○も滲む頃
街中の電線にたわむ百舌たちは
嬉々 嬉々と啼いて安堵する
それを羨む秋の傍らで
きみに書きあぐねている手紙は
お決まりの挨 ....
うららかな小春日が微笑み
空が蒼く透きとおり
宇宙の果てが大きな口を開けると
風が乙女を呼ぶ声が聞こえる
こんな日はお布団でも干しましょう
この頃、冒険談がいっぱい詰まった
世界地図を ....
言い知れぬ苦痛…それだけが
僕の真実
君だけがそれを癒してくれた
やっと判った
君なしじゃもういられない
ただ無意味に苦しみ
無意味に愛する
でも
小鳥 ....
その街はいつでも夜だから
君はスマートなクロールで
柔らかく早くどこまでも泳げる
絡まるような人の波を掻き分けながら
真上の月の明かりよりも
通りのずっと向こうのブ ....
瞼(まぶた)を閉じ
安らぎに抱かれ
ゆっくりと
ゆっくりと
呼吸する
やわらかく息を吐き
おだやかに息を吸う
くりかえし
くりかえし
やわらかく
おだやかに
息を吐き
....
言葉の陰で泣くのはいけない
それならば言葉の上に突っ伏して
泣きなさいと月は言う
果たしてそんな事が僕に
出来るのだろうかはまだ分からない
一息で詠えるフレ ....
今日は君が生まれた日
たくさん並ぶ花を見て
かわいい花を見つけたよ
そんなに豪華じゃないけれど
君にぴったりな気がしたよ
その花を
プレゼントしたら
君は喜 ....
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