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暗闇のなかを片輪の百足虫が走る。
背中は凍りつくように冷めたい。
十時が一番うつくしい、君、
髪はながいほうがよい、
鏡は嘘しかつきようがない、
だって彼には腹というものがな ....
秋が咲いた 秋が咲いた
どの花よりもうつくしい秋が咲いた
春まいたたねがみのった
かわいい小粒のちいさなたねが
みのった みのった
かなしみの
さてこの気さえ狂わさん
く ....
外灯のない家路を辿っていると、ある家の玄関にひとりの女の黒い影が見えた。
それは私に手を振って、投げキスを数度した。
だがそれは幻だった。ただ壁に絡まった蔦をむしっているのにちがいなかった。 ....
行け その細い径を通って
白銀の雨のふる 森のなか
あたらしい宝物の絡み合う蔓植物の
つまらない詩句の鎖を見て来い。
案外つまらない
つまらないものなのだ
それゆえに ....
手巻き時計のする音は、
さながら大きな砂時計。
砂はおのおの苦しみながら、
海の底へと落ちてゆく。
そこは奈落か、天国か?
おまえに聞いても分かるまい。
....