深い青色をした海が
少しずつ近づいてくる
わたしだけでは
とても耐えられない
そんな場所で
あの人は毎日
立ちつくしている

冷たい手のひら
からめた指がふるえる
見つめると
 ....
鉛筆の一側面の上半分が
白く光を反射している
右目で見たときと左目で見たときでは
白い光の領域が違う
僕は透明な手を鉛筆へと伸ばすが
途中で疲れて手は霧消する
鉛筆が置かれてあることと
 ....
夕暮れの風が皮膚に冷たくあたる頃
さざ波がわたしの足をさらっていく
水にうもれた死は
ゆっくりと潮をひいていく
(ゆれる)
悲しみに
消えてしまった夕焼け
わたしを照らすものは
無 ....
藍色に染まっていく
わたしの目の前には
小さな蒲公英が
たくさん並んで
誰かが一つ一つ
ふみつぶしていく
その様が
おかしくて
笑ってしまった

深い所にある
重いトビラ
 ....
    くびする糸者
     冷れみて    児
かなさり住に
    おへよっておへよって
              らびが爺ね

東北新幹線の空洞を貫く抒情性を少しも吸収することが ....
故郷を
遠くに思いて
見る空に
七色の橋が
瞳を捉えた

さっきまで雲が
涙を溢していたというのに
風にくすぐられた頬を
照れくさそうに赤らめながら
陽射しを漏らした


足 ....
夕焼けの水平線に
引き込まれるわたし
明日の事も
分かろうとせず
無を、怖がる

窓辺に映る雲は
西へと動き
わたしは
小さな音を鳴らしながら
ゆらゆらと流れていく
裏がえっ ....
あなたの名前は
この悲しみに似ている
木霊になって消えていく声を
遠く向こうに感じた
その冷たさ透明さが
あなたなのだと思う

繋がらない海と雨とが
真夜中にせめぎ合う
ざわめく ....
母が縄跳びをしている
僕はしゃがんで回数を数えている
あんなに腰が痛い
と言っていたのに
背筋をピンと伸ばして
交差跳び、綾跳び、二重跳び
次々ときれいに跳んでみせる
既に数は百回を超え ....
午後のゆるやかな
時間の流れる公園で
片隅のベンチにもたれつつ
ふと洩らしたため息が
小さな小さな船になり
砂場を蒼い海として
航海に出る

僕の小さな小さな船は
とても壊れやすくで ....
重ねるほどに
見えるものまで見えなくなる

それを情け無用と切り捨てようにも
思うが侭にならぬ身体と
曖昧な優しさで隠す意志の弱さ

諦めることさえ捨て去ってしまい
手の中の小さな夢を ....
まず蕗の薹
雪が溶けて、側溝に水が流れたら大根を
切干しに干せるのは寒のうち
あとは塩して、漬けものの樽

味噌を仕込むのは
麹菌が繁殖するほどにぬるく
雑カビがさほどには混 ....
もう
どこにも帰れない

そんな気がした夕暮れは
どんなことばも
風にした



 ながれる雲の
 行き先はしらない

 突きとめずにおくことが
 しあわせだとは
 ....
 ありふれた【豆】。――心奪われて
一粒づつ、手の生えたやつを鋏で切り落とし、
妖しい黄緑の笑いに負けまいとする
僕は生体機械。幸せなど知らない

 そう。かなり前に飯炊きの胎から生まれて
 ....
いつか寺院で見た 生け贄の山羊のようには 悲しみは私を殺さないから 
汚れやすい白く甘い菓子を 両手一杯に掬う
死者が出そうな陽射と気温の中 恐らく理不尽に叱責されていた少女は
その破れ ....
本を読む人の眼は
例外なく真っ黒い色をしている
それはもちろん
眼が活字のインキを吸収してしまうからである
本を読みすぎて
白眼まで真っ黒になってしまった人が
こちらを向い ....
深夜の病棟の廊下を
患者を乗せたベッドが幾つも
音もなくしずかに漂流していく
あれらはみな
モルヒネを投与された患者なのだそうだ
おっこちたりしないように
きちんと縛り ....
ばらばらに散らばった
こころをかき集めて、


「こんなにも だよ」

って、見せるキミの手は
散りゆく破片で 血まみれで



降りそそぐ花びらは、

しきつめられて

 ....
途切れがちの遠い波音に
あるいは
いつかの風景の肌ざわりに
私は
何を求めていたのか

カンバスは
筆先の触れた瞬間から
額縁にきちきちと収まってしまう
握り込んだ青い爪が
手のひ ....
規則的にしずかに眠らないモーターが
半音階だけその声をあげて
いつの日か再び息づきはじめる時
スキャナーは熊のように鼻をひくつかせ
カウンターは目盛りをゆるやかに揺らし
サーモスタットが ....
窓の外は花の雨
傘もささずに飛び出せば
白い花びらがそっと揺れた

まるで僕の心を知ってるように
どんなにかくしても
走り出してしまったこの想い
いつでも君のことばかり探してた

君 ....
骨のことなら知っています


奥深く平面的で
動物的な空が


罪深く走る夜
立てるよ、と勘違いをする男が
束になって走っていました


((はしたなく
    ((はしたな ....
わたしはいつも、つつまれている。 
目の前に広がる空を
覆い尽くすほどの 
風に揺られる{ルビ椛=もみじ}のような 
数え切れない、{ルビ掌=てのひら}に。 

その手の一つは、親であり  ....
こわれた、かぜを
かぞえている


とめられないから
ぼくには

ひとーつ、
ふたーつって

やわらかいところから

ふいている
こわれた、かぜを


 ....
花冷えのころ
すきとおるあおと
ぬくもりをさがしながら
蝶のようにとびたち

風の声をとどけに
あなたの耳で
蕾になって

向日葵のだいたんな喜び
わすれな草のブルー
おしろ ....
淡く
夢にいた人は水彩でした


*


(あ、)


こめかみとシーツの間に
かすかに染み入り、そこから
まぶたに明けてゆく一筋の朝の滲みに、すっと
打 ....
僕が悲しくて泣いていたら
雨が降ってきて
神様も一緒に泣いてくれた
 
 
 
それはすごく
やさしくて
あたたかくて
ブクブクと
グツグツと
溜まった涙の水たまりが
沸騰をは ....
むきになって
取り繕った一雫、が
忘れ去られた今
ようやくチクチクと
棘を
発生させて
 
忘れるな
忘れるな、と
声を上げている
 
(ように、感じる)
 
 
洗濯機に ....
あてもなく、この先は、動かされるままに。
意識とは別に、行く先は、南、でした。

無音の、ファンネルからの、伏流は、
見ている人しか、伝わらないなんて。
見えないだけでしょう。

 ....
                作 2003年8月17日(日)

階下で
かさかさと
カーテンを引っぱる
音がする

うるさくて
眠れないから
降りてって
カーテンを引っぱって
 ....
前田ふむふむさんのおすすめリスト(2307)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
海の底- 今田コボ自由詩12*07-4-29
- 葉leaf自由詩16*07-4-29
わたしこんなに悲しくて- 今田コボ自由詩707-4-29
無題- 今田コボ自由詩6*07-4-28
- 葉leaf自由詩17*07-4-28
- 見崎 光自由詩5*07-4-28
とうめいの声- 今田コボ自由詩7*07-4-28
雨の日の願い- 今田コボ自由詩807-4-28
まぶた- たもつ自由詩3007-4-28
午後の公園- 村木正成自由詩11*07-4-28
- 恋月 ぴ ...自由詩32*07-4-27
春の食卓- リーフレ ...自由詩1107-4-27
はぐれ水- 千波 一 ...自由詩26*07-4-27
ビーンズボーンの詩- atsuchan69自由詩4*07-4-26
特別な日- キヨカパ ...自由詩6*07-4-25
書店で働くということ- 吉田ぐん ...自由詩73*07-4-25
病院の海- 吉田ぐん ...自由詩1107-4-25
きらきら_キラキラ- わら自由詩27*07-4-25
遥か、透明の過程- 佐野権太自由詩32*07-4-25
春の記憶- 角田寿星自由詩1807-4-25
花時雨- 未有花自由詩12*07-4-25
空平線- 石田 圭 ...自由詩37*07-4-24
椛の木陰_- 服部 剛自由詩25*07-4-24
こわれた、かぜ- はらだま ...自由詩17*07-4-24
*耳の産声*- かおる自由詩25*07-4-24
水彩の夢- A道化自由詩3007-4-24
- 倉持 雛自由詩907-4-24
一雫- 山中 烏 ...自由詩15*07-4-24
融雪プランクトン- 鯨 勇魚自由詩20*07-4-24
カーテン- あおば自由詩9*07-4-23

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77