田村隆一は太平洋戦争後の荒廃した社会を的確な詩語で捉え、戦後詩壇を代表する存在になった。と、日本の詩の歴史ではそういうことになっているらしい。僕は言うまでもなく戦後生まれ、それも高度経済成長の真っ只 .... 仄暗い公園のベンチで
みかんの皮を食べろと言われている老人が
喜んでと言って頬張っていたのは新聞紙
これでいいですかとにこにこしながら
鳩の目で少年たちを睨みつける

ぽおっぽっぽっぽ ぽ ....
■宮澤賢治

 さて、先日図書館で宮沢賢治を借りてきたのです。ネットで詩をはじめた自分にとってあんまし本てのは食指が動かんかったわけです!!!!(ダメすぎ)面白いくらい詩を読んでないわけなのですが ....
つづら坂のてっぺんが赤く燃えて
曲がり角のそれぞれに暗がりが生まれる
それがくねくねと蛇のように眼下の町へ
影法師が一組
手前の角の煙草屋の暗がりからあらわれて
穏やかな夕日にそっと目を伏せ ....
わっこ ほっこ ゆぎっこ ちみで

なして おらえのほうさ ふるなだべ
まんじ あさはやぐがら おぎでしゃ

みぢ こしゃねば あるがれねべた
ゆぎっこ つもって あるがれねべた 
 ....
「アホウ」
「アホウ」と鳴くカラス
青い空に突きでた
電信柱のてっぺんで
僕に言っているかのように
視線を合わせぬその目は
僕を哀れんでいるのか

君に同情されるようじゃ
情け無いば ....
おなかが空いたら

君の笑顔を食べて

満腹なはずなのに

どうしてだか口が淋しい
 
バラバラ散らばった
パズルを繋ぐように
過去‥現在‥未来
ひとつ、ふたつ、と
自分にはめ込んでいく

穏やかに
荒れる必要など無いのに
いつの間にかパズルは壊れている

何度 ....
雨の音がするけど
曇った硝子に雨は見えない
雨粒が落ちてバケツが渇いた音を立てるけど
どこからなのか方向が定まらない

何しようか‥
床に座り膝を抱えしばらく考えるけど
何していいか決ま ....
人は生まれ逝くもの
思いは生まれ逝くもの

命あるのも
そうでないのも
生まれ逝くもの

確かにあるのも
不確かにあるのも
生まれ逝くもの

僕の中で
絶え間無くつづく
営み ....
酔いにまかせて産み落とされたたまごたちが
そこかしこでひしゃげて身をよじっている
主人の子宮に戻れるわけもない
ばつの悪さと気恥ずかしさと
タクシーの排気ガスで満ちる街に陽が昇るころ
ぬ ....
祖父のあとをついていく。

海を見渡す墓地で、親せきたちが鎌で草を刈る。わたしも草を刈る。

母が野の百合を、見つけ出した墓に供えた。

波は白い。
1.

シナ子

今、列車に乗っている
田舎に帰る
トンネルに入るとヒューィって音がこだまするの
それは列車の車輪の音
昔よく吹いていた草笛にも
車掌さんが切符を切る音にも似てる
 ....
矢野顕子を口ずさみながら
ヒールのコツコツの月を
連れて帰る

つらい分だけ吐き出した
あなたは楽になっただろうか
つらい分だけ黙り込んだ
私はどこへゆくのだろうか

もう二度と ....
あなたは、
簡素な手順でわたしの胸倉を開き
匂い立つ土足
こればっかりは慣れないものです
その度に鮮やかに毟られる


あなたと遭難したい
篭って
香しき動揺が眼に見える位置で
わ ....
寝つけずに気がつけば
枕元に私の子供が立っていた
一度だけ会えた時あの子は手も足もバラバラの血まみれで
顔なんてもちろんわからなかったけれど
不思議とあの子だ、と感じた
嗚呼、女の子だったの ....
秒針がふるえて
ぼくは ただ
青くなってゆくばかりだ


深みが光を吸収し
かわりに
無数の粒子が
まとわりつく


探してた言葉は
どこにも見えず
たえなまく


 ....
昨日 いつも市場で会う少年と水遊びをしたとき
「お兄ちゃん、腕まくりが似合うね」って言われて
戸惑って
戸惑ってしまったまま 朝が来て起き上がる
いつもと同じように寝床に向かい
膝を曲げ 腕 ....
乱視の交差点が光にまみれている
穴に落ちてしまわぬよう
慎重に渡る


いつか
二人で広げた新しい傘の下
けれど赤と青は紫にはならず
個体であることのかなしみを知った


ほ ....
大切にしていた箱が
最近とうとう見えなくなった

白い輪郭を今でも覚えている
美しいと思えるものを
美しいのだと思いこんでいたものだけを
少しずつしまっていった

一番最初に消えたのは ....
風の強い夜だ
下弦の月のまわりに
虹色の光の輪を作っていた薄雲が通り過ぎる
窓辺に焼きついた油色の日々が
ガラス板から流れ落ちる

星々がさわさわ震えている

明滅する交通誘導棒を持ち ....
あなたは ときどき
ふれあうほど 近くにいながら
私を ひどく孤独にさせる

ふたりでいても 
ひとりぼっちね

「恋」というものを
最小限に こまぎれにしたなら

私たちの 恋の ....
ノート2002.7.29

工事車両の下によもぎ色の猫が一匹入りこんだ
知っているかい?
猫はエンジンオイルのこげた匂いなんかが好きなんだ
ときどき思うんだ
トラックの下にもぐりこんだまま ....
マングローブの森で
きみと 二人きり

光が射す方へ
手をのばしてみたけど
堂々巡りの 僕たち

むしろ
袋小路ならあきらめもつくのに

もう 僕は
迷ったりしても いいんだ
 ....
夜が呼んでいるような気がしたので
誰かが待っているような気がしたので
自転車のかごにウイスキーボトル入れて
僕はさんぽに出たのです

どこか遠いところで
凪いだ海のおなかの中
呼び交わす ....
興味なさ気に
あいづちをうっているけど

僕は じつのところ

キミが
公園の桜のつぼみが
今、どのくらいの大きさで
今、どのくらい開いているかってことを
事細かに 教えてくれるのを ....
悲しかったことも
苦しかったことも
忘却の彼方だ


今では もう
デパートの屋上から 夕陽を見ても
電車の窓から あの坂道を眺めても
涙も でない


大切なものに 出逢えたこ ....
鳥は自由に飛ぶ
一本の線によってへだてられた空間を
風つかいのグライダーのように滑空し
大気をはらんだ凧のように静止し
熊蜂のように羽ばたいて流れの外に飛跡を残したりして
そして時には それ ....
さよなら国は
朝でも 夜でも
「さよなら」とあいさつします。


みんな みんな
笑顔で「さよなら」をかわします。


時には おじぎまで
時には なみだまで


ボクがいる ....
視界に広がるこれまでが
あまりに深いので
私たちはすくみながら頂に立ち
いつの間にか手を繋いでいた


あの層を一枚一枚剥がしてゆけば
私たちがいつか手放した大切なものに
また会え ....
前田ふむふむさんのおすすめリスト(2307)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
田村隆一(その詩行のかっこよさから語る)- 岡部淳太 ...散文(批評 ...30*05-2-20
仄暗い公園で- ベンジャ ...自由詩33*05-2-12
宮澤賢治に寄せて- 嘉村奈緒散文(批評 ...53*05-1-21
つづら坂- ワタナベ自由詩18*05-1-9
ちみで_雪- 砂木自由詩13*04-12-26
阿呆の空- LEO自由詩5*04-11-30
おなかが空いた- LEO自由詩9*04-11-29
パズル- LEO自由詩2*04-11-25
雨音を聞く- LEO自由詩3*04-11-19
生まれ逝くもの- LEO自由詩6*04-11-18
たまご- 石畑由紀 ...自由詩504-10-27
- 光冨郁也自由詩12*04-10-11
シナ子- 嘉村奈緒自由詩37*04-10-8
うさぎラーメン- 石畑由紀 ...未詩・独白1404-9-24
立春- 嘉村奈緒未詩・独白38*04-6-28
レクイエム- 石畑由紀 ...自由詩1104-6-18
ブルーホール- 望月 ゆ ...自由詩5*04-6-17
拡大コピーの時間- 合耕自由詩1604-6-6
雨細工の町- 石畑由紀 ...自由詩8*04-5-27
大切な箱- mayaco自由詩4*04-5-13
夜警- ダーザイ ...自由詩24*04-4-5
最終章- 望月 ゆ ...自由詩3*04-4-3
七月のノート- ダーザイ ...自由詩1704-4-3
マングローブの森- 望月 ゆ ...自由詩4*04-4-2
- ダーザイ ...自由詩2104-4-2
じつのところ- 望月 ゆ ...自由詩4*04-4-2
悲しみも苦しみも忘却の彼方- 望月 ゆ ...自由詩5*04-4-2
鳥は自由に飛ぶ- ダーザイ ...自由詩2904-4-1
さよなら国- 望月 ゆ ...自由詩24*04-4-1
グランドキャニオン- 石畑由紀 ...自由詩1504-3-29

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