蒼穹はさらに深く
眩い雲はほのかに流れ行く
若木の緑をそよがす風は
初夏の薫りを匂わせながら
見晴るかす彼方へ消えて行く
雲のまにまにのぞく{ルビ天色=あまいろ}に
いつか見た白い炎が燃え ....
街角でポストが見張っている
僕は急いで携帯を隠す
桜の葉が、ぬるい風にざわめく
雨!

雨の予感だ

宛名のインクが溶けぬよう
ビニールのファイルに挟み込む
ビルディングに巻かれ ....
確かめるように差し出した
金魚引換券は
手のひらの熱で
もう、よれよれだ

  (ううん
  (いちばん小さいのがいいの
  (だって
  (いちばん大きくなるでしょう?

わがま ....
 時計の針は静かにキャベツを刻んでいる
 僕は暗闇の玉を抱えて外の世界と限りなく近く相対的な関係を保っている
 深夜の間は僕は自由に動けるのだ ドラキュラのように昼間は思うように動けないのだ 僕は ....
 
 あのひとは淡いきみどりに似ていた

 ひどくひどくつきおとすような感覚にまみれている
 しんそこ愉快そうなわらいごえは
 不似合いすぎて、なきそうだよ
 いつでもどこでもやさしいひと ....
.

雨は夜更け前に
一段と激しくなるだろう
永遠を探していた
一人、何もない道を歩いて
世界の事なんて考えながら
夢と現実の狭間を
さまよっている


母が死にました
川はい ....
     パパpapaなんでトトロ
     はあーうーってゆうか知ってる?
アウ タ コタン  (アイヌ のコトバ)
隣  の 村
はあの世のことを言うけど アウ とは 会
 ....
記憶のかたわらで
あの人の奏でる、ヴィオロン

夜想曲は、もう
恋のできない私に似合いね
と わずかに唇をゆるめてから
伏目で弾いた鳴きやまぬ、旋律
それはどうしても、波としか呼べなくて ....
.


笑う事をやめた月
わたしはそれを
悲しみと呼んだ
いつからかわたしたちは
色を忘れてしまい
光を失ったまま
月と一緒に
やせほそっていく


ここは
あの人のいない ....
あわいにたゆたうスポンジ状の光。向かい側では何を喋っていたか。蝶のトケルマデ、またいで、くらんで、主人公たちにルビをあてる。
後ろの正面に泳いでいる黒衣も、また、体制を整えている。寝返りを打つ度の痛 ....
病院の最上階の病室の
眠れぬ夜に少年は
夢で作った絵具で
誰も知らない絵を描く

空は大きなキャンバスだ
ひとりでさびしい少年は
空にたくさんの友達を描きました
父親を知らない少年は
 ....
.

母が死んだ日の翌朝
わたしはいつもの時間に起きて
いつものようにご飯を食べた


横たわった母の手を
そっと、さわる
(つめたい、手)
(瞼はかたく閉じられていて)
これが ....
逆光でよく見えなかった顔は
少し寂しそうだった
あの人、もうすぐ死ぬの
朝靄に紛れて
毎日出かけていく
今、生きている
その事を
実感したいのかもしれない

かわいそうな人

 ....
はじめは、見えなかった。


 それはファインダーの外に
 つまさきの下に
 暗がりのなか
 輪郭さえ
 ないところにあった


それから、見ないようにした。


 それは地 ....
おんなとして
うまれたわたしが
わたしをうもうと
はらをきめたせつなに
あなたはけっしてふれえぬでしょう
このはらのおくにはいりこめたとしても
あなたのなかでわたしはきえて
いろづいたこ ....
春夏の夢にかけたる浮橋の
  途絶えに月をながめくらさる

五月雨にみかさ増したる川の瀬に
  月は流れでみづ音ぞ澄む

ひさかたの光をかへすはちす葉の
  浮けるみなもに波たつる風
 ....
大きな葉の下から
そっと空を見上げると
とても薄い緑色が輝いている
そろそろ夏が生まれる
風が吹くと
きららとした緑色は
暗くなるけれど
遠くで流れている川の水のように
他の場所で光り ....
杉の林に静ひとつ
靄の立ち込める朝
靄に紛れて時間が漂う
暗闇から聞こえる森の声
林は何を考えている

杉の林に静ひとつ
緑の湿地に隠された
緑の夢と宝物
眠りから覚めた林の向こう
 ....
ピンクの透明なライターを
すかして落ちる電球の光は
穏やかな菱形にゆれていて
口をあけてすごした何百回の夜を
あくびなみだのふるえにも似て
思い出させた
夜の路地を行く人々は
人々
だ ....
風が、やんだ

鳥の声を探して
下草に濡れたのは
迷い込んだ足と
慰めの小さな青い花

遠ざかっていた場所へ
私を誘う手は
湿っていて
それでいて
優しいから
触れたところから ....
 おぼろげに見え隠れする夢の欠片
 綱渡りしながら捕まえていく

 流れ弾に当たる
 宝くじははずれる

 アスファルトに落とした視線を
 夜の透明な星空に浮かばせる

 何度も ....
八十円切手を
丁寧に千切りながら、考えていた
軽四輪だったかどうだか
切断された偉そうな記憶だけが
粗大ゴミみたいに

音、

みいいんって
ああ、またかまただ
 ....
朝露が髪にあたり
それは次第に
大量の雨へと変わっていった
頬を伝って体中に
染み渡る
冷たい雨
歪んだ風景
溶けていくわたしは
雨、同化していく



高すぎて見えない
 ....
懸賞好きの母が
手当たり次第に応募している懸賞が当たった
「サナギ一年分」だそうだ

当然母は家族からさんざん責められた
そんなものが一年間も毎日送りつけられたらたまったものじゃない
特に ....
もうすぐ、生暖かい夜が
苦いクスリとともに
グラスに注いだ水と一緒に
――やって来るョ。

窓の外は今しも
オレンジの火炎に包まれ、
妖しい空へと
黒煙を立ちのぼらせては

昨日ま ....
テレビの画面いっぱいに
モザイクがかかっている
娘は笑って見ているから
面白いアニメか何かなのだろう
低俗なものはきちんと排除され
僕らは安心を手に入れる
新聞の記事にもモザイクはかけられ ....
少し遠くの楽園から
手招きしている人がいる
とうめいの雪が
小さく呟きながら
わたしに降りそそいでくるのが
とても心地よくて

夏の雪
月の白さに隠れて
楽園を照らす
わた ....
ここに
銀色のエンジンがあればそれと

あと太陽の動きのような一時間半があれば

ぐるりを周りきれるほどのちいさな島
四方からの潮風にさらされ続けていて

そこで何本もの縄を編んではほ ....
擦り切れている背表紙を
後生大事に持ち歩く
付箋に躓くことを繰り返してしまった

左手には一束のシャレード
紐解いている間に
夏の森は
微笑や涙やトキメキを頬張って
色彩を奏ではじめて ....
遠いところへ行く
だれもいない所へ
わたしという存在を
消すために

紫がかった夕暮れ
落ちていく太陽を
目で追う
暗闇が訪れた時
わたしは、無に帰る


砂の混ざった荒れ ....
前田ふむふむさんのおすすめリスト(2307)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
白昼夢- 未有花自由詩14*07-5-9
ポストのない街まで- たりぽん ...自由詩8*07-5-8
春金魚- 佐野権太自由詩29*07-5-8
君の街から- はじめ自由詩5*07-5-8
きみどりを知ってる- 弓束自由詩807-5-7
静かなとき- 今田コボ自由詩10*07-5-6
リモートクリティック- 新宮栞自由詩1107-5-5
渚のヴィオロン- Rin K自由詩29*07-5-4
欠けた月- 今田コボ自由詩9*07-5-4
セッション_一、二、三- クマクマ自由詩907-5-4
キャンバス- 村木正成自由詩9*07-5-4
さくら- 今田コボ自由詩15*07-5-3
二つのカップ- 今田コボ自由詩8*07-5-3
反作用の風に吹かれて- まほし未詩・独白9*07-5-3
おんな- まほし自由詩11*07-5-3
さつき待つ___________■古語の宴参加作品■- Rin K短歌20*07-5-2
夏が生まれる- ぽえむ君自由詩28*07-5-2
杉の林に静ひとつ- 未有花自由詩16*07-5-2
点火- 水町綜助自由詩24*07-5-2
霧の朝、森に帰る- LEO自由詩34*07-5-2
続ける- 山崎 風 ...自由詩1307-5-2
山翡翠- はらだま ...自由詩14*07-5-1
振る、雨- 今田コボ自由詩8*07-5-1
サナギ一年分- ふるる自由詩21*07-5-1
寝たきりの言葉。- atsuchan69自由詩3*07-4-30
モザイク- たもつ自由詩3107-4-30
楽園- 今田コボ自由詩8*07-4-30
島_きょうかいせん- 水町綜助自由詩23*07-4-30
夏の鍵盤- 藤丘 香 ...自由詩42*07-4-30
白の世界- 今田コボ自由詩7*07-4-29

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