春の食卓
リーフレイン

まず蕗の薹
雪が溶けて、側溝に水が流れたら大根を
切干しに干せるのは寒のうち
あとは塩して、漬けものの樽

味噌を仕込むのは
麹菌が繁殖するほどにぬるく
雑カビがさほどには混じらない寒さの1月の終わりで
少し取りおいた麹で金山寺味噌と
タラの芽

大事に食べてきた晦日の餅がなくなり
節句にはもう一臼
犬のオシッコがかからない 崖に生えたヨモギで
草餅を拵えたら春の本番 

去年の小豆を2昼夜かけて餡に煮て
お彼岸様のぼたもち

ぜんまいのアクを抜き
伽羅蕗をおしみおしみ食べ終えたころにはつくしの
さきっちょがほうけてしまわないうちに
指を紫にしながらはかまをとって 炊き込む

暖かい雨の朝、筍が
薄っすらと腐葉土を持ち上げてきたら
ああ、
春も終わり


自由詩 春の食卓 Copyright リーフレイン 2007-04-27 19:32:27
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