すう…、と
夏が引いてゆくにつれ
風に乾いた砂が
自ら風になる
砂に埋められていた
右の素足と左の素足が
柔らかに打ち明けられるのは一瞬
直ちに、衣服へ、衣服へと仕舞われ
 ....
祈りを土に捧げましょう

記憶は
ひと知れず育ってゆきますから
たくさんの道で迷えるように
そのぶんしっかり
戻れるように


空を翔ける翼のない者たちは
すべての責任を
空に負 ....
木、その大きな直立
階段でいっしょになって笑い
二段抜かしをした九歳のように
セミの声だけが
音でよかった
根元に座って
レンガらしいレンガばかりを
レンガと呼び
それ以外のものは ....
その者はすべてを悲しくひきよせるという
そして誰も味わえない果実を実らせている
たったひとり)

わたしは{ルビ縁=ふち}の無い波紋であり
行くあてのない
昨日が
おいでおいで
と手招 ....
衰えて炎もいつか褪せゆくか
    {ルビ終=つい}の火を燃せオルフェの夏よ


竪琴の{ルビ絃=いと}のふるえに夏は逝く
    {ルビ全=また}き夜空に呼び声はるか


{ルビ初風 ....
わたしの余白には言葉を埋めないで、
どうかそのままにしておいて下さい。
あなたが埋める言葉はとても想いので、
ふたりはいつも沈んでしまいます。

句読点のない ....
数日前の夜
ホームページの日記で、
遠い空の下にいる友が恋人と別れ、
自らを罪人として、責めていた。 

( 自らの死を越えて
( 生きる明日への道を見据えていた
( 彼女の瞳は光を宿し ....
未来は雷雨とともに降ってきた
次から次へと
激しく地上に落ちてくる未来

あるものは大地に地響きを唸らせ
あるものは風に吹かれ
ゆらゆらと漂いながら
音もなく落ち
誰にも気づかれないま ....
パンに トマト ぬるぜ

カタルーニャ式 だぜ これ

オリーブオイル かける よ

バージン エクストラ です よ

たまご も 焼いちゃう 

べーこん イベリコ豚 だよ 
 ....
長い間
{ルビ棚=たな}に放りこまれたままの 
うす汚れたきりんのぬいぐるみ 

{ルビ行方=ゆくえ}知らずの持ち主に 
忘れられていようとも 
ぬいぐるみのきりちゃんはいつも
放置され ....
ピアニストの繊細な指だ
白い鍵盤をすべってゆく
まるで水鳥の夢見る羽ばたきにも似た
あるいは
まだ見ぬ色彩を生み出す画家の
狂おしいまでにあざやかな指先
{ルビ天地=あめつち}を踊る風の曲 ....
{ルビ吃水=きっすい}の切り拓く直線に
弾け、昂ぶる蒼波の振幅も
いつか、{ルビ理=ことわり}を{ルビ纏=まと}い
穏やかな泡波の
幾重にも沁みわたる

船側をすり抜ける速さに
戸惑い、 ....
五山の文字の
ゆえんなど知りません
それでも私は
わずかに香る炎が尽き
夜が少し涼しくなるのを
ただ待っているのです

まだきっとどこかで生きているだろう
あなたを見送っているのです
 ....
空虚な腹部で
命と鳴いている
今日は夏だ
われんばかりの空だ
あぁ、こぼれてゆく

大地の精霊を
宿す
からだは
青空のもとで響く
首すじに光る雫を
ハンカチーフにすっと吸わせる ....
自動販売機のなかには
シーラカンスを気取るのが居て
夜になると
腹びれを振るわせて
反対側の中州に登り
ニイタカヤマノボレと
大きな顔して
電話して
スクワットする夜間割引券と
交換 ....
こごえるように
<うた>をうたう


こえられない
こころで
<うた>をうたう




わたしの
生まれたての
<そら>で

まだ
 ....
{引用=あなたは歌うような
あしぶみで

まぶしくかすむ
曖昧な 八月十五日、は
さいわい
のびやかな放物線をえがいて止まる

おともなく



あたしは
きょう
部屋 ....
空を飛びたいなど思わない
眠ってしまおうとも思わない
そんな明るい雨の昼下がりは
激しく窓ガラスで弾けて
つたい落ちる滴を
ずっと、ずっと見ていたい

  大切に飼っていた金魚を
   ....
香ばしい匂いがして
私を育ててくれた人が
パンになってる
押せばふかふかするくらい
焼きたてだった
少し離れたところに
積まれた下着に向かって
丁寧にお辞儀をしている
どこが手か足 ....
夕やけを食べたいという君のため買い物かご手に西日へダッシュ


ハミングでハンバーグ焼くママを見てままごとセットで真似するムスメ


お日さまに愛でられコロナより赤いトマトを煮こんで子の皿 ....
日々の果ての
朝、(辛うじて未だ夏の、)
誰よりも先に、空が
窓で泣き出している


日々、とは
ひとつづきの熱風だった
その果ての、床と素足に
夏だったものが生温か ....
蝉時雨も止んだというのに
真昼の喧騒が
じりりと
耳に焼き付いたのを
両手で塞いだ

鳥の群れが西をめざし
灯火色した空に
消えていくのを
門口に焚いた火とともに
静かに見ている
 ....
夏祭りの音の屋根
迫り出した空のかけらは
まだ遠い、午後の私へと溶けていった
古い夢の神社の石段を
ひとつ飛ばしで駆け上がれば
頼りない心音のままで
私はきっと、そこにいる

夏の夕暮 ....
浜辺に群がる人波が
ひとしきりうねって退いたあと

待ち兼ねていたように
波音は膨らみ
熱を孕んだ砂の足跡も風に消されて
浜は打ち上げられた藻屑の褥(しとね)になる

風が
湿り始め ....
押し寄せる人波を
私は独り、逆流する。 
東京駅の地下に蒸す夏。 
目の前の{ルビ陽炎=かげろう}を掻き分けて。 

日常の流れに{ルビ弾=はじ}かれて、立ち止まる。 
重い{ルビ荷物=ト ....
まどろんだまま
深く吸った息で
体中に雨が透る

窓辺においた手紙が
濡れているのは雨のせい

滲んだ青いインクの
消えかけた名前を呼んで

雨の一粒一粒が
体の中で弾ける
ソ ....
浅い午睡に
思いがけず野蛮な夢をみる
それを誰かのせいにしてみたところで仕方ない
けれど

ああ
夏が甘く爛れる匂いがする
それは私の倦怠と
なまぬるく混ざりあってゆく

何もかも ....
夜よ深まれ
闇はもっともっと深くまで
暗く、黒く

私の胸に小さな灯り
ゆるりとめぐる闇となり
深く、深く

包み込む暖かさや
優しさなどいらない
そんなものはいらない

ほし ....
それでもあなたは膨れていきますか
記憶を少し、壊してみたのは誰のこと
過ぎることも簡単にいかない夜ばかり
振り返ることも出来ないだろう、この身なら

薄い化粧の夢を見るので
慌てて顔を洗い ....
人間は汚れている。身も心も。 
人の世のニュースを写すテレビ画面の中で。
私の姿を映す鏡の中で。
全ての日常は、色褪せていた。 

  * 

一人旅の道を歩いていた。 
信濃追分の風 ....
前田ふむふむさんのおすすめリスト(2307)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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「_余白。_」- PULL.自由詩18*06-8-22
「空色の手紙」_〜蝉の伝言〜_- 服部 剛自由詩10*06-8-22
空から未来が降ってくる- ぽえむ君自由詩17*06-8-22
イベリコ豚- 水在らあ ...自由詩39+*06-8-22
棚の中のきりちゃん_- 服部 剛自由詩21*06-8-20
美しい指- 石瀬琳々自由詩18*06-8-19
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送り火- Rin K自由詩27*06-8-18
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遠い下着- たもつ自由詩1106-8-17
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雨に目覚める- LEO自由詩15*06-8-12
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流し灯籠- たりぽん ...未詩・独白1006-8-11
朧夜- 霜天自由詩506-8-11
信濃追分の風- 服部 剛自由詩17*06-8-10

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