まぶた
たもつ

母が縄跳びをしている
僕はしゃがんで回数を数えている
あんなに腰が痛い
と言っていたのに
背筋をピンと伸ばして
交差跳び、綾跳び、二重跳び
次々ときれいに跳んでみせる
既に数は百回を超えて
五百回目あたりからやっと
これは夢なのだと気づき始める
でもその様子が見事なので
まだ数えながら眺めてる
やがて日も暮れたけれど
星が見えないあの暗闇のあたりは
僕のまぶたなのだろう
母の縄跳びは続く
謝ることがあったはずなのに
おそらく
一生謝ることはないと思う


自由詩 まぶた Copyright たもつ 2007-04-28 09:26:27縦
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