恋月 ぴの

重ねるほどに
見えるものまで見えなくなる

それを情け無用と切り捨てようにも
思うが侭にならぬ身体と
曖昧な優しさで隠す意志の弱さ

諦めることさえ捨て去ってしまい
手の中の小さな夢を頼りに生きてきた

それでも
思いついたかのように
書を捨て旅に出てみよう
チビた赤鉛筆ならぬ
数本のグァッシュで描くのは

決して顧みることのなかった
我がこころの深い傷跡と
萌える新緑に託す問うことの意義


自由詩Copyright 恋月 ぴの 2007-04-27 23:12:36
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