水彩の夢
A道化






淡く
夢にいた人は水彩でした


*


(あ、)


こめかみとシーツの間に
かすかに染み入り、そこから
まぶたに明けてゆく一筋の朝の滲みに、すっと
打ち消された夢の、最後の一瞬だけ
(あなた、と)
目と目が合った
そんな気がしたけれど
何処


はじめから
何処にもない水彩でした、その余韻を
その余韻を、その余韻をと
眼を閉じて探り当てようとする私という体の、どく、どく、
春に由来しないこのぬくさのこの鼓動がどうしても異物みたいで
はじめから何処にもなかった水彩の余韻を、余韻を、眼を閉じて
あなたを、あなたを、探り当てようとする私という体の
春に由来しないこのぬくさの


鼓動に
(あなた、)(あなた、)
紛れているようではじめから


*


夢にいた人は
何処にもない水彩でした


2007.4.24.


自由詩 水彩の夢 Copyright A道化 2007-04-24 10:58:55
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