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僕たちは行進する
雨と雨と雨の合間を
かなしみの残る青空に
バシュポン
圧縮した空気は開放され
白い弾丸は
砲の初速を逃れた彼方で
小さな羽を広げる

あの
遥か積乱雲と日輪草の
 ....
遠い空とつながったきみが
小さな点になる
それは消失してしまいそうな
さびしい孤独であるのに
ふしぎな水色に輝いている

逆さまから立ち上がるときのきみは
やさしい速度でやってくる
淡 ....
真新しいクレパスの
いっぽん、いっぽんに
なまえを書いてゆく
きみのなまえだ

先端恐怖症の妻は
体育着の胸に
名札を縫いつけてゆく
今日は調子がいいの、と言って

慈しみの雨が屋 ....
屹立した断崖に守られた
小さな浜である

波は平たく伸びて
漂着したものたちの空ろを
静かに洗う

持参した
小瓶のコルクをひねると
砂つぶのような詩がこぼれて
波にさらわれてゆく ....
一、蝉しぐれ

白い病の影がおりて
夏の命、際立つ


すり硝子の花瓶に
溢れていたはずの笑顔
シーツに残された
僅かな起伏は
生きていた
あなたの

散らばった
レモン色 ....
若草色のかざぐるまに
しがみついていた、あの人が
夕風にさらわれて
私の中を流れてゆきます

水たまりの映す青さの
ほんとうを
確かめるまえに
軽々と飛び越えて
もう
行ってしまっ ....
ほとんどの人は、もう
溺れているの
誰も気づいていないだけ

澄んだ指さきが
アルカディア、と答えて
空の一角をさす
新しい風景、新しい秩序
それは
見たことのない宇宙

(行け ....
耳から
抹茶がこぼれてしまうという
朝になるとシーツは
たっぷり緑を含んでいて
洗うたびに
深みを増していくのだという
(この時期だけなんですの

さして困ったふうでもなく
さらさ ....
路地裏のちび猫は
突入する赤に
踏み出す肢を迷わせる
産み落とされた残り香
ずぶ濡れのステップ

行きずりのハーモニカ犬は
油のしみ込んだ木柱に
鼻先をふがふが押しあてる
かつて高く ....
確かめるように差し出した
金魚引換券は
手のひらの熱で
もう、よれよれだ

  (ううん
  (いちばん小さいのがいいの
  (だって
  (いちばん大きくなるでしょう?

わがま ....
途切れがちの遠い波音に
あるいは
いつかの風景の肌ざわりに
私は
何を求めていたのか

カンバスは
筆先の触れた瞬間から
額縁にきちきちと収まってしまう
握り込んだ青い爪が
手のひ ....
私は元来
無口な男でありまして
うっかり、思慮深く思われがちですが
それは、本心を秘めている
というより、むしろ
現すタイミングを計れない
どうにも不器用な人間なのです


何か言わ ....
ゆふぐれ
ふみきり
みずたまり


おむかえの
はは、したがへて
黄いろいぼうし
せおう赤


あたらしいくつ
よごさずに
じょうずに
とべた、よ


はがいっぽん
 ....
あなたが
この頃やさしいのは
何か企みがあるのかと
首を傾げていましたが
いま、この橋にたたずんで
ようやく気がつきました
もう
春なのですね


欄干にもたれて
あなたの
い ....
帰宅ラッシュだった
階段で圧力に耐えかね
ひょろ長い女の背を
あわあわと胸で押してしまった

(押すなよおっさん!

おっさんではない
武士である



{ルビ法度=はっと}に ....
折りたたまれてゆく季節は
いつか振り返れば
一瞬なのかもしれない
湧きいずる水におされて
いま
雲母のいちまいが
なめらかに遠ざかる


使いきれなかったノートの白さ
描ききれなか ....
二日遅れのホワイトデーの
白いリボンを髪にのせて
ふわりと回ってみせる君は
大きくなったら
メイドになりたい
という

人様に奉仕したいとは
見あげた心がけだ

解釈は準備してお ....
春へと続く回廊は
まだ細くて
差し込む光に
白く歪んでいる
三月は
足裏を流れる砂の速さで
大切なものを{ルビ攫=さら}っては
あやふやなものばかりを
残してゆく


  いくつ ....
(また、お出かけなんだって、つまんない
保育園で唯一娘のことを
好き
と言って遊んでくれた友達は
先月突然、家庭の事情で引っ越してしまった

この町にも
あの町にも
ひしめく家並み
 ....
{ルビ微睡=まどろ}んで、乗り過ごすうちに
春まで来てしまった

0番線から広がる風景は
いつかの記憶と曖昧につながっていて
舞いあがる風のぬくもりが
薄紅の小路や
石造りの橋や
覗き ....
鳥は
自由に羽ばたく姿こそ美しい
私如きが
その軽やかな{ルビ踝=くるぶし}に絡みついて
ともに堕ちてはならない
いつか
大きな空になりたい
そんな、さよなら


相反する不確かな ....
うぐいす色の鳥のたねを
あたためる
その小さな手は
もう、知っている

ふくらむことの
喜び
ひとしく
うまれることの
尊さ


{引用=

むかしむかし
あるところに ....
朝起きるとボスだった
眉間に深い皺が刻まれていたが
特に不満があるわけではなかった

煙草をつまんで深々と吸い込む
ブラインドはない
のでカーテンから覗く
何ということのない休日の朝が広 ....
夕焼けは決して終わらない
さっき、オレンジのストローで
おもいっきり膨らませておいたから
輝く小石たちのいるポケットの輪郭
指先の土は、もう、乾いた


工事現場の重機の群れは
拳を打 ....
八角形の小箱は
ブルーウォーターで満ちていて
覗き込めば
ぶちの鞠が回転している

それは
滑らかな哺乳類の群れだ
あるいは
みるく色の
貝類の
ひとかたまりに
溶けて


 ....
あいかわらず武士だった
参代する日でもなかろうに
女房殿に渡された温かい包みを抱えて
坂を下ってゆく

*

何やら人垣ができていて
たいそうな{ルビ賑=にぎ}わいである
隣の女房が ....
西日のうちよせる窓辺に
幼い貝がひとつ
もぞもぞと動く白い靴下を
つん、とつけば、また{ルビ蹲=うずくま}る

どうしてこの子は
こんなに静かな遊びを
思いついてしまったのだろう
座り ....
朝起きると武士だった
(拙者、もうしばらく眠るでござる
と、布団を被ったが
あっさり古女房に引き剥がされた
長葱を{ルビ購=あがな}ってこいという
女房殿はいつからあんなに強くなったのだろう ....
幼子が堅く握った手を
僅かにゆるませるように
朝の光を浴びた梅の木が
真白い花を孵化させている

豪華さはないが
身の丈に咲く、その慎ましき花に
頬を寄せれば
まだ淡い春が香る

 ....
透明と漆黒の間
無限階調の青い温度を
滑らかにはばたく
マンタ
重力は知らない
裏返り、途絶えてゆく
浮力の哀しみだけを
白い腹に秘めて

辿りついた系譜は
争い合う知識ではなく
 ....
前田ふむふむさんの佐野権太さんおすすめリスト(61)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
鳩砲- 佐野権太自由詩27*09-7-2
空中ぶらんこ- 佐野権太自由詩19+*08-10-23
アヴェ・マリア- 佐野権太自由詩24+*08-10-7
波葬- 佐野権太自由詩12*08-5-21
夏を弔うための三重奏- 佐野権太自由詩31*07-7-19
風待ち- 佐野権太自由詩31*07-7-4
アルカディア- 佐野権太自由詩27*07-6-11
抹茶佳人- 佐野権太自由詩31*07-6-1
ブルー・ノート- 佐野権太自由詩17*07-5-22
春金魚- 佐野権太自由詩29*07-5-8
遥か、透明の過程- 佐野権太自由詩32*07-4-25
太宰ヒラメ- 佐野権太自由詩41*07-4-20
いちねんせい- 佐野権太自由詩23*07-4-17
桜川- 佐野権太自由詩31+*07-4-13
武士のきもち- 佐野権太自由詩34*07-4-5
青いピースサイン- 佐野権太自由詩34*07-3-29
お父さんスイッチ- 佐野権太自由詩53+*07-3-23
桜通信- 佐野権太自由詩18*07-3-5
あっかんべーの事情- 佐野権太自由詩17*07-3-1
春のホログラム- 佐野権太自由詩34*07-2-28
鳥の唄- 佐野権太自由詩17*07-2-23
初めての絵本- 佐野権太携帯写真+ ...17*07-2-21
ボスのブルース- 佐野権太自由詩15*07-2-20
夕焼けの小瓶- 佐野権太自由詩18+*07-2-19
レモン海- 佐野権太自由詩26*07-2-16
武士と猫- 佐野権太自由詩21*07-2-9
貝あそび- 佐野権太自由詩29*07-2-7
武士のつかい- 佐野権太自由詩58*07-2-6
春の歩み- 佐野権太自由詩27*07-2-5
ホバリング- 佐野権太自由詩19*07-2-2

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