きっと、知らない町なんだと思う
不器用に建ち並ぶ、高層マンションに隠れている
ありふれた日常だとか、錆付いたマンホールの下から
伝わってくる、救いようのない虚しさだとか
見慣れた信号の色と形で ....
 夜の底を穿つ水音
 眠れぬ魂のノクターン
 聞いているのは無欲な死人
 潰えた昨日を懐かしむ
 夢路の扉は閉ざされて
 明けない夜の牢獄で
 呻いているのは咎人ばかり


 その頃 ....
それから(あ…

涙のさめる速度で
失ってゆく
かつての海原へ
予感する視線がまっすぐ立ち
地軸のかたむきをなぞる
そっと
(夢を瞳の奥に燃やしている核心
のぼっていった少しばかりの ....
  はじけた言葉の勢いで  
  ドアを蹴って飛び出した 
  夕暮れの空に浮かぶ金星    
  ポケットには月の石


  言わずにいさえすれば  
  通り過ぎた一日
  ひと言 ....
夕陽オレンジがとても綺麗だ

あなたもそう感じたのなら
わたしの手は握らなくていい
舌を出しながら遊んでればいい
まわる毒がまわったら倒れたらいい


これはきっと夕方のはざま

 ....
旅程、 それは
気体としての体の呼び名
約束は山嶺のむこうで
鼓動が、 「遠く」と嘆く
あなたの住む町に
なごりを凍らせて
肌の温度で流れ出す
液体としての心

  はるか、 はるか ....
{引用=
あれはたしか小学生のころ
ちいさな花をいじめたことがあった
冬がカサリと音を立てはじめたある日
お母さんがお庭でいっしょうけんめい
そだてた花を


「しゃんとしなよ」
「 ....
 生きてると
 嫌なことや
 気持ち悪いことや
 やるせないことや
 許せないことや
 悔しいことなんかが
 いっぱいある

 ま、いっか
 
 自分の心に言い聞かせる
 言 ....
曇天、つまりは
避けられない
透明に張り付いた埃を
雑巾がけして
嘔吐。
そして、勃起。


「明日は、雨。」
嗚呼、あいつらの
裏返しが
窓際にうずくまってる。
風邪を拗らせ ....
恋しさにとまどう心シクラメン
    うつむく頬にそっと紅さし


今もなおあの日の夢にくちづける
    クリスマスローズ淡き語らい


冬を恋いうす黄に咲くはわが心
    いつ ....
かいちゃんはまだ歩けない
もうすぐ一歳と五ヶ月になるのに
まだ歩かない

だけどハイハイはとっても上手
ものすごいスピードで突進して来る
逃げるのだってとっても上手

おむつ替えや着替 ....
 「そうじゃなく、忙しくて

 「つい・・・・

 無視するつもりは終(つい)ぞなく
 なんとなく、踏んでしまった過ちの日を重ね
 やがて君たちが冷たくなって 眠る街に
 雪は降り積り  ....
記憶の ぬくもりが
朝のラインに 並びます
いくつかは やわらかく はじらい
いくつかは つめたく ゆるされて

/濡れた空に 水の旗が ゆるやかに たなびいています/



それで ....
眠りに落ちると
いつもそこは凍夜
誰にもじゃまされず
暗闇を独り占めする

   外ではひどく激しい気流
   雲で空に恨み言を描き付けて

あのころって、いつだ?
わたしたちって、 ....
  五月の青い闇の中
  私はか細い少年になり
  夢の迷路へ踏み入った


  白いうなじに風を受け
  はだしの足で土を蹴り
  煙る街灯はすに見て
  ネオン流れる色街へ

 ....
欠けている
それだけで思い悩む
砂のようないのち
たとえば
ふたつの石を打ち合わせて
火をつくる
そのために
石が欠けたとしても
かまわずに石を打つ
ただ
火をつくる
それだけの ....
 詩とはそもそも預言の性質を持っていると、
私は考えている。過去をさぐって、未来に役
立てるのが歴史とすれば、詩とはもっと漠然
としたものを、実証に基づかずに、さらに言
えば、無責任に ....
色を持たない水彩画のように
雨が。

数えてよ そのいくすじか
みつめてよ その息づかい

ふるふれ 雨の無表情

  
 ....
この街にまだ雪は降らない
灰鼠色の空は浅い冬のまま
恋人たちの吐息や
ブランコを揺らす手に護られている


わたしの何処か深くにある黒いものや
寒い、と寂しい、が似ていること
それに気 ....
羽が
風を巻いている
葉から 黒から
生まれてはもどり
消えかけた輪を空に置く


折れた枝
弓なりの雪
空へかがやき
問いを放ち
誰も恨まぬ応えを浴びる


 ....
湖心から湖畔へと

一艘の無人の白いボートが

静々と漂つて来る

寄せくる波に身を委ねて

従順な驢馬のやうに

いつたい何を乗せるつもりなのだらう

あるいは誰を
 ....
{引用=映写機の音がする}



彼は 人のいない小さな劇場の

 古く湿った 客席に座り


 白くぼぉっと光るスクリーンを見つめる




 {引用=ただ、かたかたと廻 ....
それで ええねん


そんなふうに やさしくしてくれたりな


そんなことでも ええねん


その気がないことだとか

そんなことは ええねん


むしろ 期待することが  ....
{ルビ都会=まち}のなかで

電線に絡めとられた満月がわたしを見下ろす
おまえは自由なのだとでも言いたげに

「ほんとうのしがらみは見えないものなんだよ」
とつぶやいて

蛍光灯のした ....
ほら
雪って、生きているのよ
空からここまで辿ってきた足跡が
真っ直ぐじゃない

一粒ずつみてごらん
そうしたら、ね
小さな顔がある
あ、いま 目線が合った
雪はそのむかし 薄紅 ....
雪ん子舞い散る故郷から
童子たちのまぶしい笑顔が消えた
あの頃の笑い声は
顧みることを忘れた古いアルバムのなか


北風ぴゅうぴゅう寒かろう


すっかり刈り取られた稲田を望む
古 ....
あなたに出逢ってから
私は雪原となっていきます

本当の私は
もうどこかに埋もれてしまって
私はただの一面
白く変わっていくのです

あなたの目にも
私は何の色彩も持っていない
存 ....
古いモルタルの
アパートの二階へ続く階段を
普段どおりに駆け上がる
足音はある意味合図だろう
鍵穴にキーを差し込んで
ここまでは完璧にいつも通り
ドアを開けた途端
部屋はいい匂いに溢れて ....
疲れた顔したあなたの前に 
一杯のお茶を置く 

( そこにいてほしい 
( くつろいでほしい

長い間 
心に固く閉じていた 
{ルビ蓋=ふた}を開いて 
今までそっとしまっておい ....
{引用=*四行連詩作法(木島始氏による)
1.先行四行詩の第三行目の語か句をとり、その同義語(同義句)か、あるいは反義語(反義句)を自作四行詩の第三行目に入れること。
2.先行四行詩の第四行目の語 ....
前田ふむふむさんのおすすめリスト(2307)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
君に会いに行く- 青山スイ自由詩4906-12-11
眠れない夜のために- 月夜野自由詩13*06-12-10
流舞結晶_〜冬のクジラとさいかい〜- こしごえ自由詩26*06-12-10
14の夕暮れ- 月夜野自由詩11*06-12-10
オレンジ- 白雨パル自由詩17*06-12-10
旅程、もしくは別の呼び名で- たりぽん ...自由詩15*06-12-10
冬の庭- まほし自由詩27*06-12-9
ま、いっか- 山崎 風 ...自由詩1006-12-8
晴れるといいな。- はらだま ...自由詩6*06-12-8
花言葉Ⅲ- 石瀬琳々短歌14*06-12-8
かいちゃんとあんよ- 未有花自由詩22*06-12-8
累積されたカン違い- atsuchan69自由詩7*06-12-8
小箱のなかで(三)- 青色銀河 ...自由詩11*06-12-8
凍夜- たりぽん ...自由詩15*06-12-8
色街幻想- 月夜野自由詩18*06-12-7
eclipse_*- 岡部淳太 ...自由詩13*06-12-7
わたしは、アルファであり、オメガである- 杉菜 晃散文(批評 ...12*06-12-7
色を持たない水彩画のように- 藍静自由詩23*06-12-7
雪待ち草- 銀猫自由詩21*06-12-7
午後の息- 木立 悟自由詩506-12-7
ボート- 杉菜 晃自由詩15*06-12-7
彼の_人生- もも う ...自由詩27*06-12-7
せやねん- わら自由詩27*06-12-6
影踏み- lazy自由詩22*06-12-6
はつ雪の、舞う- Rin K自由詩32*06-12-6
雪ん子のうた- 恋月 ぴ ...自由詩28*06-12-5
雪原- 三条麗菜自由詩10*06-12-5
さよならは言わない- LEO自由詩24*06-12-5
お茶の時間_- 服部 剛自由詩19*06-12-5
四行連詩_独吟_<模様>の巻- 塔野夏子自由詩10*06-12-5

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