すべてのおすすめ
なぜ彼等はあの日、自ら日々の線路を下りて 
漆黒の闇の彼方へ堕ちていったのか――? 

地上に堕ちた天使等は、時に 
ふたたび空へ舞いあがってゆくだろうか――? 

地上に遺されたひとりの ....
体の無い死者が描いた絵を 
体のある生者は、額縁に    
重ねるだろう 

生者の描いた絵は 
死者が透きとおった額縁に 
重ねるだろう 

震災から一年後 
旅人の僕 ....
「 いってきます 」 

顔を覆う白い布を手に取り 
もう瞳を開くことのない 
祖母のきれいな顔に 
一言を告げてから 
玄関のドアを開き
七里ヶ浜へと続く 
散歩日和の道を歩く 
 ....
どうやら僕は
今迄の思い出を 
大事にしすぎたようだ 

部屋の中は 
まだ終えてない宿題みたいな 
山積みの本  

ポケットの中は 
札は無くともささやかな記念日の ....
三日後にわたしは 
三十三年間着ていたわたしを脱いで 
風の衣を着るだろう 

その時世界の何処かに響く 
あの産声が 
聞こえて来る 

その時空から降る 
透けた掌と差しのべるこ ....
一月前に倒産した
詩学の社長の寺西さんが
事務所の布団に横たわったまま 
十日前にこの世を去った 

様態急変による 
脳内出血であったという 

三年前の「青の日」で 
互いの詩を ....
昨日のゴミ置き場で 
幸せそうに日向ぼっこしていた 
白い便器の蓋が 
今日は無い 

腰を痛めて十日間 
介護の仕事を休んでいたら 

先月の誕生会で 
目尻の皺を下げていた 
 ....
今日は盆の入りなので 
夜家に帰り門を開くと 
家族は敷石の一つに迎え火を焚き 
両手を合わせ
揺れる炎を囲んでいた 

初老の母ちゃんが 
「 お爺ちゃんがいらっしゃるわよ 」 
と ....
夏も近づく梅雨の晴れ間 
老人ホームのお風呂場に 
次から次へと送り込まれる 
体の動かぬお年寄り 
丸い背中をごしごし磨く 

自分の姿を鏡を見ると
いつのまに 
ずぶ濡れのTシャツ ....
  谷川俊太郎様 

 今僕は、ショパンを聞きながら手元にある詩集を開き、「ネロ」
という詩を再び読もうとしています。もし、人の心からいつまでも
消えることの無い詩があるならば、今から五十年以 ....
わたしはいつも、つつまれている。 
目の前に広がる空を
覆い尽くすほどの 
風に揺られる{ルビ椛=もみじ}のような 
数え切れない、{ルビ掌=てのひら}に。 

その手の一つは、親であり  ....
あっ 

と九十過ぎの{ルビ老婆=ろうば}が言うと 
黒い杖はエレベーター十階の 
開いたドア下の隙間にするりと落ちて 
奈落の底で 
からんと転がる音がした 

「 杖も毎日使われて ....
君のその白い腕に 
ふれたいよ 

君のその首すじに 
髪の薫りを 
かぎたいよ 

瞳と瞳を一つに重ね 
すべての世界を 
溶かしたい 


  *


( 車窓はいつ ....
毎日ともに働く人が 
あれやって 
これやって 
と 
目の前に仕事をばらまくので 

わらったふりで 
腰を{ルビ屈=かが}めて 
せっせ せっせ と 
ひろってく 

そのう ....
彼は探していた
花束を手渡す
たった一人の{ルビ女=ひと}を

高い壁に挟まれた路地
いくつもの窓の隙間から 
漏れる{ルビ喘=あえ}ぎ声を耳に
彼は通り過ぎた  

( 一面の曇り ....
灰色の壁に囲まれた
音の無い部屋

黒い衣を身に{ルビ纏=まと}い
「死」を決意した病の老女 
一点をみつめ 
椅子に腰かけている 

( 左手の薬指に今も{ルビ鈍=にぶ}く光る 
 ....
日中の忙しさからすっかり静まり返った 
午後九時過ぎの特養老人ホーム

入院先で亡くなった 
Y爺さんの{ルビ亡骸=なきがら}が入った棺桶は 
施設内の小聖堂に運ばれた 

いつもはほと ....
夕陽をあびる 
丹沢の山々に囲まれた 
静かな街の坂道を 
バスは上る 

時々友の家で 
深夜まで語らう
( 詩ノ心 ) 

午前三時 
友の部屋を出て
秒針の音が聞こえる部屋 ....
残業の仕事につかれて夜道を歩いていると、
遠い空の下にいる君の声が聞きたくなり、
携帯電話を持たない僕を、
闇に光る電話ボックスが声も無く呼んでいるようで、
僕は今夜もガラスのドアの中 ....
平日、日がな部屋に篭り、息が詰まりそうであった。 
暗い部屋の雨戸の隙間から射す一条の光に呼ばれて、
ベッドから身を起こし、外へ出る。 


( 日を浴びて、空を仰いで、息を吸い込む ) 
 ....
仕事を終えると皆は帰ったので、私は独り、
他部署へと続く施設内の長い廊下を渡った。 

白壁の扉を開くと、そこは特養ホーム。正方
形の四隅を結ぶ四つの廊下に並んだ部屋を、
若い夜勤者達は忙し ....
上司の心ない一言に火が点いて 
職場のちゃぶ台をひっくり返した日
しょんぼり夜道を歩いていると

通り道のボクシングジムから 
ばす ばす と
瞳をぎらつかせたぼくさーの 
ひたむきな ....
ましろい表紙の中心に
産み落とされた
原石の塊
見えない核に宿る(詩)に結ばれ
六つの方角へと 
自らの背を伸ばそうとしている   

( 遠天の夜空に燃える太陽 
( あるいは明け方 ....
いつまでも 
ひとりでいるのはさみしくて 
旅先で 
出逢ったきみに会うために 
遠い雪国へ
ぼくはゆく 

金はなく 
新幹線にも乗れず 
長いトンネルを抜けた
夜行列車で目覚め ....
母親が子どもを抱いて 
遠くから走って来る車が横切る前に 
駆け足で道路をわたった 

「向こう岸」の広場に辿り着き 
母の手からそっと地上に降ろされた子どもは 
嬉しそうに両手をひろげて ....
仕事帰りの夜道 
北風{ルビ凍=し}みる首筋をマフラーで{ルビ庇=かば}いながら 
それらが遠くに光っているのを見ると 
何故か吸い寄せられ 
いつのまに 
ペットボトルの並ぶ
窓の前に立 ....
一面に広がる{ルビ金色=こんじき}の 
麦畑の上に浮かぶ 
一本の道 

飛び込み台のように 
道の途切れた向こうに浮かぶ 
{ルビ一艘=いっそう}の船 

途切れた道先に 
組んだ ....


 先ほど、近所を散歩していました。友の唄声(CD)を聞きなが
ら布団に入っていましたが、来年から始まる新たな夢のことを思う
となかなか眠ることができませんでした。外に出ると、深夜3時半
 ....
見上げると 
ひらひらと北風に舞う 
たましいのかたちをした 
まあるい葉が一枚
落ちてきた 

{ルビ煉瓦=れんが}の{ルビ椅子=いす}に座ったぼくは 
腰をかがめてそれを拾うと 
 ....
壁の取っ手にかかった鍵は 
{ルビ紐=ひも}がほどけてするりと落ちた 
それを拾って結んだぼくは 
壁の取っ手に再びかけた 


( 紐をつまんで手にした鍵は
( いつも人の心の鍵穴に
 ....
前田ふむふむさんの服部 剛さんおすすめリスト(83)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
風の息吹__- 服部 剛自由詩212-12-4
更地のひまわり_- 服部 剛自由詩512-11-17
海に還った祖母に捧ぐ_- 服部 剛自由詩3509-1-24
Freedom_Song_- 服部 剛自由詩32*08-9-22
風の衣_- 服部 剛自由詩2008-7-8
密葬の夜_〜青の日〜- 服部 剛自由詩607-12-9
「_無_」- 服部 剛自由詩32*07-11-6
盆ノ夜_- 服部 剛自由詩9*07-7-14
年寄りの湯_- 服部 剛自由詩307-6-29
谷川俊太郎氏への手紙_〜名詩を読む①〜_- 服部 剛散文(批評 ...6+*07-5-13
椛の木陰_- 服部 剛自由詩25*07-4-24
古い杖- 服部 剛自由詩12*07-4-18
夢の花- 服部 剛自由詩13*07-4-16
畑の道にうつむく人_- 服部 剛自由詩18*07-4-6
砂の街_- 服部 剛自由詩11*07-3-25
「_椅子に座る老女_」_- 服部 剛自由詩7*07-3-16
「_遺体の顔_」_- 服部 剛自由詩10*07-3-8
「_遺影の顔_」_- 服部 剛自由詩10*07-3-4
また一つ、愛が終わった。_- 服部 剛未詩・独白7*07-2-22
(_空ノ声_)- 服部 剛自由詩807-2-13
「_展覧会の絵_」- 服部 剛自由詩7*07-2-8
さんどばっぐ座- 服部 剛自由詩14*07-1-18
「_反射熱_」_〜創刊に寄せて〜- 服部 剛自由詩16*07-1-3
雪原の足跡_- 服部 剛自由詩15*07-1-1
風の手のひら_- 服部 剛自由詩8*06-12-22
冬の友達_- 服部 剛自由詩8*06-12-21
麦畑の舟_- 服部 剛自由詩16*06-12-20
_あなた_への招待状_〜新たなる夢について〜_- 服部 剛散文(批評 ...7*06-12-18
たましいの葉_- 服部 剛自由詩18*06-12-17
鍵_- 服部 剛自由詩7*06-12-16

Home 次へ
1 2 3 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する