倉持 雛

僕が悲しくて泣いていたら
雨が降ってきて
神様も一緒に泣いてくれた
 
 
 
それはすごく
やさしくて
あたたかくて
ブクブクと
グツグツと
溜まった涙の水たまりが
沸騰をはじめた
 
 
 
中に人差し指をつかしてみたら
ぬるっとして
第一関節まで溶けてなくなった
一本だけ短くなった指を
もう片方の手でそっと撫でて
不揃いな手でお祈りをした
 
 
 
少し冷えて
なんだか眠くなったから
あお向けに横になった
だんだんと
平べったくなっていく体に
恐怖はなく
むしろ
あたたかな水温が気持ちよかった
 
 
 
お風呂に入っているみたい
適温35度の沸点で
徐々に徐々に
つま先まで溶けるのを待つ
 
 
 
ただ、それだけ
 
 
 


自由詩Copyright 倉持 雛 2007-04-24 07:14:20
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