夜空に、ひしゃく星


 くらやみは
   すくわれることなく
     すりぬける


あなたとわたし、
街灯りを遠くに眺めながら
水を打ったように静かな公園を歩いていると
一 ....
わたしは眠ります。

目を閉じ、
膝を抱えて、
冷たい液体に浸され、
ふゆる堕ちて、

目を見開き、
網膜に最後の瞬間を焼き付け、
固い地面に叩き付け ....
いちばんふしあわせで
かなしい場所を知っているかい
それは穢れも痛みもない
世界だよとあなた
岩清水のようにうつくしく笑った


透明の
ほかには
なにもない世界
てりつく光が
 ....
待合室には
女の子を連れた母親と
少し離れたところに
人の良さそうなおばあさんが
座っていた

熱のせいでボゥッとなった私の目も耳も
何も見ようとも聞こうともしていなかった

「お子 ....
  あなた、アオウミガメの背中を
  匂ったことはあって?



少女は
さして、答えを求めるふうでもなく
空と海の継ぎめを見つめたまま
潮風にふくらんだ髪を
そっと抑える


 ....
どうしても捨てられないものがある
幼い頃母に買って貰った運動靴
靴入れの奥に今も大切にしまってある
いつかあなたもシンデレラになるのかなと
七歳の誕生日に買ってくれた運動靴
そういえばこの季 ....
わたしがうまれた宇宙は、
とても深いところにありました。

そこは何もかもが、
ゆっくり動いていて、
まるで止まっているような、
時がながれていました。
 ....
海という隙間で息も絶えだえに
船がただひとつ進めない方角があり
羅針盤の鏡にこうして映すと
宇宙も空も無くなる時間なのに鏡は
越えられない境界線を示すだけなのです

宇宙に似た深い暗闇を
 ....
#61

 驚異的な安定感と正確さをもって
 一本の真っ直ぐな線を
 真っ白な紙に引く
 その限りなく単純な美しさ
 全く無駄のない澄み切った一瞬

 そんな生き方が欲しいのだ

 ....
水面にゆがむ月よ
滑らかならぬ蒼白い顔は
私を待っていたのでしょうか
それとも見送ってくれるのでしょうか

足を止めると
あなたはきらりと
涙を放ったように見えましたが
驕りだったよう ....
眠れぬ夜が
大きな口をあけ
数珠繋ぎの言霊を
ひとつ食み
またひとつ食み
私をおいて
月の光ばかりが蒼白く
           強くなる

溢れた涙を
瞳に返せはしないけれど ....
夏の涼しい夕暮れに 
恋の病にうつむく友と 
噴水前の石段に腰掛けていた 

( 左手の薬指に指輪をした
( 女に惚れた友が 
( 気づかぬうちにかけている 
( 魔法の眼鏡は外せない  ....
さびれた歩道橋の上で
夏を見上げると
空、空 
本当に海まで続いているのだろうか


この橋の下を流れる車の群れが
緩やかな河口付近の川だったらいい
時折陽射しに煌めくヘルメットが
 ....
濡れた月は、
この上ない美味である。
薄く雲のかかった、
十六夜月の、
あの豊穣さといったら、
想い出しただけで、
灰色の大脳が蕩けてしまう。

満月の ....
このようにして
夏を取り巻く呼吸は
やがて薄れていくのです
擦り剥いてしまった、膝のような
削られていく私たちを
夏空はどんなふうに
抱いてくれるでしょう


グラスの中の氷は
き ....
そういえば
一昨日から何も喋ってない

美味くも不味くもない中華そば屋で
気付いてしまった
食べ終えてアパートに帰るまでは
気持ち抑えておこう
と思った先から
残り半分の麺の量が全然 ....
私は言葉だ
私は日々 消費される 切り売りされている
切り花のように美しく 華美でいて
造花のように どこかしら胡散臭い
私は言葉という散財好きな令嬢である
はたまた この世で最も蔑視される ....
夜を乗り越える呪文
古いノートの落書きから思い出す
詠み方を忘れた大人には
雑踏に落ちている足音に似て
あどけなく残酷な

季節を乗り越える呪文
変色した写真の束から探し出す
今日しか ....
日没にはまだ少し早い
真昼の太陽で暖まった道は
この足どりを重たくする

ふうと
ため息に似て
諦めともつかない
息を吐きかけたとき
風が首のあたりを
掠めていく

この道の
 ....
夏をつれてくる妖精がいないから冷やし中華を初められない


泣きながら闇夜に響く帰り足コンクリートは{ルビ夏=プール}の青み


ウェディングドレスの中で夏に埋む指の日灼けを抱いて遠くへ
 ....
密集した小さな穴々から、予覚された円柱へと、いくつもの湯の筋が地の粗い曲線を描きこむ。湯の筋に閉じ込められた空間は火のゆらぎをきざしているが、私の体によって、様々な輝度から破壊される。この瞬間にも、時 .... うやむやに熔けてしまっていませんか
その夕暮れに

指揮棒に従うことで
いくつの雑音を聞かずに済みましたか


なつかしい歌たちに包まれたい日があります
拒みたい日もあります

 ....
せかい、というビンのなかに雨がふります。
あおくとうめいな悲しみが、
ガラスの内がわにすいてきとなって、
したたっていきます。

ビンのなかでも、
そらは、どこまでもはてがないようで、
 ....
ごみ袋を引きずって、
外に出る。
家の外に出るのは、
三日ぶりだ。

ずるずると、
アスファルトの上を、
引きずって運ぶ。

集積所の周りでは、
ご ....
全てを捨てて旅に出よう
今まで掻き集めた
宝物がくすんでしまう前に

もうじき夜が明けるなら
穴を掘って
この身を横たえよう
眩しい朝日に
意識が溶けてしまう前に

真っ直ぐに前を ....
(でっかいのが、死んだ。)

風殺すようないかり肩に丸刈りの白髪頭乗せて来るのは あれは
ロブス 漁師で 工房の隣の教会の管理人だ
逆光でも分かる お調子者の いつものいたずら ....
照りつける夏の陽射しの下 
墓石の群を横切る私の地面に頼りなく揺れる影 
一瞬 頬に見えた{ルビ滴=しずく}は 涙なのか汗なのか 

( {ルビ嘗=かつ}て 一途だった少年の恋は
( 夏の夜 ....
「輪郭はね、大きすぎない方がいいと思うんだ。
    両手を、こう。ゆらりと、一杯に広げたくらいの」




朝の電車は
どこかに海の匂いが紛れている
だから皆、溺れた ....
昨日は切なさを
今日は愛おしさを
明後日は狂おしさを
一枚
また一枚
引き剥いだ心から溢れ出る
あかい
あかい溶液は
あなたの眺める空を
あなたの愛でる花を
染めぬいてくれるでしょ ....
水深5キロメートルの恋に落ち プールサイドで墜落する午後




砂浜の午睡からうつら目を覚まし すいかの縞の波に溺れる




ピーラーで削がれ半裸になりしきみ 水にさらせば ....
前田ふむふむさんのおすすめリスト(2307)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ひしゃく星- まほし自由詩13*06-8-2
「_わたしは眠ります。_」- PULL.自由詩11*06-8-2
笹舟- 明日殻笑 ...自由詩12*06-8-2
病院- さち自由詩14*06-8-1
回遊する少女_(アオウミガメ)- 佐野権太自由詩30*06-8-1
捨てられない運動靴- 恋月 ぴ ...自由詩47*06-8-1
「_こすもふぃりあ。_」- PULL.自由詩18*06-8-1
ひとしずくの水彩- たりぽん ...自由詩1706-7-31
フラグメンツ(リプライズ)_#61〜70- 大覚アキ ...自由詩906-7-31
渡月橋- Rin.自由詩19*06-7-31
蒼白の月- Rin K自由詩20*06-7-31
呼声- 服部 剛自由詩20*06-7-30
海へ- 銀猫自由詩24*06-7-30
「_ひとくちの月。ふたくちの夜。_」- PULL.自由詩21*06-7-30
夏水- 霜天自由詩1006-7-30
人の会話- AB(な ...自由詩1106-7-29
「愛している」- きりえし ...自由詩8*06-7-29
驟雨の足音、あどけなく- たりぽん ...自由詩17*06-7-29
夕刻、蝉の声- LEO自由詩14*06-7-28
【短歌祭参加作品】ゆめのなかのこいびとたち- ピッピ短歌1106-7-28
生活- 葉leaf自由詩6*06-7-28
メイプル・ハープ- 千波 一 ...自由詩24+*06-7-28
せかいというビンのなかにふる雨- 光冨郁也自由詩20*06-7-27
「_みごみ。_」- PULL.自由詩10*06-7-27
僕は祈る言葉を知らない- プル式自由詩5*06-7-27
パサヤ・ドニバネには道が一本きりしかない- 水在らあ ...自由詩56*06-7-27
渇いた夏_- 服部 剛自由詩26*06-7-26
祝福- 霜天自由詩1306-7-26
百日紅- Rin.自由詩24*06-7-26
【短歌祭参加作品】半透明の夏- 望月 ゆ ...短歌29*06-7-25

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