雨が降って
窓にはかげろをがびっしり
もうすぐ おとうさんが
おとうさんが迎えにくるから
わたしは、河原にせりだしてつくられた
お店の椅子にこしかけて
2分おきにかげろの数をかぞえてる
月 星 を 必要と しないよ

陽光を 恋さない つれない 夜

あたりが 眠りの なかに あった 夜 に

茫洋な 空路から たましいの まなこたち が

目ざめを 見開 ....
誰かと笑い転げる日々を過ごす私
仮面を一枚{ルビ捲=めく}れば 
誰の手も触れ得ぬ「もう一人の私」がいる 

あたりまえの幸福は 
いつも手の届く場所にあり 

浜辺へ下りる石段にぽつん ....
丸みを帯びた光は
瞼を下ろすたび
その裏に
微かな影を描く

碧さを含んだ風が
誘いかけても
膝を抱えたままの両腕を
微動だにしないで


 閉じたままでは
 何も見えない
 ....
紙屋町から橋を渡ると
折り鶴に祈りを捧げるための
順番待ちの列
それは確かに祈りのかたちだが
朝夕の公園掃除とは
似てもにつかない

ベンチに座り
おにぎりを取り出すと
えらそうに鳩 ....
 勢いこんで始めてしまった「近代詩再読」シリーズ。前回は長い詩暦を誇る草野心平をとり上げたが、今回はいきなり立原道造である。草野心平は八十過ぎまで生きていた人だが、立原道造はわずか二十四歳で亡くなって .... 長いこと油を注してくださらないので
歯車がきしみます。
近ごろはゼンマイも巻いてくださらないので
動きはすこしずつ鈍くなってゆきます。

けれどわたしはまだ動けます。
きこきこと歩きます。 ....
退屈なものは誰かに任せて
白い帽子をいつも被った
揺らいだ道は長く、長く
熱のこもった視線は透き通る
揺らぐ陽炎、ここでもきっと
長い呼吸は約束されない

ここに来ない人がいた
待ちぼ ....
人がまた、遠くからやってきて
自由な姿勢で挨拶を続けている
寒いと言っていたのは、遠い昨日のことで
引き寄せた椅子に浅く座って
遠く、海ばかりを見ている

すすけた額縁から絵を取り外すと
 ....
噤む蕾は
朱色の予感をいよいよ過密化させ
その内圧の快感に震えついに
耐え切れなくなる黙秘破る色彩という最も濃厚な
ひとつの呼吸を開く
と、既に色彩は、さらさら
さらさらと分解し始 ....
点滅を繰り返す信号を
いくつ、くくれば
朝を迎えられるか試す夜

踊る、踊る
ステップを踏むのは
この足じゃなく
打ちつける雨

ゆらゆら揺れる
心ごと体ごと
壊してゆくリズム
 ....
ひな鳥の声が
どこまでもまっすぐにのびてゆく
こだまも 霧も
親鳥も知らずに
崖の上の森から
次々と旅立ってゆく



淡く灰色に点滅しながら
世界は世界から離れてゆく ....
わたしがナミダチョキンを始めたのはいくつの時だったか。

納得がゆかぬことで父に叱られ泣いて、泣いた事でまた叱られもっと泣いて
その泣き方が悪いとまた叱られナミダ涙の悪循環。
いつしか泣いたら ....
ほら
徐々に白昼は
朗らかな華やかな他人となり
朗らかに、華やかに
高くなり
遠くなり


ずっと
最適な肌へ
熱を当てそこない続ける私の体の
どうしようもなく密 ....
{ルビ故郷=ふるさと}に近づく列車
向かいに座った女性は
首のすわりかけた赤子を
前向きに抱えていた

一瞬、驚いたあと
すぐにうつむく仕草は
内腿の{ルビ痣=あざ}を
男子生徒にから ....
一人で行った交通科学館からの帰り道
環状線で小学生の僕は
財布を落とした

鶴橋駅の連絡改札は
近鉄線の切符が必要で
連絡切符を買っていなかった僕は
家に帰れない

途方に暮れる僕に ....
ああ、男は36階の屋上で
誰一人居ない 屋上の一角で
この世の切なさと
この世の厳しさに
ゴクゴクと酒を飲む
だが、しかし
不本意にもああ、不本意にも
足を酔いに取られ
誤ってフェンス ....
目を閉じて見つめる
記憶の中・・・・
 

小さい頃のわたしが
若葉の蔭で
耳を澄ましている
 

「何を聴いているの」
と たずねたら
「こもれび」
と 言って上を向いた
 ....
街よりも少し高く
空よりもずっと低い
僕はここにいます

街には今日も
ひとりきりがひしめいていました

あなたがはぐれているのは
海です

僕がきらきらの粒を
あなたのため ....
冬は起ちあがり
世界は染まる
風のない
夜の明るさからやってくるもの


輪の星の目を
時計の目が見つめる
舌 傷口 くちびる
ためらいのなかはばたく
夜の手の羽たち
 ....
   
{引用=  あのひとの記憶がしずむ海は、いつしか防砂林で見えなくなった
  越えられない高さに、すこし安心した}   





砂が、降って
深く深く沈んで 底まで
皮膚 ....
名の無き道に
いつかふたりで
残した足跡を辿る

 咲いた椿を
 ひと目見たくて

斜陽にそっと
伸ばした指先

 溢れた椿に
 躊躇うばかり

枝先から
落ちた瞬間
名 ....
誰のものでない足跡が
泥のような海に向かっている
きっと
闇の生まれるところ、
果てと呼ばれる
光、奪われる場所の
刹那の真実を知りたくて

、対消滅
小さな声でつぶやく
今日も遠 ....
 湯田は温泉街なので、道を歩いていると数人で腰を降ろし足浴で
きる場所が何ヶ所もあった。記念館に近付くにつれて、「中也ビー
ル」という暖簾の文字が風に揺られている店をいくつか見かけた。 
 中原 ....
疑惑が影のように付き纏い
例え太陽が不実の濡れ衣を押しつけようとも
もはや私は何も云うまい

風のように草原を渡り
波のように寄せて行く
無口な一つの現象のように
ただ行動のみで
わた ....
雨の

始めの

ひと粒

ふた粒


私だけに
与えられた
もののように
この頬を濡らす

あなたの指先に
近い温度で
それは言葉にならない思いであった
母は母であった
息子は息子であった
いずれは離れ離れになる定めだった
『ふたりは生き別れる』
それは別段、不幸なことでもなく
いつまでも悔恨に捕らわれるこ ....
失ってしまったと
知らせに突かれて
霧雨の中へ飛び出したから
取り込み損ねた洗濯物のように
さびしく湿ってしまった

    時計は無慈悲に
    時を奪っていく装置
    刻んで ....
暁の空から出ずる陽の光
 受ける力に今日を夢見て
抱き合うことで
すくわれるたましいの
とおく
海を泣いて

あなたが翔けていく
わたしもはしる
とおく
たましいの

秘密の場所
わたしは
自由だった
わたしとして

ほ ....
前田ふむふむさんのおすすめリスト(2307)
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