男は速度を
なくした
それは
止まる
ことだった
男は欲した
口に言葉
手に文字
そして
生きた
自治区
と呼ばれる
区域の
辺境の村で
男が再び速度を
手に入れたと ....
そこにやさしく出来そうな気がして
後ろに回した手でしっかりと繋ぎ合わせて
周回遅れの二順目で考え込んでいる
白く霞んで、言葉は
国語の教科書の裏側の回りくどさで
声を揃えて読まなければ
先 ....
星砂は生物の死骸で
きらきら光ったりはしない
でも星砂はそれなりに夢の結晶
そういうものならあげられる

ビオトープには囚われのメダカ
アクアリウムには透明なナガスクジラ
プラネタリウム ....
霊魂のような声が聴きたい


身をよじらせるだけで震えるだけのこの小さな存在を


昇華して光は色になるのだ。
向かい風が強く
帰路を遮っていた

ネクタイに残る斑点
三月に降る雪はいつもより
駆け足に融けていくようだ

見上げた街頭が染める
閉じ行く季節の徒花は
移ろう時に逆らいながら
自 ....
風車が
巨きな時計のようだ
三つの針を吹雪にまかせて
早回しで、ゆっくりとまわる

うなっているのは
雪を孕んで吹く北風
だろうか
誘導電流を生み出すコイルの声
それとも
ただの  ....
書けなかった詩の断片が
ちぎれた草になって

風に舞っている

いのちは永すぎる未完
死してなお
始まりにさえたどりつけない 未完

私の夜はいつもと同じ旋律を
内側の街路にまきち ....
カミキリムシに噛み切られている
僕は薄い紙になっていて
手も足も出せない
手足が出たところで
噛み切られるだけだけれども

昨日までの厚みは
どこに行ってしまったのだろう
でき ....
春の陽射しに 
紅い花びらが開いてゆく 
美しさはあまりに{ルビ脆=もろ}く 
我がものとして抱き寄せられずに
私は長い間眺めていた

今まで「手に入れたもの」はあったろうか 
遠い真夏 ....
泡になりたい
そう望んだのは十七歳 夏の日
ラムネの底から生まれる
消える気泡に見とれて
曖昧な私も溶けてしまいたい
いっそ

いつか

本の一部を鋏で切り取った
一片一片を繋ぎ合 ....
布の心からのばされる
鳥の翼を描く糸
文字のように絵のように
風に望みの灯火を置く


無色に織られた旗が重なり
震える音のかたちとなり
幾度も水を吸う衣
失う色さえ ....
ほどけた靴紐を結びながら走った
朝はいつも苦手で
腕組みしている先生の顔を見ないように
校門を駆け抜ける

一時間目から六時間目まで
机に突っ伏して眠り
部活だけはさぼらなかった
そん ....
ふいに軽くなったからだから
いったい何が抜け出したのか
いつものようにうつむいたまま
何も思うことなく歩きつづけた


なぜか息をするたびに
ひとくちの黒が出ていった
 ....
うつくしい まなざしを 胸に秘めていると
 すべてが 花のように 咲きはじめる
青空のように 澄みきって
 世界は いっそう かるくなる 

大地に降り立つと 満ちたりてくる
 空の表情が ....
ちりん、ちりんと
ストラップにかけた
小さな鈴が泣いていて

僕はただとぼとぼと
涙さえ流せずに
現実に草臥れていました

金に囚われた義務と
時に縛られた責任が
いつの日か忘れ去 ....
今日が、一日になる
間に合わせの爪先を
朝焼けの海に潜らせる
寝息を、街は敏感に拾い上げていく
遠く聞こえる海鳴りのようだ


  *


ただいまやおかえり、よりも
  届いて ....
ナイーブは年齢と反比例しない

くつろげないオジサンは
パンクロッカーなんかよりナイーブである

口元がゆるんだ女子高生は
ナイーブで商品名を連想してしまうのか

オナニー好きの ....
夜の灯の下
藍は蒼
溶け残る道
呼びとめる声


氷をすぎる火の上で
音は昇り 月に会う
昼のにおい 日々の名残り
凍えては小さくまたたくもの


夜から分かれ ....
「世界の果ては、何処にあるんだろうね」
君が呟く
いつか二人で探しに行こう
約束はいつだって
果たされることはない

世界の果てならば
僕らは並んで立てるだろうか
目指したいのはエデン ....
ご覧なさい
桜の花が満開じゃないの
ねえ

ご覧なさい
誰もが浮かれて
踊るように笑っているじゃないの
ねえ

花見だか何だか知らないけれど
生きている人って
気楽なものじゃない ....
春が

     はるが

傘の水滴に溶けて
声も密やに
幼いまるみの春の子に
子守唄を聴かせる


まだ固く木肌の一部の様子で
繚乱、を隠した蕾は
雨にまどろみ
陽射しに背 ....
体じゅう
寒気が
激しい朝
詩がとどく
さむいのに
雨なのに
書いたひとの気持ちが
きれいな色が
入り混じって
ここまで
とどく

チョコレートを
私はスペインの
よく冷え ....
まだ見たことのない

果実に境界線を張り

流漂する異国の砂漠

三日月が蒼く涙する

空で暗雲が轟き裂けて

光速でかおるレモン
馬鈴薯の皮を剥く
薄く剥こうとするのだが
和包丁の
刃先が粘っこくなり
剥きにくくなると
  台所の流しの横のちびた砥石
  父が生前に求めた天然石の砥石
  (柔らかい和包丁の ....
白い皿の上には 色とりどりの魅惑の花びら
時代の風景が 魂の食卓にのぼる
   カタカタカタ 窓ノ向コウ 記号化サレタ君ヲ知ラナイ
   答エニ辿リツイテモ 身体ヲ置キ忘レ 今日モ浮遊スル

 ....
こうやって部屋のなかから窓の外を見ていると、雨の中でしか生きられないけものになってしまったような気がする。穴ぐらのなかで、ひたすら雨を待つ。エサはあるのだが、自分のツメで獲物を引き .... 私は、何処へ行くのだろう
やらなきゃならないならない
お墓に入ったからって終りゃしない
だからってその後は知らない
失礼だわねぇ
カラスの伝導師
あっちむいてほい
眼鏡をかけなおす
夕 ....
その日を過ぎると
君の背中から栓が抜け落ちて
とろとろと水、のようなものが零れていった
舐めてみると、海の味がする
帰っていくんだな、なんて思う
薄いお酒を飲みながら
時計の針を見ていた
 ....
ひとつひとつ、はげしい輪廻のあとに、夜は摘み取られてゆく。現世の庭にしどけなく積み重ねられた夜の鏡像は、大地の核に至るまで、ことごとく破壊されている。光は輝くことをやめた。色彩はひろがることをやめた。 ....  昔、一九九八年から九九年にかけて「夜、幽霊がすべっていった……」という連作を書きついでいたことがある。後に「現代詩フォーラム」に投稿し、個人サイト「21世紀のモノクローム」にも掲載した。
 いまさ ....
前田ふむふむさんのおすすめリスト(2306)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
はしっこの村- たもつ自由詩806-3-16
土筆- 霜天自由詩306-3-15
I_gotta_love_you- 佐々宝砂自由詩706-3-15
- 佐藤伊織自由詩2*06-3-15
きっと、忘れない- 松本 卓 ...自由詩2*06-3-15
さよなら、風車をまわすもの- たりぽん ...自由詩11*06-3-15
未完の夜- 岡部淳太 ...自由詩18*06-3-14
- たもつ自由詩1206-3-14
夕暮れの並木道- 服部 剛自由詩14*06-3-13
あぶくの中の十七歳- 夕凪ここ ...自由詩5*06-3-12
紡ぎ_ほどく- 木立 悟自由詩506-3-12
卒業- 岡村明子自由詩906-3-11
黒と歩み- 木立 悟自由詩206-3-11
せかいとうた- 水無瀬  ...自由詩8*06-3-10
調律- 松本 卓 ...自由詩7*06-3-10
今日も、一日になる- 霜天自由詩806-3-10
ナイーブ- よーかん自由詩3*06-3-9
うたごえと灯- 木立 悟自由詩406-3-9
世界の果て- キリヱ自由詩1*06-3-9
幽霊と桜- 岡部淳太 ...自由詩12*06-3-8
桜子- 銀猫自由詩21*06-3-6
自由な朝- 阿麻自由詩23*06-3-6
レモン青書- こしごえ自由詩16*06-3-5
無条件降伏- あおば自由詩5+*06-3-4
ラプンツェルの小鬼_或いは内的な物語り- 水無瀬  ...自由詩2*06-3-2
雨(1986.8・4)- 木立 悟自由詩1206-3-2
鮮明喪失- こしごえ自由詩13*06-3-2
栓抜き- 霜天自由詩1006-3-2
内在- 葉leaf自由詩13*06-2-28
「幽霊」についての私的覚書- 岡部淳太 ...散文(批評 ...5*06-2-26

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