誰もが一度は
忘れてしまいたい夢を見る
上昇気流が
鳶を雲の上へ連れ去り
生まれた真空が吸い込む
一匹の羽虫
星だっていつかは消える
恐れることはない
東京行き 東京行き
....
夕飯を食べたあと
タバコを吸っていると
ささと風がふいた
まぼろしにささやきかけたように
近くでおんながくしゃみした
僕の物思いの雨の中を
通りすぎた
あれら透明な命はなんだった ....
あなたを 美しいと 思った 秋の日
秋の日
あなたは ものごとを わたしの肉に
染み込ますように わたしを 叱るのでした
わたしは 朝露を 飲むように
あなたを 識る
遠くに 近く ....
赤錆の目立つ時刻表のバス停に立ち
来るか来ないかの
微妙な時刻にバスを待ってみた
進路の前にバスは無い
順路の後ろに気配も無い
行く先も馴染みの無い駅の
名前の書かれた ....
アゲハのハネは夏の欠片
土の上にパリン 零れる小宇宙
落ちていたハネなんですけれど
日にさらされてか
ガラスのように かわいていて
リンプンは星屑しゃらんりん
本体は見あたらなくって
....
時の住まう所は どこですか
チクタクと
なぜ 音がするのですか
暗くなれない地の中で
目覚めていない
ただ ひたすらなもの
天を知らなくても
地上を知らなくても
風を知らな ....
季節はずれの花粉のせいなのだと
説明する僕のことを
受話器のむこうで
君がくすくすと笑っている
きのう雨の中でけんかして
雨なのか涙なのかわからなく濡れたふたりが
いまはこうして傘 ....
もっときれいな出来事が あってもいい
良い事をするのは
良い事だと教えられた 僕ら
悪い事をするのは
悪い事だと教えられた 僕ら
昨日のニュースで聞いた事
思い出したくない ....
虹を渡すのは、雨の純真であるように
雨を放すのは、空の配慮であるように
空を廻すのは、星の熱情であるように
やさしき担いごとは満ちています
あなたを求めるわたし ....
祈りの数だけ神がいて
祈りの数だけ願いがある
何故人は祈るのか
恐れおののく、その先の
抗いきれぬ力に前を遮られ
溜め息さえも躊躇して
祈りの数だけ花が咲き
手向けた花の ....
ガラパゴスで恋をして、
ガラパゴスで眠りたい。
わたし、
ひとになれません。
きっとね、
駅
プラットホームの端っこで
小さく手を振る人がいる
今
動き出す列車の背中には
きっと誰かの
そう
見送る視線のその先には
きっとそんな
夏の終わりが ....
ずっとずっと遠くまで
届かないものを追いかける
そういうひとを見上げながら
足元の土を均してきょうもあるく
届かないことを知らない彼らは
知っているわたしよりすこし滑稽で
そのくせとて ....
雨のなかのふたつの星が見つめあい
ちぎられたもの 離されたものを結んでゆく
音の生きもの
風の音の生きものが
白い木々のはざまに響き
銀に濡れた視線を向ける
建てら ....
そんなに
見つめても
上げられる
物がありません
ごめんね
海の中で生まれた気がする
始まりは遠い手のひらの中
重ね着をして、重ね着をして
風邪を引かないように眠っていた頃
どこへでも、の世界は
指先まで暖かくて
つまずかないように歩けば
いつま ....
十五夜のお月さまがあんまり綺麗だからと{ルビ託=かこつ}けて
不眠症の私は
窓を開け放して月を眺めていました
この夜は よく澄んだ涼しい夜で
遮るものもなくて
惜しげもなく
私に光を浴びせ ....
最終バスは一番後ろの席に座るのです
何となくそれが習性になっているのは
そこからは町の様子がよく見渡せるからです
蒼い街灯の下でたたずんでいる
停車場の表示を運転手は調子よく
鼻歌まじり ....
H
\
ながれるべきものたち ながれ
そよぐべきものたち そよぎ
ひかるべきものたち ひかり
うたうべきものたち うたい
H
\
....
はまに まわした よめいの かりごま
なげる てのなみ くるわす つきやみ
ささぬ あかりに さしつぐ いっこん
らがん ちりうつ こぐだて わるむね
のどに はしゃぐ みめいの
つきの すずか つむぐ かるた
まわる やまの はるか さます
かやの ねむり まどう むごん
みちぬ おもい ゆきて きえる
かえぬ こころ ぬぐう ....
空港の滑走路でイルミネーションがともると
もうすぐ漁り火の時刻
海の滑走路が開くと
夢のチャーター便がやってくる
もう一度
その無数の紅く小さい花々を闇に咲かせたシャツの下に
酔って赤らんだ白い背中で
僕に{ルビ凭=もた}れてくれないか
なぜ
君の背中のぬくもりを
もっと素直に感じなかっ ....
目を閉じてもつづく光のかたち
夜を甘く噛むかたち
傷が傷を呼ぶかたち
ふたつの音がすれちがい
ひとつの声になるかたち
蒼にそよぐ蒼のしじま
ざらざらとつづく明るい道 ....
いつからか 告白することも出来なくなった
僕は
かたい貝になったのだ
息をする時だけ 口を少し開ける
その一瞬だけ
世界に触れ 地球の一部を感じる
僕は 貝
君に触れるど ....
ねぇ見て 不思議よね
こんなにちっちゃいのに
ちゃんと爪もあるのよ と
満ち足りた母親の顔で彼女は
小さなこぶしをを開いて見せる
アキアカネが飛び交う夕暮れに
生まれたから 茜
はい ....
人間が
犠牲の上で生きるように
世界は
戦争の上に幸福を創れる
そう独り言じみて呟き
少し
自虐的に笑って見せて
貴方
虚ろな目を伏せたから ....
泣きながら
見上げた雲は果てしなく
二人の影を映してる
空の青さが辛い日は
君のために歌を歌おう
さよならと
微笑む君の細い肩
翼が生えているようで
....
夜空にはウシが瞬いていた
草原では干しが干からびていた
もう一つ出まかせを言おう
この袋には伝えきれないほどの
星が詰まっている
飛行船のように女は笑った
あなたの
てのひらには
いつも
虹が
あふれている
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