約束なんてしてないけど
 あなたに会いたいから
 親には禁じられた扉を
 開いてみようと思った

 時のいたずらは
 季節の変わり目には
 必ず現れて
 僕の頭をグレーに染める
 ....
つきの誘いにうみは揺れ
えいえんのわかれが
ちぎられてゆく

みずのかがみに映るのは
浮かびのひかりか
しずみのそこか
こたえをつかめぬまま
円い波だけが
のこされて
ここ ....
人それぞれに歩みは異なり
知ってか知らずか
寄り添い或いは遠ざかり
ときには
いずれが頭であるのかを迷いながら
もしくは迷われながら
人それぞれに
異なる歩みは終わらない

かくして ....
この時を封じ込めるように
祈る

静かな瑠璃色は
両のてのひらを祈りのかたちに
そこに少し息を吹き込むようにして
そっと閉じていて
ひそやかに夢を育んでいる

あなたは
わざと大雑 ....
今まで包まれていたものが割れ 
開いた胸の中にちょこんとおさまって
さいごのごあいさつ

ぽつりと佇んで微笑んでいる 
あなたのからだが
いまはこんなにも
はっきりと見えるのです

 ....
電車を待っていると
どこからか風鈴の音が聞こえてきた

チリリン
海は楽しかったな
今年は二回も行ったっけ

チリリン
花火きれいだったな
毎年見てた場所また行けるかな

チリリ ....
微かに薄い雲の
漂う空が秋になっていたので
できるだけいっぱいに
四角に切り抜いて
箱の一面に貼り付けて
森へ行こう

こおろぎが鳴く
葉の色が秋になっていたので
できるだけいっぱい ....
さまざまなかたちの痛みが
頭の左すみにころがり
右目のまわりの暗がりには
花に似た背のかげろうがいる


すいと平行に引かれた線の
変わりつづける永ささえ
なにげないものに ....
まめクジラの水槽には
売約済みの札が貼られていた
まだ幼いのか
さざ波を飲み込んだり
小さな噴水をあげては
くるくる浮き沈み
はしゃいでいる

こっそり水槽に指を垂らすと
あたたかい ....
膝を抱えたまま
心が膝をかかえたまま だ
歩いていても
角の魚屋で刺身用の秋刀魚の目玉に見入っていても
友人につまらないメールを返信していても
いつもの連続ドラマを見ていても
子供たちの  ....
朝焼けのプラットホームで
始発の列車を待つ間
陽炎の向こうに
見知らぬ土地の幻を見た

二人をはばむ世界から
飛び出した鳥たちは
今ここから飛び立って行く
自由な巣を求めて

   ....
疲れたようにうずくまる
動物園のダチョウは堅い地面に佇んで
見渡すことのできない世界で
それでも何かを見つめている

鉄の柵は頑丈で
あっちとこっちを隔てているけれど
本当に隔離され ....
思わず声にしてしまった
ことばよりも
言い出せなかった
ことばの
内に秘められた真実
レンガを幾つも積み重ね
ひとは誰でも
その真実をこころに閉ざしてしまう
日々の暮らしと
日々の思 ....
黒と白のダンスが始まり
君と私が交互に入れ替わる

私が君で君が私
君が私で私が君

くるり くるり
くるりり くるりり

いつの間にか気がつくと
暗いなかに一人きり
白い私が一 ....
一、 某月某日 冬

凍る雨を浴びつづけて、一年を跨ぎ、
わたしの頬は、青ざめて、
虚ろな病棟の、白い壁に残る、
黄ばんだ古いシミに親しむ。
難い過去を追走する暗路を、
エタノールの流れ ....
わたしの中に棲む猫は
夜の闇のように黒い
{ルビ天鵞絨=ビロード}の艶やかな毛皮をもっている
そして
悩ましい緑の目をしている
人に媚びたりしない
いつも物陰から{ルビ窺=うかが}うように ....
大好きって
それは響きだ
大好きだなんて
叫ばなきゃ良かった

声に出さずに
叫ばなきゃ良かった
声に出して
叫んでいたら

きっと俺は
ここにはいないし ....
プラスティックケースの上に 
並んでる、ふたつのせっけん 

小さいほうが、お婆さん 
大きいほうが、息子さん 


「 生まれた時は逆だったのに 
  わたしに向かってハイハイしてた ....
告げるとも言わず
告げぬとも言わず
立ち尽くす老木は
潮風に白くやかれて
ただ待っているかのようです

運命とは渡り鳥でしょうか
暗い海のとぎれるもっと遠くから
糸車を回す母の手のよう ....
君の願いが叶うのなら
どんなことかと尋ねられ
何もいらないと答えた青年は
望みどおり
何ももらわなかった

それでも彼は
幸せだった
願いが叶ったのだから

何もいらない
一文無 ....
可愛いやつと一羽のレース鳩を胸に抱いた
彼の眼差しは恐ろしいほどに優しかった
自分の弱いところを見ているようで
彼と一緒にいるのが嫌だった
彼と友だちだと誰にも思われたくなかった
それでも誘 ....
掌で
容易に潰せる
小さく脆い
夢ですが

いつか
大きく強く
羽ばたく日を信じ
輝きだけは
失くしません

千羽揃えば
きっと

きっと
竹筒の側面の穴に生けた
{ルビ秋明菊=しゅうめいぎく}の白い花々 
境内に奏でられる{ルビ雨唄=あまうた}に耳をすまし 
そっと{ルビ頭=こうべ}を垂れている 

{ルビ些細=ささい}なこと ....
久しぶりに訪れた{ルビ報國寺=ほうこくじ}は 
雨が降っていた 

壁の無い 
木造りの茶屋の中 
長椅子に腰かけ 
柱の上から照らす明かりの下 
竹筒に生けた{ルビ秋明菊=しゅうめいぎ ....
呼んでいる
呼んでいる

濃紺の夜長に虫の音響き
深くこころの闇夜のなかで
銀の鈴をしゃん、と鳴らして
呼んでいる

待っている
待っている

金木犀の匂いが止み
あたりに静け ....
ときどき僕は、まだ羊水の中で
少し離れた場所から聞こえる声に
そっと耳を澄ませている気がする

それはまるで子守り唄のようで
鼓膜を揺らすほどでもない
優しさを持っている


と ....
優しく、なりたい

暖かい部屋でうずくまると
人たちの裏側が透けて見える
思うほどには
複雑に出来ていないのかもしれない


優しくなりたい

おはようと言うように
季節を捲って ....
子どもだったあの頃
放課後みんなと遊んでた
空が赤くなる頃
もう帰らなくちゃと
誰かが言い始め
その日が終わるものだった

一人で家に向かうその道で
夕焼けがやたらとまぶしかったけど
 ....
どうして兄弟でもない男の人と
いっしょに暮らさなければならないのか

結婚前に、たずねた

そういう決まりになっているんだ
と 彼氏は言った

あんまりあっさりと言うので
笑ってしま ....
 

大きな肉の塊をくすねてきて
食べ飽き まだ半分以上も残つてゐるとき
犬なら 空地へ引きずつて行つて
埋めておくが


猫は そこに放り出しておくだらう
無関心かといふと さうで ....
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