甘い匂いのする方へ
人は群がりたむろする
決して悪いことじゃないけれど
最低限のルールはまもってほしい
近所にすんでるおっさんが
今日もパチンコで金をすって
金の無心に ....
?.
一日中ひどかった雨も小降りになって
窓から見る白樺の木は
ここ最近やっと葉を落とし始め
冬時間に変わって
六時にはもう日が暮れてしまうようになった
公園の明かりは ....
旅先の田舎のベンチで
君の名前を見つけたよ
夏子
いつたい誰が 断りもなしに
君の名前を書きつけたりしたんだ
(こんな色褪せた おんぼろベンチの
背凭れに 乱暴な稚拙な字で ....
{引用=
ふるふると
ふるるふるると
ふるものにさらされ
森は輝いているのでありました
君は小さな家の屋根に立ち
眼を細め わずかに首を伸ばし
しばらくは光の匂い ....
柵の外には自由が溢れているのに
何故か人は柵の中で生きる
ちょっと跨げば乗り越えられるのに
誰も跨ごうとはしない
自由の身になることを恐れ
しがらみから解き放たれることを拒絶し
狭い柵の中 ....
郵便受けの中に
蝶々の形をした手紙が
ぎっしり
留められている
わたしは
ピンセットを遣って
ていねいに剥がし
掌に落としていったのだが
手紙は未だ
生きていたらしい
あと ....
さびしんぼうは
自分にふたをして
こみあげる感情を殺し
涙を流さない
自分まで騙している事を
自分で知っている
本当はね
さびしんぼうは
今日も道端のあちこちに
一つ二つと落 ....
兄のように
慕ってもいいですか
あなたの気高さに
ひれ伏したいのです
青年のように目尻を光らせるあなたに
すべての世界を見せてほしくて
あなたの淋しさを癒す水になり
あなたに抱きしめられ ....
黄昏時には不意をついて
冬が何処からか現れ
桜の枝で褐色になった枯れ葉と
わたしのこころを繋いでしまう
ポケットに入れた手が
ほんのりと寂しさに温まる頃
去年届いた便りの
名前が消え ....
季節を告げる冬の風
小さな針が通り過ぎ
丘の上には枯れ草が
乾いた音を響かせる
季節を想う冬の風
微かな球がかすめ飛び
森の中には枯れ枝が
きしんだ声を届かせる
寂寞とした景色 ....
新幹線の方が楽だろうに
母はいつも
鈍行列車にゆられてやってくる
孫娘の成長のたびに
少ないけど
と、袋を差し出す指先は
黄色く乾いている
風邪ひいてないか、とか
おまえは季節の変 ....
きみにそっくりな犬が
くさりにつながれていた
きみの名前を呼びながら
頭をなでたら
涙がボロボロ流れて
止まらなかった
やっぱりきみが好きだった
なぜ湖がよいのか
一望にできる姿をしてゐるから
瞳のやうに澄んでゐるから
四囲の風景をとかして
もう一つの世界をつくつてゐるから
おそらくそれら諸相に根ざして
....
ここ
からはじまって
そこ
に辿りつくまでの
永遠のような
一瞬
瞬きひとつよりも
ずっと短く
宇宙の歴史よりも
はるかに長い
ここ
からはじまって
....
僕には
愛の密度が足りていない
あの日
深海に落とした欠片が
隙間風を招き
iは
破れた質量を繕いながら
失った体積を埋めるため
きぃきぃと泣いている
錆びた窓が
風に揺らいで開い ....
ゆうひは、みひつのこい
じゅんすいなものは、ざんこく
てらされる、すべて
まぶしいかげに、かくして
たとえば
あたしがこうしてパソコンに向かっている間
森林がものすごい勢いで消えていって
いくつもの種類の生き物が絶滅していたり
たとえば
あたしがタバコを一本吸っている間
死を決意する ....
今
ここ
自分
俺が自由にできることさ
確かに俺はスーパーSが強いかもしれないな
こうあらねばならぬ
こうしなければならぬ
そんな想いが強いのは確かだよ
誰か ....
生まれたばかりの言葉は
まだ何も見えなくて
朝の光と音だけを
感じるままに反応する
言葉は意識を持ちはじめ
ようやく言葉は
言葉として目覚める
言葉は
見えるところへと
届く ....
1
ホームの後ろに錆びた茶色の線路があります。
線路の枕木は腐りかけ、
雑草が点々と生えています。
線路は使われなくなってどれくらいがたつのでしょう。
わたしは線路に耳を当て ....
床に線を引いて、
彼女は国境を決める。
彼女はとても怒っているので、
とっても横暴に決める。
彼女は地図を作ったので、
ぼくらの部屋は地図になった。
彼 ....
怖かったんだろうね
風が死んでたりしたろうから
ビルヂングが アロガントに まばたきもせずに
夜空を おまえを 無視したりしてたろうから
今日 ....
何かが去ったあとの高鳴り
大きなひとつの花になり
たくさんの小さな羽になり
微笑みながら消えてゆく
ひたされたとき
見えるかたち
雨はすぎて
胸とくちびる
....
ここは田舎町だから
電車の中はいつもの様子
ポツンポツンと
どこに座れば良いのか
迷ってしまう
どうせ辿り着いてしまう
ガタンゴトン
揺れる
窓の外には
見慣れているという
さ ....
{ルビ銀=しろかね}の雪が空より
舞ひ落つる冬枯れの森
侘びしかる風の音聞けば
時移る草葉の思ひ
細やかに流るる川は
透き落つる冬枯れの森
悲しかる水の音聞けば
時映る雫の思ひ
....
半分の月を見ていた
半分の月を見ながら
僕は半分だけ眠りにおちて
残りの半分は現実にとどまった
半分の夢の中では
浜辺に立った自分が
遠くの景色を見つめていた
半分の月を ....
一片のことばに、
色がなくても、
それでいい。
一編の詩として、
彼らが息づいていれば、
それでいい。
どんなに醜い、
汚物であっても、
それで ....
青白い大人達が
おくびょうな大人達が
ぼくらをとおざける
カンバン方式で
育っていく
生まれたことも忘れてしまい
死なないことだけを教わる
正しい生き方だけを教わるから
間違った生き方 ....
今あなたが見ている空は
どんなにがんばっても
裏側までは見ることができません
けれども
その裏側を想うことは
できるはずです
今あなたが見ている人は
どんなにがんばっても
心までは ....
初めて君に声をかけた
あの日の公園
( いつまでも揺れている
( 無人のブランコ
ぼくの呼声に
届かぬ場所から振り返る
君の面影
ベンチに
長い間置かれたままの ....
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