その歌のはじまりとおわりを
わたしは知らない
空を見上げたとき
耳元で起きた風が
どこから来て どこへ行くのか
わからないまま
歩き出してしまったように
そ ....
お月さん
震えていなさる
今宵の風はあんまりじゃ
空が空っぽになってござる
塵ひとつ とんと見当たらぬ
裸で ぽつんと
一人でいなさる
地上に降りて来れたら ....
ピエロは
いつも装っていた
彼のまわりには
いつも明るい{ルビ日向=ひなた}があるように
ピエロは
どうでもよかった
彼のことを
まわりの人々がどう言おう ....
ひさしぶりの宙返りで見た地面はこんなにも近くて、
しっぱい。
しょっぱい涙も出ないね。
言われちゃう。
「あんたそれでも元体操部?。」
....
「誰とでも、
っくすするんですか?。」
と訊かれ、
きみとならと応えて、
XXX...
平手打ちをされたのは左。
右の頬を差し出して、
キスをもらう ....
昨日、ちょっと心が晴れた。
いいことじゃなかったけど。
何だか、晴れた。
さぁ、新しい日々を始めようか。
中国人の女の子が
俺をじっと見ている
秋晴の真っ青な空の下
バスは
俺たちを乗せて
ゆっくり坂道を登ってゆく
母親が
女の子の目線をおって
俺と
目を合わせ 微笑む
....
―刺青
そこには船があって
ずっとずっと遠くで
何かを引きずりながら
航海を 続けている
そこには涙があって
ずっとずっと近くで ....
太陽の雫が落ちてくる丘で
あなたからの便りを待ちました
やがて日が暮れ
梟が夜を歌い上げる頃
あなたの寝息が聞こえてきます
あなたは私を必要としてますか?
そんな問いにさえ答 ....
今夜はひとり、僕の手を取る君は
楽しそうに自販機のコーヒーを買う
立体駐車場の屋上に君は車をおいたという
スロープを二人、手を繋ぎながら
(君の子供は眠っている頃)
誰にも照らし出さ ....
雨が降ってくると
金沢を思い出します。
金沢は年間六十日しか
晴れの日がありません。
大体曇りか雨です。
空はいつも
ブルーグレイの薄雲がかかっています。
雲のない ....
星の欠片が
孤独な空を舞っている
異国の空からやってきた
B型肝炎
狼鳴くより
恐ろしく
月に向かって吼えまくり
とうの昔に破った約束
天才は忘れた頃にやって ....
答を探している
人生のすべてをかけて
日常の暇が出来た時を見つけて
探しつづけている
火曜日はよく燃えるので
腰まわりを綺麗にしておかなければならない
(よく湿らせておかなければ)
とも ....
{引用=
一、斜塔
あの塔は
いつ崩れても
おかしくはない
と
その
語りは
誰かにとって
あたらしきを築き
誰かにとって
もはや
壊れたままのかけらで
見えないはず ....
真夜中の発電風車が
月を三回切りながら
一回転する
生きていないカラクリ仕掛けは
今日も北の海に吠えていて
生きてもいないのに
時々、さぼったりする
風も生きてはいないのに
ため息 ....
わたしの中を
夜の明ける方へと飛ぶ
一羽の鳥がいる
同じころ
一羽の鳥の中を
どこまでも墜落する
わたしがいるのだ
その日最初の列車が
古い踏切を通過していく
建物の窓はひとつ
ま ....
買った記憶もないのに
本棚に入っている本というものがある
まるで私の目を盗んで狡猾に忍び込んできた
小動物か何かのようだ
そしてそれは
小動物となることで
本としての役割を ....
クンニの後にキスしたがる男はちょっとうっとうしいと思うの。
なのにフェラの後にキスしたがらない男は卑怯だと思わない?。
無理矢理のキス。
ねぇ。
....
砂糖黍畑を走るおさな子はいつかのわたし汗まで甘い
エメラルドグリーンは父がちゅら海を恋うる口ぐせ目じり細めて
「白百合は雑草だった」と言う父の故郷奄美は千キロ先に
....
くぐり抜けていく
いつも裸足だ
闇のそばでは
どうして自分だけは
かわらなくていい、などと
つぶやいていたのだろう
ああ、それはちがうよ
タングステン
熱で溶 ....
わたしはくま
バニーにも
子猫にもなれなかった
ちょっと可愛くない女の子
だって言われても
好きなのは甘いハチミツ
大きな森の小さな家で
あなたと暮らす夢を見る
わたしはくま
バニー ....
猫の眼を通って
新しい時空を覗き見る
混沌と静寂のメゾピアノ
僕の着地点が
其処に、在った
色々、ありました
とてつもなく
大きな罪を犯しました
あるいは
一番星みたく
....
ある日
少年の中に
戦争が充満する
少年の中に
潮騒が充満する
少年の中に
愛情が充満する
少年の中に
故郷が充満する
ある日
少年の中に
憎悪が充満 ....
【硝子の川】
川の水の結晶
鋭角の紋様を形作り
白く切る
葉が流れる
白い血潮の上
銀色の岩が
透明すぎる心を
切り裂いている
きっと夜には 涙も流れる
流星の軌跡に ....
日々の風景が
柔らかい布で
硝子の小鉢を撫でている
堆積する繁華街の雑音と
踏み付けられたスニーカーの踵と
人知れず花びらを千切る風
この窓の外側では
幼い子供の笑い声と家族の灯 ....
見覚えのない住所から
冬の匂いの封筒は届き
記憶の引き出しから
銀のペイパーナイフと
あらん限りの想いの欠片とを
わたしは交互に取り出す
かさり、と開くと
月夜の薄明かりのなかで ....
目の前に広がっているこの海を
神秘的という言葉で片付ける
向こう側の世界なんて
想像する事しかできないから
こちら側では
とても小さな世界があって
誰が望んでいなくても
救いようもな ....
色をぬる記憶
人に触れる記憶
僕らの言葉が
キスを学習すると
背中にも匂いがあってよかった
バッタのようなものが
死んでいたよ
あのあたり
空も見ないで
くだらない誓いをした日からか
それよりもうちょっと前からか
僕はもう一人ではなにもできません
今まで一人でできてたことが
二人じゃないとできないようになって
とても情けないです
男 ....
陽はひらき
もの皆きしみ
葉を迷い
土へ降る色
曇をせばめる音は冷え
路はひととき白くなる
風に生まれる幼いまだら
水たまりの空のはじまり
ゆがみを抱いた黄 ....
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