風が吹き抜ける
うたから零れる水滴に
滲んだかなしみを知る
きみを包む町から
初夏の気配を纏って訪れたうたは
インクの匂いをさせながら
紙を静かに滑り落ちて
こころの中に海を創る
....
ゆっくりと時は流れていく
時間は永遠の旅人とだった
月明かりが妙にまぶしかった
小さな子供たちが
はしゃぎながら僕の横を走っていった
僕にもこんな時期があったんだなと
....
失踪する雑踏――葬られてゆく錯綜する都会の鼓動が
不整脈を晒している。
失踪する現実――訪れるものは、立ち上がらない
睦言の形骸だろうか。
黒い朝焼けを掴み取るまなざしは、
凍りつく陶酔の血 ....
地の水と空の水とが出会う日を見つめる涙ひとりの涙
ふりむけば道は草木に沈みゆく路なき路と手をつなぐ径
木蓮と鳥が同じに見える子の笑みと踊りに降り ....
ぼくは詩人
共鳴は同情以上に
心に広がる
今日もまた
朝の散歩をしていると
不思議な玉に出会いました
野球のボールかと思う
大きさと白さ
やわらかい布でつくられた
....
枯れすぎると
言われる事はない
息をしている 間も
枯れる事が決っている
咲かないのは
枯れた事ではない
咲かせないのは
枯れさせたいのではない
その花瓶に手折る
瑞々しい花 ....
ねずの波間に
抗う術もなく
不規則に浮き沈む夜は
瑠璃のしずく
そっとほどいて
乳白色の束を覚えず
春の浜にまどろむ
理不尽に打ちあげられし
砂にまみれた海藻は
幸か 不幸か ....
ぼくは詩人
大胆にも謙虚さがあれば
それはそれで
その変化は大きくなる
今日もまた
朝の散歩をしていると
卯の花に出会いました
ここにも夏の訪れ
5枚の花びらを重ね ....
ハナミズキが総苞に
厳しかった冬の名残を残すように
ひとのことばの端々には
生きてきた人生の痕跡を引き摺って
それは醜さの現われでもあり
それはしがらみのようでもある
引き ....
静寂の水面に一石を投ずれば
波紋がゆらり、影が波立つ
月もまた冷ややかな横顔を
一層歪めて泣き笑いする
この橋の名を面影橋と人は呼ぶ
月明かりの下で我が影を
水面に映せば見えるとい ....
ぼくはイヌムギ
麦に似ているけど
人間にとっては有用ではない
でもそれは人間が勝手に決めたこと
今日もまた
朝の背伸びをしていると
子供に出会いました
どうやらぼくが邪魔 ....
ぼくは詩人
自然がすべての自然と
つながっているように
人の心もすべての人と
つながっている
今日もまた
朝の散歩をしていると
藤の花に出会いました
野生に生えたその花 ....
遠
い
遠
い
昔
の
話
海
の
水
が
空
へ
と
引
か
れ
地
球
が
も
一
度
そ
れ
を
引
く
空
に
は
雲
....
{引用=小鳥のあおいへ}
君の目の
レモンのかおりするかたちで青い輪にふちどられた高く清んでいる空
少女だった
君は、
妻になり
母になり
私の恋人でもあって
今日、{ ....
ぼくは詩人
立派なことをするには
基本や初心を継続する努力が大切
今日もまた
朝の散歩をしていると
おじいさんに出会いました
お話好きなのか
自分のことをぼくにいろいろと ....
わたしと一緒のときでさえ
素知らぬ顔でメールチェックする あなた
コーヒーをかき混ぜる仕草で
わたしのこころをかき乱す
いつの間にかミルクを入れなくなって
ショウウィンドウに映る姿を気にして ....
少しづつ はぐれるようにして
息のつけるところまで
霧雨が 庇う様だ
陽射しが吠えていた
ハンドル握りながら
ひとすじの 血脈が
太陽に かかると思っていた
そして 同じくらい ....
白い春の夕暮れ
浅い眩暈が意識を通過する
柔らかな距離がゆるやかに傾き
西に沈む誰かの声 遠い声
傍らの抽斗の中で
淡い儀式の記憶が疼く
それはやはりある春の夕暮れの
古い棟のうらさ ....
恋人を待つように
明日を待ちわびる
繰り返し押し寄せる波のように
昼と夜が交互に入れ替わるように
毎日の出来事は移ろい変る
過ちを犯しても挽回のチャンスは与えられるのよ ....
ぼくは詩人
時は自然に過ぎ
自然が時を過ぎ去っていく
今日もまた
朝の散歩をしていると
ほととぎすに出会いました
高い木の枝に止まったまま
ただじっと
遠くを見つめて
....
帰らなくてはならなかった
ガード下の公園
オレンジと灰色の記憶
あれはいったい
どこだったか
ガムの包み紙の甘い香り
急すぎる石の滑り台
の冷たさ
風はどこからかやってきて
....
凍りつく落日が、煌々と浮き上がる、
退廃の翼が燃えている丘陵地帯を
毅然としたまなざしが、顔を引き攣らせて、
走り抜けてゆく。
夜ごと、記憶の手帳に書き加え続けた
凛々しい言葉は、荒れ狂う午 ....
1.
東京ディズニーランドのさ。
シンデレラ城って知ってる?
まぁ、知らないわけ無いよな。
もう無くなっちまったけど、皆がTDLに行く度に必ず行く目玉中の目玉だ。
(TDLは東京ディズニーラ ....
雨の降る夜の帰路
高速を降りてからの長い田舎道
前照灯が照らす小さな視界に
跳ねるものがあるのだ
灯火の中それは白く見え
雨粒とは違う動きで
ぬれたアスファルトの上を
道一面に跳ねる ....
朝焼けがまだ
始まらないので
本当は昨日
あなたに届くはずだった
手紙のことを思った
夜明け色の
手紙を贈って欲しい
君と一緒に
指差して、 ....
ぼくは詩人
何かのために走ることも
走って何かを求めることも
人としての営み
今日もまた
朝の散歩をしていると
疾風に出会いました
勢いよく真正面から
ぼくを飲み込む
....
月の夜道を行ったって
どこに辿りつく訳でもない
ただ
視線を先へと伸ばしても
あの光は遠すぎて、見えない
月の夜道を歩いたら
立ちすくむ銀うさぎ
あそこから来た訳ではない、と言う
....
いい友達関係にはそろそろうんざりしてきた。僕は彼女が好きだ。自分から告白するのが恥かしくて、僕が何気なく口にした言葉が、彼女の長い告白を引き出した。長い長い、哀しい告白。僕にはどうすることもできなかっ ....
祝日 新宿の午後は人波に{ルビ溢=あふ}れて
逃れるように僕は古びた細い路地に入る
道の両脇に{ルビ聳=そび}え立つ高層ビルの壁に挟まれた
細い空を見上げると吹いて来る向かい風
ア ....
母は優しい
兄貴より遥かに出来が悪い俺は、
絵が好きで詩が好きで、なんだかいろいろ中途半端で、
でも、
生まれてきてくれて本当に嬉しいのだと
臆面もなく言うから
俺はいつもあなたの目を真っ ....
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