いつからか 告白することも出来なくなった
僕は
かたい貝になったのだ

息をする時だけ 口を少し開ける

その一瞬だけ
世界に触れ 地球の一部を感じる

僕は 貝

君に触れるどころか
声をかけることもできない

だから

言いたくないことは 問いだたされない
秘密にしておきたい過去も
恥ずかしい癖も
知られることはない

だけど

それよりも もっと大事なことを
僕は 引き換えにしてしまった

君を見ていることも 
君を気にかけていることも

まして

君を好きなことも
言えなくなってしまった

僕が言いたくなかったことは
どれほどの大きさだったのだろう

今となっては

魚の大きさより 小さいものとなって
海の泡と 流されていくだけなのに


自由詩Copyright  2005-09-17 15:30:22
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