「バレンタインなんて興味ないよ」
友達にはそう言いつつも
さりげなくオシャレに決め込んでいる
「いざ、尋常に勝負!」
-BATTLE1 朝の玄関-
下駄箱の中は空っぽ
まぁこの ....
混じり気のない東から
広い、まばゆい氷が溢れる
吸うわたしは、吐く
愛おしい、正しい、愛おしい、
ひゅう、ひゅう、
吸う、吐く、わたしは
空気にキスをしている
ああ、だからこの肺 ....
さいはての地にふりつむ雪のごとく君と重ねる想いは純白
車窓より眺める赤のグラデーション眠れる君の夢に届ける
冬景色 北国の海 雪と星 その中にいる君と私と
ゆるや ....
降りつづく雨は涙であるという
土をさらい根をあらわにして
僕の虚勢を暴いてゆく
両手を広げれば
僕はまるで木のようであるのに
こんなにも簡単に倒れてしまう
水溜まりには
強が ....
ああごめんなさい
あたくしといたしましたことが
ひどくうろこむしてしまい
大変お見苦しゅうございましょう
うなじのあたりから
せなかまでがもう
ひどくうろこむしてしまい
はがしても、 ....
七つ下がりの風通り
透かし模様の薄絹に
{ルビ囁=つつめ}く日射が
なだらかに滑り・・・・
{ルビ疾=と}うの昔に置いてきぼりの
ブリキの箱で ひしめく玉が
熱 ....
ねえ覚えている?
初めてあなたと出会ったのは
裏通りにあった小さなヘアサロン
あなたはまだぎこちなくて
遠慮がちな手つきに
硬く閉ざしたこころの奥で
何かが弾ける音がした
(誰かを好きに ....
棄てられた径
放縦の跡
少し斜めの不確かなもの
遠い遠いふるえから
そのままではないそのままに
こぼれながら手わたされるもの
灰が
ひとつのざわめきにつながり
降り ....
石ころが落ちていた
少し透きとおってきれいだったので
拾って帰った
こんなもの拾ってきて
母は決してそう叱らなかった
しばらく手で触ったり眺めたりしたあと
かわいそうだから放してあげて
....
うにょん
君が言う。
うにょん
好きだ。
声が良い。 音が良い。
うにょん
幸せな気持ちになる。
うにょん
いろはに こんぺいとう
....
見たくないから目を塞いだ
聞きたくないから耳を塞いだ
幸せですか?不幸ではない
曖昧な答えで誤魔化してきた
例えばここで星屑になっても
世界は変わらず回り続ける
それなら何 ....
「太陽を見たことがない。」
きみはそう言って、
ぼくは太陽の話をした。
きみはそれだけじゃ満足しなくって、
だからぼくは旅をして、
色んな太陽を見て回ってる。 ....
平日、日がな部屋に篭り、息が詰まりそうであった。
暗い部屋の雨戸の隙間から射す一条の光に呼ばれて、
ベッドから身を起こし、外へ出る。
( 日を浴びて、空を仰いで、息を吸い込む )
....
背中がまがっているよ
葉巻が落ちたよ
おじいちゃん
手を 貸すよ
おじいちゃん
買い物のビニール袋が
たくさんだよ
おばあちゃん
手を 貸すよ
おばあちゃん
....
春は黄色いバスに乗ってやって来る
嬉しそうな顔
不安そうな顔
いろんな笑顔を乗せて
春は黄色いバスに乗ってやって来る
わくわくするね
どきどきするね
もうすぐ春がやって来るよ
....
あおしんじゅの森は
樹海の森だったし
あたしはその結晶を とても美しいと思った
粒の小さい 白い涙のようなそれは
体に悪いと知っても
飲み込み続けるよりなかった
ゆるい雪のよう ....
なので、
朝食にはレモンを選びました。
細い腕で積荷を忘れられず撫でる、
あなたにはぴったりだと思うのですが。
あどけない思い出は、見ない振りで通り過ぎ
ることを許してくれな ....
如月の冬晴れの日に
暖かな日差しに誘われて
弥生の風が勇み足
まだだよ
まだだよ
如月の必死な様をよそに
卯月までもが気が急いて
弥生の肩越しに覗いてる
ま ....
ほらごらん
星が瞬いているよ
風がまっているよ
きれいだ
きれいだろ
こんなに澄んだ気持ちになったのは何年ぶりだろう
災いは時として僕達を試す
うーん ....
ひとくくりの名で
呼び習わされた私たちという存在
名前ごと踏み潰されて
それでも再び季節は巡って
そう、思えば芽生えから危機
タイミングよく行事が狙う
競争とは名ばかりで
それでも私 ....
地球の重みも痛みも我に極まれり重力うなぎ喰らう夜。
蛍光灯冷蔵庫テレビハードディスク高周波四重奏団。
冷蔵庫に入れた頭痛を被り耳鳴りやり ....
灯りを
一つずつ
消していく
浮かびあがる
無数の光が
遠くの
素朴なものを
照らしている
みえる
と
みえない
の
間に
暗い淀みができていて
....
あの海になろう
あの森になろう
さかなたちのいる
けものたちのいる
いのちのある
かつて私を生み出した
波をうねらせ
梢をゆらす
風
力強く
両手をひろげ
すべてを抱 ....
バレンタイン
伝書鳩も今日だけは
ハートのチョコを配達します
サメですがあなたを食べたりしませんて
彼は頬白、僕は甚兵衛
カメレオン
実はほんのり悲しいの
わたし ....
十年以上も大切に飼っていた玉ネギが
逃げてしまった
「探しています」を電柱や壁に貼り付けたが
反応は全くない
街を隈なく歩いたけれど
それらしいものもなく
みんなはそれぞれの玉ネギを幸せそ ....
漫画喫茶で生活している
あの子と僕は
まだ一度も口をきいたことがない
僕のタンスはコインロッカーだ
僕のバスルームは公園の水道だ
毎朝、派遣会社からの呼び出しを待って
暗いうちに出 ....
ねえ、ねえ、オセロやろうよ
オセロ
ねえ、これ赤にならないよ
この白も
この黒も
どうやったって赤にならないよ
赤にならないよ
そうだね、赤にはならなかった
あの時
僕らはあ ....
冬
中心と空洞
球面と化石
向かいあえない
水の砦
しあわせ
ふしあわせに触れずに
消えるしあわせ
夜の道をはばたく
濡れた鉄の火
曇りの地図が
晴れ ....
ぽつり ぽつり
うた声、響く
どこからともなく夜をなでる
ああ、
おちていた
ああ、
おちている
だれか、ここで
おとしたんだ
だれかが ここを
行っ ....
道の先をいつしか
岬と呼ぶのでしょうと
白い幾万もの手が
砕けては戻っていく
届かない場所に
北端という称号を与えて
みんな満足して
羅針盤の声を人は夢に見るのです
根無 ....
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