風に吹かれて 緑が揺れる
春は君への 小さな便り
届きませんか この並木道
ここから一度 始め直すよ
ふわふわ綿毛 小道に降りて
忙しそうに くるくる回る
風に吹かれて 木 ....
独裁者についてった時代を
その時代の人々を今振り返ってどうかしてたんじゃないかと思うように
百年二百年たったら
俺たちのことを
俺たちの時代をどうかしてたと思うのか
船はずっと北を目 ....
桜の花びらが散り
グラウンド沿いにつくられた遊歩道に降り積もる
つよい風が吹いて
目を瞑るしかなくて
吹き飛ばして
恐る恐る目を開けると
視界いっぱいに花びらが激し ....
一 秘密の楽園
二人の世界の入り口は
いつだってこの実験室
あなたはそっと私を呼んで
脱いだばかりの白衣を着せた
袖の長さが余っていて
なんだかとても不恰好なのだけど
....
「は・ひ・ふ・へ・ほ」という文字が
ひとつずつだと
「は〜」「ひ〜」「ふ〜」「へ〜」「ほ〜」
ほら、なんだかため息みたいでしょ
「は・ひ・ふ ....
インコが、ぴーちくちちちと鳴きます
空には大きな雲がゆっくり流れて行きます
風はまだ少し冷たいですが
日は少しずつ暖かさを増しているようです
さわわ、と風が街路樹を撫で
どこか遠くの懐かしい ....
首都高は10kmの渋滞です
この町では思うように動けない
気を紛らわそうとラジオを捻った
今週末の天気予報
最近2箇所の天気を気にしている
それだけ僕等は離れて暮らしている
たった一週 ....
雨の日に嫁入りした
嫁ぐことの条件は
髪を切ることだった
『暁の魔王の花嫁』
髪は
『神』に繋がるから
あの人は其れを嫌った
逆に
嫁いでからは
....
静かに
静かに
この道で
風が眠っています
起こさないように
そっと歩いて
通ってください
風はとても敏感で
すぐあなたに
気づいてしまいます
静かに
静かに
この ....
小学生の頃
春の小風の中にふわふわと漂う
ケサラン パサランを見つけた
うさぎのしっぽのような丸い格好をして
まっくろくろすけが
まっしろしろすけに塗り替えたのかと思った
ぼくは
逃げら ....
灰緑の部屋で 私たちは
話をしている
天井や壁に貼りつけた
太陽や月や星たちを
そろそろ違う場所に
貼りかえようか と
私たちは長らく
この部屋に棲んでいる
いや あるいは
この ....
結婚が決まって 指輪を買いにいった
おもちゃみたいなアクセサリーばかりの私
緊張して店員さんに 結婚指輪をと言うと
いろいろみせてくれた
自分の指のサイズも まともに知らなくて
次々に ....
家の中に線路が開通した
これからは毎日
海へと向かう青い列車が
部屋を通過していくそうだ
最寄の駅はいつも利用している駅だけれど
春になったら小さなお弁当を持って
二人で海を見に行こう ....
わたしは毎朝目覚めると、
あなたの前で尿をする。
下半身を突き出し、
あなたがそうしていたように、
尿をする。
わたしの尿は、
黄色かったり透明であったりす ....
水は自由だった
形はなく
その場所がその形だった
自らの意志で
動くことができなかったが
絶えずすべてが動いているので
別に苦ではなかった
暑くなれば
空に浮くこともできた
のん ....
2007/02/10
空部屋を求めて
新百合ヶ丘駅前に着いた
仲介手数料0.5ヶ月分
敷金1ヶ月、礼金なし
1ヶ月分の家賃は
任意と書いてある ....
朝起きると同時に自動販売機に向かう
どんなに寒くともアイスの缶コーヒーを買う
朝食はろくに摂らない
とりあえず精神薬を口に放り込む
摩擦の多き日が続き
僕の思考は混乱
....
海は凪いで
時折水面の灯りが膨らむ
こんな場面に身を置くと
ゆめを見たくなる
会いたい、の裏側にある
まだ微熱を残した感情から
目を背けずに
鞄ひとつぶんの希望を詰め込んで
夢のつ ....
ちりとりの群れが
空を飛んで行く
南の方へと
渡る季節なのだ
僕らはその姿を見送り続けた
トリはトリでも飛べないトリは?
隣で君がつぶやく
答えなんて
いつか見つかる
郵便受けに葉書を取りに行くと
ワニが立っていて
小包は腹の中にあると言うので
両手で口を大きく開いて
上半身を口の中に入れて
ようやく取り出すことができた
小包を開けると
小さな電卓が出 ....
裸身の雪が
ぼんやりとした
遠いほたるとなっておりてくるので
あまやかな
姉の匂いにみたされたまま
結露にぬれた窓の外をのぞく
(紙の野原で北風が笑っています)
雨の日の ....
久しぶりの母からのメールは
「もうおとなりのうちの庭に梅が咲いたよ」だった
慣れぬメールをポツポツとうつ母の姿が浮かぶ
娘が梅の花に興味がないのは知っているはずなのに
伝えずにいられなかったの ....
悲しくなって遠吠えすると
風に乗って
色んな場所から返事を貰った
風が生まれるならそれは掌からだ
水面に翳すと波紋が囁き
耳を澄ませばラピスラズリが唄う
冷たい指先で声を拾って
廃 ....
蒲鉾がなくなったので、
あたしは買いに行く。
近くのスーパーは深夜まで開いている。
あそこの練り物はコンビニのよりも美味しい。
そう彼が言っていた。
自転車に ....
崖っぷちでお父さんが寝ていた
風邪などひかないように
布団をかけてあげた
ああ、これは夢なんだな
と分かって目が覚めると
崖っぷちで寝ている僕に
お父さんが布団をかけてくれていた
細い腕 ....
「僕」という種をまいた
「僕」が芽を出して
高く広く枝をのばし
深く遠く根をはって
空からも大地からも
みんなを見守れるように願った
「僕」という種をまいた
....
あいかわらず武士だった
参代する日でもなかろうに
女房殿に渡された温かい包みを抱えて
坂を下ってゆく
*
何やら人垣ができていて
たいそうな{ルビ賑=にぎ}わいである
隣の女房が ....
ファスナーあいてるぜ
ビーズのドレス
子羊は
オーストラリアで死んで凍えて
この白い皿に乗って
おれたちの血肉になる
あたたかいから
おいしいから
たくさん ....
気が付くと、
また曖昧なものになっていた。
前回はあいまいで、
その前はアイマイだった。
…ような気がする。
これもまた曖昧である。
曖昧なものになった ....
旅立ちの日に約束した事覚えてる?
どんな時も二人で乗り越えていこう
なのに何故一人で抱え込んでいるの?
君が運べないほどの荷物を
僕が持てるはずはないけど
二人で片方ずつ分け合えば
負 ....
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