既に色褪せて重たく落ちている花片を
踏みながら歩む林の中は
もう黄昏ている
椿林の木立
わずかな隙間から
聞こえる波濤のどよめき
腰をおろしてみなさい
...
拡がりが
拡がりを飲み込んで行く
私は 母の形をした服を着て
熱い、熱いと泣いている拡がりを宥める
いったいもうどんなかたちをして
街を許したらいいのか
どんなかたちをして 乞 ...
とりあえず、リビングに降りた。犬が窓の外を見つめていた。
なんとなく、冷蔵庫を開けた。私の好きな食べ物があった。手を伸ばし掴んだ瞬間、つまらないものに思えた。元に戻した。冷蔵庫を閉めた。なんとな ...
幻灯機に噛まされたスライドがまた一枚語り始める
手探りである気がする 壁に阻まれて進めないから
薄墨色の夜に無様に徘徊する すがたばかりだった
冷ややかな輪郭に沿って指先が触れる、
...
ゆうぐれ、ぼくの家のすぐ目の前にある小さな公園、だいぶ涼しくなってきた風、古いブランコがほんのすこしだけ揺れている。その座板のうえに置かれている、子供用のリコーダーには、しかし老いの枯れ葉が何まいも詰 ...
わすれもの
わすれたままに
しておく呪文
ときどき きれて
おもいだす
エアコンの効き過ぎたホールの
化粧の芳香と二の腕にむせながら
逃れた駐車場の隅に
...
子供たちが整列をしていた
何をしているのだろう、とよく見ると
整列をしていた
身体の隅々にまでしみわたる雲のように
なだらかで滑らかだった
透明な水を植物にあげて
話すことなどもう ...
積乱雲を想って
紫の渦あじさい
順呼気に澄む
ふくらみ過ぎた花と緑は
まるで巨大なくるみ型の舟
或いは脳みそ
私はミソスープに伸ばした腕を
食卓の
小鉢に触れたいと ...
漆黒の闇に
浮かび上がる
白い顔、
透き通る眼差しで
宙を見据え
同時に、
内面へ沈み込む
異様な威容
深く深く光の残響の許、
その輪郭 保たれ
魂の現 表し語り
表 ...
波打つ光の残響、
雪原遠く聳える雪峰、
憧憬は誘い予感は流出する
見えるもの見えないもの
重なり合い遠く近く
未知に臨む魂に
深い森の一処
音叉の共鳴、
伝導する
短夜の風を含んで消えていく
ほとんど意味ない囁きの群れ
「うまそうやなぁ!」
いきなり頭上から降ってきた補佐の声
昼休憩時
開いたわたしのお弁当
ほうれん草の胡麻和え
切り干し大根の煮物に出し昆布の千切りまで入り
かぼちゃの含 ...
暗い出来事があったとしても
明日は明るいだろう
そんなふうに感じると楽
今日一日を満喫する
明日のことは最後に考える
何があっても
楽しむこと忘れない
自然体を忘れない
今 ...
あなたの手のマメを撫でれば
マイスリーが夢を見せる
そしてわたしを抱く、腕の筋肉が
風景を透かせて見せ
ウグイスが季節を外れて
空に絡まるとき
どうやって{ルビ解=ほど}けば良いのだろ ...
夜の旅館の長い廊下と 桜並木と襖とが頑な
密談の風が颯爽と盥に落ちる 濃淡を強いている
瞬きより眦より 薄く開かれる 胡蝶尾鰭
二日月夜と受粉を繰り返した
うまくとだえるのを「待って。」 ...
それは透明な
時を飛び交う蜜蜂たち
霊性が導く通路に従い
花から花へ
雄しべから雌しべへ
ひたすら蜜を吸い受粉させ
循環させるこの世界を
道端の花園、小宇宙
わたし 目醒めた意 ...
○「年齢確認」
コンビニで酒を買う時に
いまだに「20歳以上」を押すように
言われる
これにはいつも違和感を感じる
せめて「60歳以上」にしてほしい
○「平和ボケ」
戦争になると
...
wi-fiの切れた風景
ビットレートが滞って
すすんだり、もどったり、
わらったり、する
pngでもjpegでもいいよ
解像度の低い幸福は
夕立のように僕らを襲った
観測は遠 ...
その日は夕方までに出張先を二箇所回る予定だった
庁舎の駐車場を出発した公用車のバン
走る 湖岸道路から
雪化粧した比叡の山陵が見えて
ハンドル握る主幹へ助手席の私はたずねる ...
風に満ち足りて花に憂う
水滴は一夜を幻に染める
夜の静けさに映り
溢れる心の瞬間に今、
あなたは闇を想う
走れとばかり、飛び立つ鳥
月灯りの淵の
電灯はもう
薄目を閉じて
片足で立っ ...
蛍光灯、不快。テレビの音量、小さくしたい。チョコを舌に乗せたくない、フルーツの甘味は嬉しい。バラエティ番組、見るのもしんどい。小さな子供、眺めて、それ有難い保養。スマホの画面、光量、最低限でもまだ眩し ...
先生は
ただ先に生まれたから
先生なのではない
先を生きているから先生なのだ
上にたつのではない
先を歩く
一番前を歩く
一番雨風を受け 一番苦しい道を歩く
そうして道を開いて ...
軽々しい あわらち 越して拵て
なあ、女々し布石の子の穴はちょうど
青磁の正午ごろ こちらより あちらがわほど
割れてしまった吹き抜け窓に焚き付ける
並て縦に為ると 憐れな紫陽花も桜の実も ...
あーーーーーー
まじでねーわ
女を書くな
おまえが女を書くな
おまえごときが女を書くな
女を書くな
女を語るな
女の胸とか髪とかスカートとか肌とか
そんなんやめろ
詩が嫌 ...
ごみみたいな感性で放てよせいぜい
きらめかないミラーボールに反射する銀のクローバーの中に君が四人いる、IHコンロの音で殺される妄想ばっかりしてる
友だちのやり方もわからないまま
大人になると ...
霞んだ滲んだ奥底から
仄かに姿を現すもの
深い 深い
海の底にいるように
無音のうねり
無音の瞬間
生と死の狭間に立たされて
未だ肉の生命は躍り
...
山本英子氏は1946年生まれ、1984年に現代詩手帖賞を受賞、近江詩人会に所属していらっしゃる詩人です。私にとって、山本英子氏の詩とは、一作品でタルコフスキー映画一本分くらいのすごさ、お腹いっぱい ...
青りんごは自ら枝を手放して
地に落下した
それは手のひらにすっぽり包まれるほど小さく
人が食べ頃だと思うには到底未成熟だった
わたしにもっといい耳があれば
落ちた理由が聴こえたかもしれな ...
ダンボール箱の中に
座布団をしいてすわる
箱ごと横に倒れる
易しい
後ろは勇気が必要
でも易しい
前は難しい
膝があるから
前回りに一回転して
戻れたらクリア
...
赤茶けた りんごの芯を
みつめていたら
なにもかもが
こわれかけた 白さに
その薄さよ
わたしは
あなたの胸を離れなければならな ...
日付順文書リスト
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
南の果の岬
リリー
自由詩
5*
23/6/17 6:53
拡がり
はるな
自由詩
3
23/6/17 4:56
生の倦怠感
幽霊
自由詩
1
23/6/17 1:46
グラスと水・繭
あらい
自由詩
2
23/6/17 0:54
さずかりもの
本田憲嵩
自由詩
7
23/6/16 23:11
C賞授与式と呪文
AB(なかほ...
自由詩
4*
23/6/16 20:04
夏の場面
たもつ
自由詩
7
23/6/16 19:18
六月
soft_m...
自由詩
8*
23/6/16 18:34
白い顔
ひだかたけし
自由詩
2*
23/6/16 18:20
深い森の一処
〃
自由詩
2
23/6/16 16:07
囁き
はるな
短歌
1
23/6/16 15:20
愛妻弁当
リリー
自由詩
3*
23/6/16 12:25
明日も明るい
夏川ゆう
自由詩
3
23/6/16 9:36
body
完備 ver...
自由詩
3
23/6/16 1:56
角膜潤色
あらい
自由詩
2
23/6/15 23:06
霊性と媒体
ひだかたけし
自由詩
3
23/6/15 15:41
独り言6.15
ホカチャン
自由詩
5*
23/6/15 11:33
ちぎれかけjpeg
ねことら
自由詩
1
23/6/15 8:56
阿吽の呼吸
リリー
自由詩
4+*
23/6/15 6:48
風、満ち足りて
為作
自由詩
1
23/6/15 1:10
_
幽霊
散文(批評...
3
23/6/14 23:31
先生
日朗歩野
自由詩
3*
23/6/14 21:49
海艘 願ゐ弔ゐ
あらい
自由詩
1*
23/6/14 20:33
女を書くな
撫川
自由詩
3
23/6/14 19:54
生活から逃げたい
〃
自由詩
2
23/6/14 19:52
コンタクト2
ひだかたけし
自由詩
4
23/6/14 16:52
山本英子氏の詩について
ふるる
散文(批評...
0*
23/6/14 16:34
梅雨に捧げる供物として
そらの珊瑚
自由詩
5*
23/6/14 14:13
秘密
日朗歩野
自由詩
1*
23/6/14 12:43
別離
リリー
自由詩
3*
23/6/14 6:12
224
225
226
227
228
229
230
231
232
233
234
235
236
237
238
239
240
241
242
243
244
245
246
247
248
249
250
251
252
253
254
255
256
257
258
259
260
261
262
263
264
加筆訂正:
梅雨に捧げる供物として
/
そらの珊瑚
[23/6/14 20:15]
最終連、修正しました。
3.35sec.