すべてのおすすめ
先月エアコンが壊れた
次の日炊飯器が壊れた
次の次の日Macが壊れた
次の次の次の日掃除機が壊れた
次の次の次の次の日冷蔵庫が壊れた
でもね
いちばん最初に壊れたのは
ぼくだったんだ ....
食パンのみみが
初めて出会う言葉は
まだ星空が出ている時間から
働き始めるパン屋のおじさんの
「上出来だ」の嬉しい言葉だろう
スライスされる前は
全身が みみなので
工房の全ての音が ....
残雪が疎らになった道から顔を上げると
紅い紅葉が目に飛び込んで来た
オヤと思って目を転ずると
空色の空を背景に橙色の橙が大きく実っている
通勤客の群れが通り過ぎて行く
皆同じような黒いコ ....
空き缶がある
中に一匹の蝿がいて
ぶんぶんと旋回している
わたしの耳に聞こえている
耳にだけ聞こえている
蝿は蝿を欠いている
蝿は蝿を欠いている
....
眠たいのに眠れない夜
死なない程度にリスカ
目をそむけてうえを見つめる
蛍光灯ほどの明るさで
天使がばらばらと降りてくる
風が吹いている
真夜中を駆け抜ける
....
俺達もゾンビーズ
自分の脳を騙して
強くなっただとか
ありがたいだとか
そんなこと言って
君に近づいてゆく
俺達はゾンビーズ
自分の脳だけじゃ飽き足らない ....
顔見知りの男が死んだ
いつも何かにイラついていて
斜に構える自らの姿に酔いしれていた
そんな一人の男が死んだ
※
よくある話しだけど
おんなが二人いた
別れた奥さ ....
自分の人生を愛おしんで
ここまでつき合ってくれた
セーターの青ミックスの色を
両の腕に抱きしめる
コープのお店に並んでいた
赤ミックスも緑ミックスも
好きだったな
モールのセーター
....
時計のない国で
のんびりと暮らしています
時計はなくとも
時間はあるわけで
朝、昼、夜と
まこと
大雑把な時間の感覚ではありますけれど
いちまばたきが
およそ一秒
....
物言わぬ駝鳥の目
遙か目の先には地平線がある筈なのだが、
駝鳥は相変わらず地面を見つめせつせと虫を啄む。
せつせせつせと虫を啄む
危険を感じたとき駝鳥は首を長くして遙か遠方を睨む。 ....
許容量を超えた痛みには
モルヒネを!
彼女にとってのモルヒネは
慰めでも愛でも誰かの保護でもない
背中に彫られ増殖しつつあるドラゴンタトゥーと
顔のいたるところに開けられたピアス
....
オーケストラの調律の基本となるのは
オーボエの出す440HzのAの音程
オーボエは音程の不安定な楽器であるのに
ただ音程が聴き取りやすいために
その任を担わされる
しかしコンサートマ ....
こんな朝に
カラスのカの字もありゃしない
太陽はふやけた面の木偶の坊だ
白い国道の上
黒いおまえは完全に死んでいる
暗がりのおまえは
いつも何かを舐めていた
おまえが前を横切る時には ....
ホッテントット
ビッケ
ブッシュマン
ホッテンプロッツ
ノルマン人
ロイバー
メスチゾ
蒙古斑
マッケンジー
アルマゲドン
マーマーレード
モカマタリ
頬杖をつく
頬杖をついたところに魚が生まれる
机の地図をそよがす尾びれ
三秒とたたず
世界を跳ねまわっている
少し寒い(少しでなくとも寒い)冬の日は
暖房のスイッチへ泳ぎ着く
小銭がたま ....
歩くのに疲れて
たどりついたところに
バスの停留場があった
時刻表に記された時間は
呆れるほどのまばらさだった
古めかしく
ところどころ錆びに侵食されて
そもそもちゃんと
機能して ....
その南の島には雲をつく高山がある
山からは川が流れ出し川縁には数軒の丸太小屋
朝日が登ると同時に一軒の丸太小屋の戸が開いた
親子が力を併せてカヌーを運び出す
朝靄をついて川に漕ぎ出す
昼前に ....
瑠璃色のオトマトペしりませんか
むかし たいせつなひとが くちうつしでくれた
飴玉のような オトマトペでした
今朝
あの甘さを
思い出しました
怖い夢をみて
めがさめて
そして ....
取るに足らない枯木に
カシミア混の古いコートを着せて
目抜き通りのほとりで
タクシーを拾おうとしていた
通り過ぎていくのは
回送の名札を得意気につけた
ハイブリッドな北風ばかり
....
人さし指を 探しています
誰かを指さして
不幸を笑う人さし指ではなくて
指と指の先を
そっと合わせれば
心のバッテリーが静かに充電されていくような
そんな
人さし指を探しています
....
ひとには
負け戦と分かっていても
戦わなければならない
時がある
事が終わると君は
床に落ちた下着を拾い
なまぬるい脚をとおした
ブラジャーをつける前に時計を巻き
白いシャツを着る前に
メンソの煙草に火をつけて
事が終 ....
デリカのハイル−フが僕の儚い夢を載せて走っていたあのころ
僕は孤独だった
家族に見捨てられて行き場のない猫のように彷徨っていた
はしごをはずされた愛という幻想を必死で ....
{引用=ああ……
くれないの窓辺に
映り込んだバター・クレセント
ひとしずくの欠けたなみだ
こがねいろにカーブする先
その細い渓谷をなぞってゆくと
渇いた大地にたどり着き
それでもなお残 ....
まだ幼い頃
家族で夜の海へ
泳ぎに出たのだろう
若い夏草のような
家族で
私は玩具のように
小さな浅黒い生き物
だった
海もまた
生き物だと
生々しく感じたのも
それが初めて ....
訪れるひともないわよ
迎えてくれるひともないわよ
まるで淋しいお嬢さんのようだと歌うひともいるわ
もちろん路地で生きていく方法なんて
大嫌いな寄宿舎生活の学校で
教えてくれなかったわ
....
きみが傷つき力が入らなくなる
無理をしているきみも
息抜きしているきみも
ぼくが抱きしめ支えているから
地球のおもてでこんなに淋しい
うまくいかないときも
うまくは ....
生まれおちたその日から
ラストページには
死という文字が書かれています
毎日頁をめくるたび
結末は知っているのだけれど
あえて忘れたふりをします
忘れたふりをしているうちに
ほん ....
泳ぎを練習しているうち
僕の指と指の薄い皮膚の谷間に
みづかき ができました
足指と手指の間で出来た小さな十六個のそれは
水をつかまえて 放つ
僕を未来へ運ぶ推進力となるでしょう
....
(ふるる 街に
リルケが 今宵も
遠く
灯りに (ふるる
砂の十字架
闇のブーケに
光る ) 壊れたリルケが
(ふるる 白い はら
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142