すべてのおすすめ
生産工場などで適用されてきた
トヨタ生産方式を
日々の生活に適用したらどうなるのか
ジャストインタイムで
買いだめなどはなるべくせず
必要なものを現在の必要に応じて調達する
無在庫主義 ....
洗いすぎて
ごわりとした
ネルの小さなパジャマ
ふたつめのボタンだけ
なぜか赤い糸で
不器用にくくられている
夜泣きのたびに
私にしがみついた
熱を帯びた袖
黄色いライオンの模様
....
もくれんの
白いたまごが
割れると
たちどころに
小鳥が生まれ
空にむかって
さえずりをはじめる
風が吹けば
はばたく真似事もする
翼は
永遠に無垢なまま
飛び立つことをしないま ....
Kとのみ名乗るおとこがいた
足の下の、10インチ四方のみ
そこにKは立っている
立ったまま眠り
一本のペン
一枚の紙切れ
夢を綴った
そこにのみ意味があるかのように
不本意にもKは ....
―あのね〜、お母さん!
今日ね、お弁当の時間にね、
ちーちゃんが一人で笑い出したの。
だから「どうして笑っているの?」って訊いたら
「分からない」って。
それでもちーち ....
横浜の姉に電話する。
料理や家事のことでわからないことがあると
姉にきいてみるのだが。
姉もだんだん逝った母に似て
話が長くなってきつつあるようだ。
煮ると焼くしかない僕のレパートリ ....
嬉しい嬉しいと動き回って 一時逆子になった君
この前2100グラム 少し大きめと
きっと愛情過多ね 今から親馬鹿ね
嬉しい嬉しいと動き回って そんなに嬉しいの?
同じくらい嬉しいよ
....
春という素性の上に
細いすじがねを
うっかり高く伸ばしてしまった
ふたりは
よりかかりあう
その寸前で
定冠詞のような
小さな花を咲かせている
あなたはわたし
わたしはあなた
....
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都会の一角に寄り添って
おまえは小さき声を上げていた
1月の薄い陽射しを浴びて
身体には輝く黒石の毛皮をまとい
丸まり
鞠のように丸まり ....
これも欲しい
あれもやりたい
あんな人になれたら
こんな人になれたら
ああ羨ましい
私も欲しい
私もなりたい
能力
知識
身体
欲しい
みーんな欲しい。
....
ポカリ凍らせてきて溶けない
アンパンマンの首から下を食べるのは なし
シャア専用の車が渋滞に巻き込まれている
昼下がり
古いテニスコートを占領して
自転車の練習をする女の子
もうずい分上達したようで
ぎこちなくだが転びもせずに
不規則軌道を描いている
ヘルメットを被った人工衛星
昔は誰も被って ....
鳩尾を透過していく
風のライオン
たてがみの感触に
背中が粟立つ
睫毛を蹴って逃げ出す
光のインパラ
ボンネットを飛び移る
逃げ足が眩しい
舗道に投げ出された
影のアミメ ....
人はなんでもないような場面を
なぜか覚えているものだ
中学校からの帰り道
乾いたグラウンド
走者のあげる土埃
プールに浮かんだ白いはなびら
すでに樹の指先は新しい葉を生やして
吠える ....
絵の具の声が
はじめて油絵具を手にした少女には 聞こえた。
「恥じるな ためらうな チューブから色を ひねりだせ」
開封し、すこしだけ色を出してはみるけれど、ぬっちょりとした色があるだけの
そ ....
ことばに変換できない
内に断層の捲れ上がる感覚
{ルビ穿=うが}たれた二つの池が風もないのに細波立つ
千も万もの透明な手足を生やしては
縋るものもない空の空を
死にもの狂いで掻き毟る
....
初めてのセックス 知らない人が死んだ日
嫌な予感しかしないギターのイントロが陽気
いつの間に寝ていたのだろう
まぶしい
もう朝か
目の前に虹がある
壁紙のわずかな凹凸紋様と相まって
まるで絵画のようにかすれて
わずかに揺れているように見える
虹
....
つまり
ラーメンとか
カレーとか
ある程度
味とか想像できないとか
いやなんです
久々に聞いた
とか弁
僕らの世代の流行りだった言葉づかい
....
わたしに
ゆ という文字を
教えてくれた人は
あたかもそれを
ひとふでがきのように
描いてみせるので
その曲線の美しさに
魅せられたわたしは
日暮れて
昏くなるまで
いくどもそれを ....
素直じゃないって言われた
すぐ屁理屈で反論するから
知らないくせに
じゃああなたは何を知っているの
教えられたことだけがただしいの
人を好き嫌いで色分けしていないの
無我を論じ ....
屋根裏の小部屋の窓から、表の世界を眺める。
そこには、競争があり、強奪があり、また征服があった。
人生の秘密は悉く暴露されていた。
私は頭では当然の事だと思いながらも、心は深く病んでいた。
静 ....
(今のは、
)
うつむいたまま 石畳の下り坂に さしかかったところで
わたしの背中を押した 今のは?
眼下の階段には
無数の花びらの影が蠢いて なにやら
むぅら むら
無数 ....
横波 縦波 渦巻く世界
肩肘張って働いて
お疲れなんでしょうね
名も知れないゆきずりの肩に
頭を預けてしまって
安心しているあなた
満ち溢れる心労を
化粧に隠していても
あなたの髪 ....
そのわらべうたは
作者不明だという
畑に添って
作られた石垣
その隙間から
シダやペンペン草が顔を出し
しっぽがふたつに別れた小さな虫が
忙しそうに出たり入ったり
雨が降れば
水 ....
左手首の動脈を
右手の指先でさぐり当てる
脈に触れれば
自然とそれを数えてしまう
まるで
生きていることを
確認するように
えいえんに似たそのリズムを
日が暮れて
血の匂いがする ....
今夜ぬかるみそうですね
まだちょっと震えていて
瞳は亀裂して手招くのです
梢に掛ったビニール袋の
違和としての惨めさの中へ
眠りは逃げた僕から逆行した
福寿草のように笑う
気の早い毒 ....
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