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雪に埋もれたまま青く影を落とし
家々は俯き黙祷する
気まぐれにも陽が歩み寄れば
眩い反射が盲目への道標
抱擁されるまま
冷え切った頬が温もり
辺りに耳が開かれるころ
頭の後方 梢 ....
過去にとらわれた方は、遠い目をしてはります
未来にとらわれた方も、遠い目をしてはります
そして現在にとらわれた方は、白昼夢をみてはります
冬がひきこもっていた
クローゼットを開け放ち
ハンガーにヒヤシンス
春のドレスが花ひらくを待つ
頼りなげな薄手 ....
ぼくには、ない
その欠片すら、ない
それが不幸なのか
幸福なのかも分からない
あなたにはあるだろうか
なにかに殉じるものが
あなたにはあるだろうか
何処よりも早く
咲く花を見たくて
何処よりも早く
鳴く鳥を見たくて
僕ののどちんこは
大陸から張り出して
しょっぱい声で
波を歌い続けている
賑やかな言葉は
トンネルの闇 ....
親はいないのか
捨てられたのか
たかいのか
ふかいのか
風がきつい
まぶしい
今日の空
ひとのかたちで
風に捨てられて
おまえは
なんていう名の雲か
太郎か、次郎か
花子か、雪 ....
真実思っていることを
と願ってもやはり
愛されるにはと計算も
あり
明かせないことばかりの
真昼の闇
真夜の夢と祈り
流れ星のように
経ってしまえば良いのに
消えてしまえ望み ....
0次元
面積を持たない点は哀しくて
あられのようにパラパラと降りそそぐだろう
なんのうえに
1次元
線虫となった哀しみはのたうちまわって
それでも面積を持てない
2次元
....
ねぇおじさん。
どうして人は孤独になるの?
それは、孤独を感じるほどの、
ぬくもりを知ってしまったからさ。
どうして人に孤独があるの?
それは、き ....
遮光カーテンの向こう側に目を細める
変形した足 破れた皮膚
珈琲一杯
二杯目で手帳を開いた
洗濯機の回る音はリズミカルでB5ノートの白銀を走るペンも軽い、
ペンの走る音は ....
ごすいって
ひすいに似たような
石
たおやかに
睡り続ける
午後
もくもくと
宝石になる練習をしよう
纏足の爪先から
あたたかな成分が溶け出していく
あらがえない{ルビ麻薬=レ ....
ソリティア
白は孤独
白は正しく
やがて 汚れる
自分を守れ
と
私は言いたい
逃げて
逃げて
ぶざまに
転んで
泥だらけ
スーツも何も
あったもんじゃ
ないん ....
あなたは眼の前で
ひとがひとに殺される所を視たことがありますか
ぼくは一度だけあります
そこはサイゴンの中央広場でした
それは公開処刑でした
若い女性で南軍からベトコンのスパイとして
....
「途上にある者」
われわれはあなたへ向かっている
神よ、あるいは名も無い者よ
あるいは不在の者よ
古代の人間が考えた神話の神々
もうお呼びじゃない
怒りの神、復讐の神、審判する ....
発表会 毎日が発表会
ステップの音は前と頂に向けられる
スピーカーの性能に頼らず
メガホンにスワロフスキーのデコ
発表会 今日もギリギリ合格
目的を梅見月に乗せる 桜も便 ....
自分や自分の愛する人が
明日隕石に当たって命を落とすとは
恐らく誰も思わないだろう
だから
いつも通り私達は
目の前の人にお休みを言って
今日という日を
当たり前のように見送る
あ ....
耳をすませてみてよ
聞こえるかい ギターの絃のはじける音
シンセサイザーの 機械的に透明な音
地を這っていくような 重たいベース
いくつも重なり合うドラムの心拍数
張り上げたボーカルの肉声
....
1月の曇天は、この田舎町に
たくさんの雪うさぎを放ちます。
最近は、昔ほどは多くはないけど
それでも今年も雪うさぎが放たれました。
雪うさぎたちは、放たれた ....
佇んでいるだけで受け取って欲しい
阿吽と 目と目をぼかして
オブラートを貫いて直立に佇む 鑑を増やし
優しさにふやかし 手のひらも筋の通る表側もバイリンガルに
動かない手を振る
佇 ....
ブランコを欲しがったのは私
それを父にせがんだかどうかはおぼえていない
どうだ こんな大きなブランコ
どこにも見たことないだろう
校庭にあるブランコよりも
はるかに高い木の柱と
長 ....
どうしても転がってしまう
できそこないの
羊のぬいぐるみ
連れて帰って気がついて
でももう取り替えてもらうなんて
ありえなくて
きょうも昼間っから
転がってた彼女を
仕方ないなぁっ ....
いったいきみはどこにいったんだ
きみはぼくたちに愛想をつかしたのか
ぼくたちの背信に
なにも学ばない愚かなぼくたちに
なぜ消息を絶ったのか
なにも知らせずに消えたきみ
ぼくたち ....
ついこの間まで
アンチエイジングな歩き方というのを
こころがけていた
高い化粧品も買えないし
せめて遠めに若々しく見えればもうけと
良い姿勢には自信があるし
さっさっと足早に
目 ....
朝がやってくる
風がやってくる
音がやってくる
虫がやってくる
雨もふりかかれば
猫もやってくる
人がやってくる
外へ広く放たれた
寛容な空間だった
祖母が景気よくぞうき ....
めぇいっぱいのかなしみを
ちいさなかばんにつめてたら
ほころびからおちていった
あたりまえだ
ふゆのあおぞら
ふゆのあおぞら
かぜがふいた
ほころ ....
きょうの朝は、
灰色の水にひたされている
人びとは鈍い眼をしてさがしている
ありもしない排水溝や
冬の葉のかけら、
あるいは大切なひとの
い ....
産み落として出て行ったことがのこす
さびしさは
得たものの位置には
勝てない
深夜の一人舞台
とわかってはいても
そのまばゆさを
感じてしまったことがあるのなら
あなたもでしょ ....
鍵をかけた秘密
ガラクタの木箱
*
テレビの闇
....
固く結んだ歴史の果て
柔らかな風を含んで君は花開く
大輪ではないが機知にとんだ
しっかりした花だ
空からやって来る言葉を迎えるために
僕らは産褥をしつらえねばならない
....
さみしいと
雪になる
凍えて咲く花になる
産まれて
すぐに旅立った
あの子の魂なのでしょう
てのひらで包めば
睦みあって水になる
笑って
消えてゆきました
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