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古い本を開いたら
あったはずの文字が
ところどころ喰われていた
くいしんぼうの羊のやつめ
紙より文字が好きときている
古いインクは美味らしい
いい具合に熟成していて
ひと噛みすれば口 ....
刑務所で子供を生んだ。
その子に「あかり」と名付けた。
闇ばかりだったあたしの人生に
あかりが灯るようにと。
あたしには、
殺人未遂経験がある。
14歳の中2の夏の日、
....
(世界は、針の骨を隠して生きている)
その身にさくり、
前歯を立てる。
雪のような淡白な
甘味のある肉の味が
春の風を呼んでくる。
けれどもその下で
支えている鋭い骨は ....
列車のベルが心臓直下で響きわたる
蒼白い片道切符を握りしめた駅
朝露で濡れた手は容赦ない
初夏の日、快晴、音楽、赤血球
揺すりあううちに まとめて角がとれて
本能が吹きすさぶ山頂のこの駅 ....
さあ お菓子を持っていきなさい
ぜんぶ持っていきなさい
キャンディーにチョコレート
クッキー マシュマロ おせんべい
袋いっぱいにつめて
ほらポケットにもまだ入るから
これは魔法のキャ ....
すっかり秋色に染まった道を歩いていた。
足元を覗くと落ち葉にも色々な色があることに気づく。
こんな事にも気が付かなかったのか。
秋は徐々に深まってゆくのだ。
最初から難しい ....
孤独な猫だった
丸焼けの鳩だった
まわらない風ぐるま
一等星へ続く坂道を
駆け上がってく自転車 ふたり乗り
後輪ナットにハブステップ 君は立ち乗り
スカイツリーはバベルの塔じゃない ....
平坦な生き方しかしてこなかった
それでいいと思っている
薄っぺらなままだった
それでちょうどいいと思っている
しかし
味はいろいろ覚えてきたつもり
甘めの醤油味みたいな
ざらざら ....
それまで
水の中を泳いでいたものが
産院のベッドの上で
あし。になる
それはまだ
自分を支えることも
出来ないけれど
あし。と呼ばれる
こんなに
ちいさく
まだせかいを歩いてさ ....
今日も
野菜といっしょに売られる
店員の呼び声に包み込まれて
行儀良く並んだ大根の色つやを見比べ
身長と体重を確かめているあなた
それは昨日
あなたから延びた手が
子宮にし ....
右に進むも
左に進むも
失敗を経験に変える道
十月の空 軽やかに
抜け落ちた天使の羽根
青へ青へと沈んで往った
解かれながら天の淵へと
いっせいに湧きかえる小さな羽虫たち
凝縮された生と死が充満した宇宙 裂くように
歩いて往く 衣 ....
空になった孔の底から、
風が吹き抜ける声が聴こえる。
喉の奥が苦しくて、手を伸ばす。
(届かない、でも感じる) ....
待つということは
ときに苦痛をともなう
その時間を
固いベンチで過ごすのならば
背中は痛むし
柔らかなベッドの上だとて
安らかともいかない
点滴につながれた腕は夢の中でも痛むからだ
....
黒曜石は砕かれた
もうずっと昔のこと
何もかも失ってちっぽけな存在だ
もとの自分がどんな形をしていたか
思い出すこともできない
以来 変わらず尖ったまま
今も誰かの指が血を流している
....
【酒場にて】
俺のような誇り高い男はな…
そのとき彼は一段と高らかに笑った
そして転げ落ちていった
何処までも転げ落ちていったのだ
私は月明かりの映える窓際で
杯から転げる音を聞いてい ....
パクリパクリ
月は太陽のパクリ
チンパンジーは人間のパクリ
ナポレオンはいいちこのパクリ
エジソンはドクター中松のパクリ
モーツァルトはキダタローのパクリ
パクリパ ....
(誰かが見ている)
そんな気配で
窓を振り返ると
一匹のしらすの目があった。
思い出した、
弁当箱いっぱいの
ぎ ....
その日は
お花見の桜より うんこの話のほうが
うつくしかった
お隣さんが用意してくださった花見弁当を囲んで
いっしょに 盲の方と お花見をした
お洒落な桜色のスカー ....
(鍵はどこだ、鍵はどこだ、)
誰かが後ろをついてくる。
(鍵はどこだ、鍵はどこだ、)
何かが握られている気配 ....
夕暮れだろうか、明け方だろうか。
深い森の中に薄紫色の光が差している。
薄い霧のかかるどこか懐かしい空間で
いくつもの死と生命の誕生とが
上品な絹のように織り交ぜになっている。
遠くか ....
着いて翌日の朝は
マスタード色の
プラスチックのコップに注がれた
オレンジジュースで始まった
初めて見るプラスチック製のコップに
本物の生のオレンジジュース
九つになったばかりのこどもには ....
ポエジーは
朝の光りだ
目覚めれば
其処に在る
生活に在る
卓袱台にだ
靴を履いて
路傍の歌に
耳を澄ます
空を見上げ
今日を思い
店頭の魚の
記憶を辿り
海を目指し
陽が ....
千円で二冊
手頃なんだから、
、と、擦りきれた本にきれいなままの文庫本
何故か捨てようにも捨てられない
同じような顔をして段ボール箱の中に眠ってる
たまに取り出してページをパラパラ ....
胃が悪化してきつい朝
今後のことを考えるためにわかばに火をつけた
人は
なんどころんだら
上手に歩けるようになるのだろう
人は
なんどないたら
上手に笑えるようになるのだろう
だいじょうぶだよ
まるでごむまりのように
やわらかいきみをだきしめる
....
夫と言い合いになった日の深夜
冷蔵庫の前に這いつくばって
冷たい床に雑巾で輪を描いた
何度も何度も同じ輪郭を辿って
ただ一心不乱にひとつの輪を描いた
怖い顔で子供を見送ってしまった朝は
....
ひきちぎられたこころたちが
あきのてんじょうを
およいでいる
うめつくされて
ひしめいている
ちいさないきもののように
おびえながら
むれている
ねてもさめても
どこへにげて ....
西日に首を傾げている
絃を爪弾きながら 全く
永遠の光芒の野は無邪気で
故に無伴奏から不在を学ばず
そのままです神さま 私は全く
手放した数多の心には
なみだを送り毛布を送り
子守唄 ....
文句があるかとムンクが叫ぶ
天狗になるなとコングが応じ
透明ゴングが鳴り響く
ガンガン玩具でやり合って
「レフリー チョークだろチョーク!
「何がジョークだ さっさと絶句 ....
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