すべてのおすすめ
母になれぬ娘と泣いてやる
乳房切除して母という字
渋谷文化村ミュージアムをくだって
H&Mを左に見ながら
道玄坂下へ至るあたり
雑多な国籍の若者や
清掃するおじさんや僕のような納品車
いつものスリムな店長は
つけまばっちりのかわい ....
森の道を歩いていると
くるくると
糸を垂らした葉っぱが
目の前で少し風に揺られて
くるくると
じっと見つめていると
おもてうら少し色が違うから
綺麗にはためく
ぱたぱたと
わたしもお ....
冷たい石の陰に身をひそめる蜥蜴
葉の裏で翅を休めるクロアゲハのように
公園から木影のはみ出している場所へ
車をすっと 滑り込ませる
小柄な老女が日傘をさし
現場作業員の日焼けした顔の向こ ....
雨上がりのそら
草原に敷かれた鉄路
長大な貨車を曳く機関車が
ゆっくりと風景をよこぎってゆく
産業革命をささえた心臓が
風景のなかで鼓動している
そんないまではめったに在り得ないシ ....
おはよう
僕のベットの隣に君がいる
肉と皮を蒸発させた君がいる
地上に置いていった骨だけの君がいる
ろうそくの炎が揺らめいている
数本の線香のか細い煙が揺らめいている
僕の ....
ちょっとした異性の情けに
心が前を向き
元気になって意気上がり
意気上がり
浮かれ心の有頂天
天に昇れば
あとは 落下
後ろを見ては 沈む心
取り巻く人の
心を上目遣いに覗き込み ....
揺るがないものが揺らぐ
仕方のないこと
ありのままを見ているつもりで
水鏡に映った姿を見ているから
冷やかな風にさざなみ
優しい陽射しに微笑み
自らの夢を重ね映して
時を凍らせた写真 ....
にゃあんばらやんや
まみゅうまみれんぼやあんあ
しゃしゅうしょすはらみんみん
にょうにょううううう
だめだ、早まってはいけない
落ち着いてそして振 ....
空想と現実を行き来する
冷蔵庫を開けるまでは
卵は空想の産物であり
白い宇宙船であったりするけれど
取り出して目玉焼きを作る段になれば
さっそくそれはフライパンの{ルビ最中=さなか}で現 ....
たとえばラテン語だったなら
誰にでもなく君たちだけに
伝わるだろうか
さよなら、と
ひと言のこしたいひとの数は
片方の手で足りる
それはさびしいことではないと思う
彼女が弾く
クラシックピアノの旋律で
ジョン・レノンのImagineが
魔法のように何処からともなく
記憶として生まれて
再び消える
彩られるブーケを持って
一緒に写真を
撮ろうと ....
たった三日でもわたしをあなたのテーブルに飾ってくれてありがとう
消毒臭くて清潔な水は、もちろん雨よりも美味しくはなかったけれど
あのまま樹にいたとしてもどのみち無残に滅びていく事にかわりない
....
寝起きの熊のよう
ボンヤリ不機嫌
だぶだぶの部屋着
クロックスを引きずって
それでも花
今朝 三つめ
ピンクのチューリップ
黄色い水仙
真っ赤な髪の少女
重そうにコンビニの ....
星の頃 無敵だった
目じりの奥に思い出が溢れだす 年月の齢
星を紡いで若葉が全てだった
畏れを知り現実の棘さえ快感に覚え ふと止まる
四季の世継ぎの儀四季
....
中学生になってはじめて学校へ行った日
いくつかの坂道を登り下りし
いくつかの集落を抜けてたどり着く
坂道は辛かったが
ところどころに桜が花をつけていて
気分は悪くなかった
集落は ....
頭皮が何か云っている
お疲れ様 そろそろ本格的に休めよ〜
頭痛の前兆のような頭皮痛
マッサージでほぐして
頭皮の美容液という名の育毛剤をシュッシュッ
ああ痛い痛い
そろそろ ....
霧の漂う高原で朝を迎える
冷えた暖炉に薪をくべる時
私の内側で眠っていた生命の光も
優しく穏やかに目を覚ます。
何かが覚醒するときに感じる小さなエクスタシーは
すでに準備 ....
現実から逃れるためではない
現実を死ぬまで生きる
そう 何処かで決めているから
扉も窓も開けたままにしてある
鍵は壊れたまま
入口は出口で出口は入口
外側は内側で内側は外側
脳が現実だと ....
ふと想う
一生懸命な趣味とは
道楽などと云う
ものではないのだけれども
きっと最初は
お金を使ってしまうだろう
どんなジャンルでも
ワールドカップのような
競技があるように
世界 ....
平面の布に
針を刺していく
そうして出来た
糸の道を引くと
操られるように
現れる
立体の波は
少女の真新しい綿のスカートの裾を
縁取って踊った
風、曲面のゆらぎ
影とひかり
....
箸でつまんで
ポトリ ポトリ
やわらかな壺へ
金色の毒虫入れ合うの
互いに舌を絡め
{ルビ騙=かた}ることば
海が見たい騒がしく
鳥が声が
眼裏掻っ切って
わたしたち手探りのままでい ....
疲れた顔で見舞いに来ないでほしい
わたしの看護のために
あなたを育てたのでは無い
あなたはあなたの生き方で
社会の仕事を果たさねばならない
それがあなたの人生
わたしの看護が加 ....
新緑の木漏れ日
雨上がりの朝
ひとの気配を飲む森
まぐわうように
愛をからませて吐く息
命の匂いに満ち満ちて止まない
そんな五月のように私たちが求めて止まないころ
得ようとしていたもの
....
ながれる息はチューブを駆け巡る
空が季節の階下を滑り墜ちる度に
遠く、
、近く、
と、眼窩をさまよう信号の波
放物線と消えた夜の足音
ひそやかな星の輝き
死なせて ....
先にあなたから色芽を結びます
空けないことにはわからないから
柄の選択に迷うことになります
わたしが降りてきて
これでからだからはなれてしまう
味覚をもしも言葉で ....
発する柔らかな音のかたちが
まだ定まらないころ
神経衰弱でトランプを捲るように
何度も見て触れて味わって
モノとなまえが一致して行く
意味を纏うのはまだ先のこと
ちいさな器は無限に広く深く ....
愛したいけど愛しかたわからず
愛されたいけど愛されかたわからない
それは道理
愛しようとすれば拒絶されたし
愛されようとすれば束縛されてしまう
ふるさとの大人たちは怯えていた
自分の威厳は ....
{ルビ処女=おとめ}はその森に入ってはならない
森に入ればきっと出会ってしまうだろう
そして血よりも紅いその薔薇を手折ってはいけない
薔薇を手折ればきっと恋に落ちてしまうだろう
それは ....
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