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五月の橋の上で
生まれ変わったら
何になりたいと聞かれた
ねことか
とりとか
雨の日の林の中の
きのこ
なんてどうかなあ
ぷつぷつとうたうたう
春の腐植の土たち
立ち上がろ ....
七月の階段を登ってホームに出ると
七月の風にはじかれる木蓮の花
のぞき込む 流れない水
そして少女が手を振る
まるく
何ものをも拒まぬ速さで
おはよう
こないだ タケダからメール来て ....
汚れたうさぎ色の空から
アスパラの雨が降る
雨は次々に根を潜らせ
背中から空へ白いまっすぐな筋を何本も何本も何本も
川の溜まりの鋼の渦に
くるくると浮かび上がるそのひとの「きのう」
....
おい
イタル
たかこぎするべ
といったら
うん
というので
チヨオ
しんぱんしろ
といったら
うん
おすなよ、うしろから
ぜったいに
うん
陽に ....
鉄棒に細い両腕とあごを重ねて
校庭の向こう岸に
風が波になって集まるのを
見ていた
帰り道の友達は
黒い袖をはためかせ
くるくると帽子を回しながら
林の陰へ消えていった
頼りな ....
トンネルを行く蝶もあり 坂の春
夏の蝶を映さぬ流れ 石を放る
蝶乾く 風来る街の曲がり角
闇の形 動かぬ冬の蝶を食らう
二〇〇九年一月十一日、二十三時三十二分。
縁まで冴え渡る空の下、画像の荒れたブラウン管では懐かしいアメリカの俳優が、光る川辺でギターを弾きながら自分も知らなかった自分の娘にひどく悪態をつかれ涙な ....
夜の窓を騒がして
昨日の風が行き来する
慌ただしい肉体
またたく感情
吹き流す煙草の心境に
けむりは青く
はためく
おまえのやせた背中に
描かれた
微細な地図
それから
晩の ....
山陰から拳骨のように雲がわいた
ぼくの心は
あの夕暮れの雲の高さにある
ステテコ姿のじいちゃん
三輪車に乗るねえちゃんとおとうと
帰りましょう あのときへ
森陰に切れ切れのヒグ ....