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そのポストマンに
ぼくが初めて会ったとき
彼はひたすら
ラブレターを書きつづけていた
その時はすでに
ポストマンではなかったけれど
いちにちに
白い氷の丘をみっつ越えるんだ
と ....
パン屋の朝は早い。太陽が昇る前には起床。
パンを作る工程は秘密だ。
私がパン作りを人に知られないのには理由がある。
秘密にしないと魔法が上手くかからないのだ。
そう。私は魔法使い。パン ....
宇宙に拡散された水滴の表面張力に支持された塵芥
大きなものは大陸その千切れた微小な島嶼程もあり
十分に人類の生存するスペースたりうるが
ごく僅かな身震いに過剰に反応する塵芥達
化学反応を起 ....
小さな花が
音も無く咲くとき
小さいなりの輝きがあるだろう
太陽は
惜しみなく笑顔を贈るだろう
私たちは
知っている
どんな花も魂をゆさぶると
小さい花は
小さいことを
....
伝道奉仕の水曜日
日夜心にめぐる主題
神と人、自然と人生
今日も訪れし家々
一人の女性
うなずきて聴く
造られし物は自ら神を告げ
今や、だれも神おわさずとは言わじ
あがらう人とてな ....
蒸した天の羽衣
多数のビーナスに同時に咎められた
幼稚なポエムではイカないわ
「快楽はイコールで正義ではない。」
少年が 見た 擦った 常識よ!
誘惑へ進む
非常に蒸す夜
(ナイ ....
雲をながめたり
雨をながめたり
次第におおいかぶさる
暗闇の手をながめたり
そのたびに
母に
「またぼんやりして」
と言われた
私は
実にぼんやりした子どもだったのだろう
....
いつになれば
大人になれる
いくつになっても
あの頃思い描いていた
大人とは違くて
お酒を飲んでも
車を買っても
お母さんになっても
いつまでも
大人になれな ....
わたしを救いたいなら
あの月を涙でくるんで
そして、ピアスにしてください
捕虫網右手に持ってアテナ狩り
静かなる主従関係金魚玉
兵隊の餌食にされる夏芝居
背徳と呼ばれる行為日焼けあと
十五夜に蠢くオンナ蟻地獄
膨らんだ妄想隠し夕涼み
....
もの悲しい口笛のイントロ
ブレイクのアルトサックス
異邦人の生まれ故郷のニューヨーク
そこから彼の歌が始まる
彼の歌は哀しい
生まれ故郷の大都会で
鳴かず飛ばず
鬱病になって病院へ
....
雨の日の憂鬱の原因が
洗濯物が乾かないせいだと
今、気付いた
湿っけた洗濯物が
部屋中に吊るされて
うっとうしい
ベランダに干された洗濯物も
いつ乾くか分からず
さらに絶望的気分になる ....
すこし太った と
しわだらけのあなたが言う
たしかに
しわの数はへっていないけれど
わずかに 浅くはなっている
一年ぶりに 団地にUターンしたのが良かったのか
また
独居 ....
初潮ということばが
海のことばみたいなのはなぜかしら
などと考えていた頃に
おまえの家は紙の家だとからかわれ
わたしは学校へ行けなくなった
わたしは紙のにおいが好きだった
ノートのにお ....
金があれば と言うけれど
あったらあったで目先のものに使ってしまう
時間があれば と言うけれど
あったらあったで無駄な時間も増やしてしまう
もっと自由があれば とも言うが
自由の ....
わが一歩 一応は一歩進む
道に穴だ 二歩さがる
すこしずらして 一歩進む
空気がない すごすご引き返す
しゃがんで一歩 こっそり出す
いきなり水の中だ 鰓がなくて溺死
科学は日進月歩 ....
うちのベランダに
よさげな苔が生えている
コンクリートのひびから
もこもここと
ふさりふさりと
緑色からエメラルドグリーンへ
鈍く光っていき
それはなんだかシ ....
どうしてここにいるかなんて
馬鹿みたいに考えてみた
とどの詰まり、結局は
運否天賦、理解不能で
拠り所なんてなくて
そんな典拠は存在しなくて
それは皆同じなのに
「だから僕は不安 ....
{画像=120624184853.jpg}
突然の雨に読みかけの新聞を掲げ
歩き出すと
ポタポタ
新聞紙に残る雨痕は
不思議に一定方向に跳ねが伸びて
跳んで
僕は誘われて歩いて行 ....
月面に地球がのぼるのを見たことがあるかい
虹彩異色症の奥菜惠ちゃん デビッドボウイ
片目が金目でもう片方が銀目の猫
ちょっとだけちがうものが無数に存在するが
有限個ならば統計学 ....
ゆきちゃんは あさ
かさをさし 長靴をはいて
雨のなかの花にあいさつする
話しかける
おじぎをする
おはよう さようなら
きょうなにたべるってたずねている
....
子守唄を歌っていたよ
おとなになったきみは
あの頃のきみだ
雨降るあの夜の
きみの正義感は正しい
おとなになったぼくは
あの頃のきみに
寄り添っていた
....
梅雨時になると
もうそろそろかな、と思う
雨上がりの庭で
もうそろそろかな、と思う
君と
言葉を交わしたことはないけれど
君のことは
勝手にトモダチだと思ってるから
カエル ....
みじかい夜がおわって
きょうがはじまると
君のてのひらがすこししめってくる
青いような赤いような
夜あけまえ
だんだんとあかるくなってくる
あれは
かきあつめた命が
燃えるから
....
もこもこアルパカ もこもこ おやすみ
もこもこアルパカ もこもこ おやすみ
ゆっくりと眠りに落ちてく落ちてく
ゆっくりと眠りに落ちてく落ちてく
これから
夜が夜が夜が生まれる
....
たいふういっか
が
台風一家だと
思い込んでいた頃
台風が去った朝
通学路には
一家が遊んだあとが
残されていた
なぎ倒された空き地の草
折られた柿の枝
おしゃかになった傘
....
潜る
深い深い思考の中
深海魚みたいに
やさしい言葉はかんたんにでるのにね
ほら笑ってるそばから
胸がいたい
自分のことが好きですか
深い海のそこから
あたしは泳ぎはじめる
好きです ....
日傘を差した女の影が
歩道の凹凸を滑って行く
踵を返す青い熱帯魚
フルートの鋭い閃光
アイスピックを ....
ネオン輝く夜の街
路地裏の狭い石畳に
今宵も漂い辿り着く
淡いランプに浮かび上がる
[遠い昔のバー]の扉(ドア)
ここは[遠い昔のバー]の中
スツールに掛け、手をふいて
まずは一 ....
思い出の国に目覚める眠り姫
映画を観たり、キスしたり、
その度、僕の胸はキュッと痛くなる
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