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こないよ
こないよ
このまま
こないひとになるのかな
って
ぶつぶつ頭蓋骨の中でつぶやきながら
階段を下り
上り電車の風を見送る
制服の女の子が柱によりかかって
携帯を耳にあてる ....
まだ色を持たない紫陽花は
ふつふつと泡みたいな蕾をつけて
くすんだ背景に溶け込む
重たく湿った空気の匂いがし
右足の古傷がしくしくと痛む
身体は正確に天気を教えてくれる
....
白熊が死んじゃう、と言って
つけっぱなしの電気を
消してまわる君は
将来、かがくしゃになりたい
という
撒き散らかされた
鳥の餌のシードを片づけていると
芽がでればいいのに、なんて
....
二人で引いたおみくじは
その元旦の初詣の甲斐があったのか
二人とも大吉だった
大吉にも中身が色々あって
満点の大吉もあれば
赤点の大吉もあるということを
同時に ....
たとえば
月明かりの下 大きな使い勝手のいい山刀を研ぐ
水を跳ね返す 月の光と 鋼の地肌
にごる にごる水を
細く落とすひしゃくからの流れが
零れ落ち 湿った土の上を蠢きながら流れてゆく ....
彼女と手をつないで今夜
麓の街で開かれる
夜祭りを見に行く
月明かりが硬く降り注ぐ
蒼ざめた石畳の街の四隅に
かがり火が燃える
やがて大弓を載せた
台車が四隅から繰り出して
街 ....
「まだ諦めてないのか」
季節は夏を出し惜しみして 中途半端に突き抜けている
そんな景色をぼんやり眺めていたら
急に耳のそばで声がした
みどりいろの小さな悪魔みたいなイキモノが
あ ....
090529
渚にて
渚に波が
押し寄せて
愉快な仲間が
溺死する
フナムシ
ヒトデ
カブトガニ
青い血液抜き取られ
渚の隅で息絶える
....
迸る鮮血がブーゲンヴィリアの赤になり
夏の陽だまりが向日葵の黄を匂わせている。
それと喚かなくとも
存在自体がある色調を帯びているような
そんな確かな色が僕にはない。
微かに茫洋と滲んでいる ....
とけた飴の中に
蟻が一匹閉じ込められていた
綺麗にそろった六本の脚は
もう動くことはない
蟻は甘い甘い飴の中
最後を迎えるにはこれ以上ない場所で
きっと苦しみ抜いたに違 ....
真っ赤な太陽が夜をつれて
あの日の団欒今はいずこへ
涙を隠して背中を伸ばして
眩しい目位しか出来なくて
あなたを憎んでいると告げ
真っ赤な太陽は西の山の端
あし ....
大騒ぎしていた隣の部屋の大学生も
煙を撒き散らしていたスポーツカーも
凛と顔を上げていた向日葵も
みんなみんな、眠ってしまった
ベランダから両足を突き出して
ぶらぶらと泳がせて笑ってみる ....
帰ろうかな
そう思った
一瞬を幾度か
ちらして!
5月
空は氷を溶かした青で
お花のジェット
バウンド・フォー・トーキョー
千歳の上空から苫小牧
育った家を見下ろした
掘り ....
良く晴れた多摩川沿いに走る二車線の都道
歩行者用信号機は青へ変わっているに右見て左見て
みーちゃんの手を引きながら急いで渡る
轢けるもんなら轢いてみなよ…いつもならそんな気概なんだけど
....
慌ただしい朝
出勤前に身だしなみを整えていたら
妻から声がかかる
バァチャンガナクナッタ
僕らの結婚当初からお世話になっていた
九州から出てきた妻は母親代りに慕っていた
おばあち ....
090525
君のためならば
どんな苦労も厭わない
ベタなセリフを懐に
セリフを抜かして叱られる
役者さん
社名抜かして処分を受ける
アナウ ....
手を引かれ歩く。
懐かしい匂いのする君
その面影は記憶の水底
私が潜水夫になって強く握り返すと
つないだ手には水たまりができて
空の色を映す。
薄暗い緑の茂みの奥までくると
....
貴方の影を決して踏まぬようにと
いつも三歩下がって歩く癖が
いつしか身に染み付いていた
夕暮れに伸びて行く影法師は
遠のいて行く貴方の背中、貴方との距離
沈む夕陽を従えるように
貴方は歩いて行 ....
ゆっくりと、撫でてゆく
背中から本能までの
または、今日から命果てるまでの
測れない距離を、あの人の言葉は
簡単に届いて、そして、
明日に色を書き足してゆく
友情、と言っていた
....
マニラでの仕事は十分で終わった
事務所に顔を出しただけで終わらせたのだ
日本の社長の心ない言動で
まったくやる気を失っていた
まあ自分で指示を出しておいて
途中で梯子をはずしてきたということ ....
はつかみる
ほころびさける
言の葉の
うらがれとはず
あをきをいのらむ
I could never be what you need
(譬え、始まりを告げたとしても)
たまゆらの ....
海岸からは海岸が見えなくて
これでは砂漠と同じです、あなた
水があるだけよ
ただ水があるだけの砂漠よ
遥か 第五感界の外の霧を掴むには
衰弱するのがよいと聞きました
あちらこちらに船を ....
白く灯るシグナルに
息をのむ
メールは、きみ
こころがふるえる
ばかみたいに
よろこんで
くやしくて
すぐに返事は
しないんだから
まだ遠い夏を
まだ梅雨さえ来ない5月の空に描いて
貴女は揃えて広げた掌に息をかけ
ふうっと、飛ばす
果てしない宇宙の
一番身近な部分を
少しだけ切り取って描いた世界は
たんぽぽと
ラベンダー
....
すうっと堕ちていくような感覚と
鈍いしびれがあるという
それでいて苦痛ではないらしい
幼なじみのあの子も
隣の席の委員長も
さらにはわたしのママまで
患ったことがあるらしい
大人 ....
描きかけた まるい絵を
仕上げた事はなかった
曖昧な空に 風船を放つ
重さなどは いらない
この世界のたくさんの声が漏れて
帰り道、溶けそうな歌声に酔う
わたしはわずかに軽い
....
女が父親と住んでる家に泊まった
父親はアボジで通称アボ
アボは晩から登山に出掛けている
ひとんちでこんだけ寛いでしまうのは才能だろう
大学のとき開花した才能だ
自宅生なのに家には一ヶ月に数度 ....
茜射す街に
さすらい旋ぐる風の喘ぎ
淫らな葉ずれに
あらがい委ねる罪の囁き
素足のままで
何処まで歩いてゆけるだろう
絡みつく絶望と
うずくまる希望を抱いて
素顔のままで
何 ....
パン作りに悪戦苦闘する教室の扉をそぉっと開くと
可愛らしい眼でこちらの様子を窺いだす
仲間外れされているとかの感情より好奇心が勝っているようで
親指を口に含みながらきょろきょろしてる
手足 ....
薔薇をあなたに
五月の薔薇をあなたにあげたくて
私はひとり庭をさまよっている
ハーブの花畑を通って
クレマチスの花園へ
キングサリのアーチをくぐったら
そこはもう薔薇迷宮
色とりどり ....
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