夜が訪れたことに気づかないでいたら
いつが夜明けなのかわからなくなってしまった
区別がつかない 月は
欠けているのか 満ちていくのか
私の呼吸と 似ていた



{引用=お話と呼ばれる ....
俺が書くものが詩であるかどうかは二の次だ
大切なのは俺が馬野幹であるかどうかだ
<えいえんに>

わたしずっと退屈していて。

発泡スチロールのカップのなかで干涸びた麺が
戻されるのを待ってる。シールされたフタ。
肉らしき茶色の破片、卵のいろのスポンジ状、
 ....
夕暮れて
暮れなずみ

夕闇に
うちしずみ

静かに
   下がっていく
         温度
静かに
   暮れていくの
         音

あなたがノオトをめくる音 ....
黄色い花が咲いたよ 緑の原っぱに
無数の貴石のように きらっきらっと笑いながら
咲き出したよ
ああ来た やっと降り立ったよ 朗らかな風が
南から柔らかな日差しと甘い香りを引きつれて
やあ 坊 ....
 ありきたりの生活に
 雲行きの悪い空

 何度も何度も
 生きることに真剣に取り組んできた
 
 一人でいきること
 その無情

 無理をして
 生きてるけど
 どこまでつづく ....
                 そして、
海は濁っていった。青黒く、あるいは黄色く、
濁ることで海はひとつの予兆を示した。水平
線までの正確な距離をはかろうと、漁師たち
は考えをめぐらせ、砂 ....
こんな晴れた日
野の緑はしなやかな腕を
天に向かって伸ばし
陽射しに仄かな生命を温めている

草むらをすり抜ける風は
蜜蜂の
しじみ蝶の
か細い肢に付いた花粉を
祈りに変えて
次の ....
なんと違うことだろう

二年間寝たきりの祖母が他界した
94年の生涯を自宅で眠るように閉じた
涙は流れなかった

葬儀はしめやかに営まれ
その後遺体は火葬場へ
焼かれる間に親族は
酒 ....
遅い春が さらに足踏みをして
私たちの日曜日は
台無しになってしまったけど

公園からの帰り道
陽当たりのいい住宅街の一角で
うっすらとつぼみの綻んだ
可憐な桜を見つけた

ブロ ....
私は円周率のような人間でありたい
3.141592653589793238462…って
キリがないのは確かに厄介だけど
割り切れないということは無限の可能性があるということだ
便宜的にどこかで ....
夕焼けに
うす紫に染まった
ほほにひとすじ
熱いものが流れて
小さな手のひらで顔をおおう
影が淡く
暗い血潮へ暮れてゆき

無器用な翼の
色調不明する鳴き声が、
空ろに響く
指の ....
砂浜で波とたわむれる
あなたを見失ってしまいそうで急いでかけよった

あなたの白をたどれば
その薄紅色の唇に広がってゆく海が見えてしまう

景色はうっすらと朱に染まろうというのに
 ....
君に


 君の心と僕の言葉が反対を向いてどうしようもない時は
 僕のことをへちまのちんちくりんと見なして
 うっちゃってくれればいいよ

 僕は少し酢とかにんにくとか
 鼠の尻尾とか ....
ぼくは詩人

立派なことを考えることよりも
ほんのちょっとの行動が
大成を生むものかもしれない

今日もまた

朝の散歩をしていると
泉に出会いました

底から湧き出る小さな命
 ....
ぼくは詩人

新しい形というのは
古いものの中から
発見されるものかもしれない

今日もまた

朝の散歩をしていると
1冊の詩集に出会いました

まさに散歩の
そして詩人の先人 ....
たえず流れゆく虚飾で彩られた十字路たちの、
過去の足音が、夜明けのしじまを、
気まずそうに囁いている。
燃え上がる水仙の咲き誇る彼岸は、
すでに、水底の夢の中に葬ってある。
落下する時を ....
龍は脱皮する

少年は青い海の中で
その抜け殻と戯れる

白く透き通ったその皮に
そっと指先をつける度に
少年の過去が
ひとつ
またひとつと
未来へと昇華されて行く

少年の中 ....
ぼくは詩人

飾った言葉も
無垢な言葉も
言い表せない時もある

今日もまた

朝の散歩をしていると
白い蝶に出会いました

ふわりふわり
その飛ぶ姿を目で追う

ぱたぱた ....
ぼくは詩人

自由とはその人の心が広いほど
広いものかもしれない

今日もまた

朝の散歩をしていると
1人の女性に出会いました

朝からお酒を飲んでいる
着ている服もヨレヨレで ....
間違いを犯さずに
生きていようとつとめてきた
  少なくとも
    大きな間違いだけは

生後 という
言葉がある
生まれた 後
という意味だが
つまりはこの世に参入してからの
 ....
ああ素朴な人に会いたいのだ
こんな
読めない漢字のように
むずかしすぎる人々にもまれて
どこでなんの役に立っているのかわからないような
仕事をしている
サラリーマンの僕ならば

階段の ....
「彼、自称詩人なんだって。」よみきかせの仕事をくれた女性にそう紹介され、挨拶をしたことが二度ある。心の中で“自称は余計だよ”とおもいながら。
 
世間で「詩人」と云う存在がどんな風に扱われているか ....
風を見たことが無い。だけど風が吹き木の葉が揺れ季節の変わりを教えてくれる。

髪がなびき 季節の香りがする。

風が透き通って行く度に桜の花びらが旅立っていく。

行きかう人々が 花びらの ....
ぼくは詩人

形ないものは形がないがゆえに
それはまた永遠の繰り返し

今日もまた

朝の散歩をしていると
水たまりに出会いました

少し離れたところから見ると
きらきらと輝いて ....
ぼくは詩人

自分に配達されたものを見ると
なぜか気持ちがわくわくする
たとえそれが
どんなにつまらないものでも

今日もまた

朝の散歩をしていると
郵便屋さんに出会いました
 ....
どんよりとした鉛色の雨が、わたしの空洞の胸を
突き刺して、滔々と流れてゆく冷たさが、
大きなみずたまりを溢れさせている。
みずたまりには、弱々しい街灯の温もりによって、
歪んだ姿のわたしの言葉 ....
月が満ちた夜、私の身体、ひとつひとつの動作の継ぎ目や隙間から、生暖かい性感が分泌物のように滲み出ている。
私自身そのことに気がつかないにしても、やがては溶岩のような暗い輝きを持ったひとつひとつの細胞 ....
髪をゆるやかに洗う春
花たちを促し
か細くささやく夜
はらはらとお話

本は開いたままに
ゆらり眠り
ホルンの音が耳に
夢に妖精が踊り

そっと見ていて
あの歌
空と大地に触れ ....
ぼくは詩人

何か見ると
時として思い出や未来まで
見えるのかもしれない

今日もまた

朝の散歩をしていると
看板に出会いました

捨てられてしまった看板
すでにもう泥だらけ ....
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