夢の中でバァさんから貰った手紙
みんなばらばら
その次の日、父は行方不明になった
妹は独りあの家族という牢獄で肩を抱き、悲鳴を押し殺す
母はまだ独り夢の世界から戻らない
あなたたちを愛してい ....
かみさまようちえんはお空の上にあります
今日は楽しい運動会
お母さんもお父さんもいませんが
こどもたちはみんな元気です
かみさまようちえんにはお花もおやつもおもちゃも
たくさんたくさんありま ....
肌にふれる
ざわめきの波に
もういいよ
さすらうため息
とまどうことなく消した
たばこの残り火が
灰皿に冷たく燃えていく
おびただしい熱が
さみしいからだを満たす夜
かえりみ ....
それは
優しいあいさつだから
きっと、優しい手紙
まっしろな封筒には
ほんわりと香りのこして
優しい君からの言葉
ほかのどこでもない宛先
おげんきですか、
なんて素敵な手紙
....
けれどもただ個性的というだけでは認められないから
自分を偽ったりもするでしょう?
ひとりぼっちは多分たいしたことではなくて、
誰かが決めた価値観に沿って生きるよりも
自分で納得のいく自 ....
この星この時に生まれた
このからだが私
煙と骨になる日まで
私を運んでね
今日も歩けました
蝶を見ました
自転車に乗れました
ヒヤッとしました
お食事できました
しあわせです ....
空が灰色クレヨンの日
風邪をひいた詩人はゆめゆめ思った
詩人たるもの
移ろう季節を誰より早く
探して言葉にしなくちゃいけない
詩人たるもの
少しはむつかしい漢字くらい
す ....
アスファルトの上に落ちていた
虫の亡骸を
土の上へと
いつかその身を
風にゆらす花へと
帰すまで
この身のゆらぎを
諦めに似た憂うつで
{ルビ現=うつつ}にゆらします
回転する
....
あいするなんて、
けっきょくくるしいだけでしょ。
あいされることだって。
ななさいのおんなのこが
ませたことをいいながら、げこうしています。
くるしいことを
あえてもとめるなんてば ....
恵みは 希望を膨らませ
たわわに 蓄えられて行く
根ざす 大地は暖かく
不自由さに 逆らうことも無く静かだ
希望は満ちながら 腕から零れ落ちて
一面に 撒き散らされる
帰ること ....
僕がじいっと空を見ると
空はもっとじいっと僕を見る
まるで僕は透けてしまうようで
慌てて空から目を逸らす
焦がれにも似た静かな揺らぎが
遠くからやって来て
....
その葉の一枚の中に
暖かさが流れていて
触れて私は
その流れの中に浮かぶ
けれどいつしかその葉は
私の中にあり
暖かい場所を探しながら
....
目をさますと
雪のように朝が降っていて
やさしい手順で
呼吸をおくる
あなたは
まだ
夢の体温で
きのう
よそゆきの服がでてくる詩を
読みました
愛とよ ....
幼い頃のひとり遊びの記憶は
影となって私に纏わり
誰かを愛そうとするたびに
耳元で呪文を投げかける
楓の色づく様を
薄の頭をゆらす様を
人と分かち合うやすらぎを ....
掌からうたが溢れ
あおいそらに吸い込まれていく
天上人の哀しみの衣を揺すり
流れ星がひとつ零れて散った
足下からうたが生まれ
あおい海原に 滲んで消えた
深海魚の喜びのざわめき ....
いつのまにか
あなたがいなくなることが
いつのまにか
怖くなっていて
それは
幾日もの
あなたと私の
笑顔の証
とても不思議なことに
朝はいつも訪れる
目が覚めると
朝は ....
街を歩いていると
「幸せのために祈らせてください」
とか言うヤツが近づいてきたりする
オレは
「僕の方こそ祈らせてくださいますか?」
と言った
祈り合い合戦勃発
辛くも勝利
上りの通過列車が
雨上がりのプラットホームを過り
色褪せたベンチの水滴を
さらってゆく
少し欠けた白線と
凸凹黄色のタイルは
きっと黙って
それを見ている
プラットホー ....
人の灯りが
山間に星空のようにまたたいている
地上の星という流行り歌があった
高台を走る田舎の高速道路から盆地を見下ろすと
それは星の吹き溜まりのように見えるのだった
星座には見えないが ....
改札口にて
お待ち申し上げております
行き先を
詮索したりはいたしません
どうぞ
ご安心を
あなたがここを
通過してゆく事実のみ
確かめさせて頂きたいのです ....
眠りは当局から支給される
月にいちど注文をすることになっている
私は主に スタンダードな「白の眠り」を注文する
けれどいつもおなじ眠りというのも
あじけない気がするので
やはりスタンダードな ....
つるべ落としの夕暮れが
立ち尽くす人の上を
群青に染め上げていく
笑ったような月が
ヴィーナスを従えて
ゆっくりと
空にかかる
そして
青白い光が
窓辺で
謳っ ....
自殺を考えたことがあります
いいえ、「考えた」のではなくって、「しようとした」と言ったほうがいいのかな
毎晩電話をかけてくる女の子がいまして、タイプじゃなかったんですけど、
いろいろお話するうち ....
僕のお母さんからは ロケットが出るんだ
小さい頃 そう歌ってた記憶がよみがえって来たんだ
作詞も 作曲も 全部僕で
ずっとずっと、歌ってた気がする
僕のお母さんからは ロケットが出 ....
君は寝た振りが得意
わかっていてもウッカリ騙され
今朝もゴミ捨ては僕の役目
君は大人だから
分をわきまえているよね
僕はと言えば歳はくっても
燃える恋と燃えない恋の分別さえ
未だ ....
{引用=音も無く 少し時雨れた 夕間暮れ
秋桜 ゆらり
かしいで ゆらり
涙の雫を 集めます
波間の 初音に 合わせ逢い
天女の羽衣 筋雲と
見 ....
{引用=
自分が自分であることに
儚い戸惑いを隠せないのなら
あなたは泣いていい
存分に泣け
其処には
散々に舞う桜の花弁のように泣く理由が在る
自分が自分であることに
未来を確立 ....
空いている電車に乗り 席に座る
駅に停まり 駅を通過し
また駅を通過し 駅に停まり
車内は次第に混んでくるが
他の席はどんどん埋まってゆくが
私の隣はいつまでも空いたまま
誰も座ろうとはし ....
あなたとだから
おんなのこどうし
わたしたちの休日
オンナでいるのも楽しいけど
あなたといると
片思いが趣味だったころの
おんなのこ
に戻りたくなる
ガーベラはピンク
ケーキ ....
あなたの燃える手で
わたしをだきしめて
それはとんでもない
誤訳だったらしい
でもわたしはこころをうたれた
たとえひとごろしのうたでも
たとえぬすびとのうたでも
たとえうらぎりも ....
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