雨の匂いがする
埃っぽい陽射しの名残りを弔って
闇に隠れ
秘密裏に行われる洗礼は
いつしか
もっと内側まで注がれるはず、
そんなことを
どこか信じている
陰音階の音だけ降らせ
目に見 ....
写真にうつっている僕は

満面の笑みでカメラを見つめていた

でもそれは過去の遺物

その写真にライターで火をつけて

灰皿になげすてる

今なら言えることは

昨日は言えなか ....
服部剛氏の第二詩集となる『Familia』を開くと、そこには温かな潮流が静かに流れていた。

服部剛という詩人は日常の何気ない風景の中から、その温かな視線で拾いあげてくるアングルが、
マザーテレ ....
帰ろうかな
そう思った
一瞬を幾度か
ちらして!

5月
空は氷を溶かした青で
お花のジェット
バウンド・フォー・トーキョー
千歳の上空から苫小牧
育った家を見下ろした

掘り ....
音楽は止まない
それは
人々の指先から溢れるものであることを
私/あるいは、あなたが
知っているからだ

そうして
その熱に触れる度
私/あなたは
それが
ありふれてい ....
退廃的に胸は動いて
物語に首を絞められる

どこにもない物語の
粘膜が私をのんで
溶かそうとするから

       (まだ見たいものがあるのか)

つまらない人間として咲いている
 ....
人の耳にはピチピチなんて
明るい音ではねる鰯の水揚げ


にぎわう港から鰯そのものへ視線をうつせば
全身でわななく声が 流線形のまま突き刺さる


何万もの銀の鱗が震えている

 ....
苦しいのか
悲しいのか
悔しいのか
嬉しいのか
いや全部だ
この涙は
今まで流した涙のなかでも最高級の涙
流すのも拭くのももったいない
ケースに入れて保管しておきたい涙
あの人には絶 ....
スライドする
月が笑う
夜の窓辺

憂鬱を孕んだ
胸が冷える鼻先

わたしはわたしの行方を
ポケットに押し込んだまま

吸い込まれる
終電の渦

たった1mgの錠剤で
繋ぎ ....
電話のあなたの声がしゅるしゅるとしぼんでゆく
タイムリミットは15分

「ウルトラマンのカラータイマーみたいね」

3分の5倍あると思っても
沈んでいくあなたを掬いあげられないまま
電話 ....
そらまめ そらまめ


ぎゅっと つまってる 大地のちから

ぎゅぎゅっと つまってる パパの汗

ぎゅうぎゅう つまってる ママの愛

ぎゅうっと  ....
太陽という名を持つその花は
光の輪郭を持っていて
「笑って」
と、ほほえみかけてくるのです

大切なものを失って
すべてを噛み殺して
悲しみよりも深くたたずむその人の
かすかな ....
 
  
愛という字を
上手に書けないまま
この年齢になってしまった

心が大きくはみ出したり
小さく遠慮して
収まってしまったり

愛という字は難しい

昨日久しぶりに電話し ....
片付けすら
進んでいない最後の夜
チキンラーメン
食い尽くし
財布の中身
使い果たし

片付けすら
進んでいない最後の夜
最後の孤独を思い返す
雨が降って
外にも出れず
盗まれ ....
人生の軽さを言いながら人生の重みを感じさ
せる。
   そんな境地に僕もいつか辿り着けるの
だろうか。
     ノイズとスクラッチとギターとピ
アノと正弦波とドラムとベースとライムのよ
 ....
ぐるぐる回る寿司たちを眺めて思う
こいつらは俺たちと一緒だ
見た目はさまざまだが ネタを取ってみればみんな同じだ
シャリにわさびが乗っかっている みんな同じだ
ぐるぐる回る黄緑のライン つまり ....
上澄みをそっとすくう
余分なものはなく
柔らかくしなやかで
手のひらからさらさらとこぼれる

太陽の光で酸素を作り
葉は濃緑を強める
表面の細い産毛には
小さな雫が張り付いている

 ....
金色をつかもうとして
手足をばたつかせていたら
きみはぽつり
ゆきがふってるよ、
と言った

確かに頬には雫があって
ほてった身体を冷やしていく
雪が降っているのは恐らく
ずっと奥の ....
野良猫を叱るために
名前をつけた
せっかく咲いた花の匂いを
ふるびたさかなの骨で
台無しにしたからね
眠れるはずの夜は
色が薄くて
もう愛想が尽きた
昨日歩いた川べりで
 ....
電車はもう乗り終えた
飴の袋もからっぽ
歩き出す
足元の道はごつごつしている
日の光は花や木にばかり当たっている
ような気がする
水が飲みたい
と思った矢先に
湧き水の立て札
山深く ....
眩しいと思って見上げると
それぞれの吐き出す息が
ただよっているのだった。
たまったものを
ためられたものを
いっせいに解き放ちながら歩いている、と
どれが誰の息であったのか
わからなく ....
{引用=嬰子の褥


闇のひとつ奥に蠢動する白光体がたしかにあった
血に焼かれた嬰子が視えない手のひらに止まって
私の身体に続いている
いやへその緒はぜんまい状に闇に溶けて
それはもうわ ....
人生は旅だ
旅のようなもの、ではない
人生は、間違いなく、旅だ
私たちが生まれるまえ、じぶんで買った旅なのだ


そのイメージはこうだ
私たちは生まれるまえ、お金を貯めに貯めた
そのお ....
風のにおいが愛の記憶を
ふいにくすぐる
手探りみたいにひろい夜を
小さなサーチライトひとつで
それぞれ欠けた月 
甘く噛み砕いて
帰れない二人を残し
だんだん溶け出していく
星と街のと ....
どうでもいいことばかりに躓きたくなる
そういう趣味ではないのだ
「そんなもんだろう」と飲み込んでみせる

あなたを見ている人が、どれ程いるだろう
疲れ果てて掘った穴よりも空は深いというのに
 ....
 
 
海の匂いがする
わたしが産まれてきた
昔の日のように

テレビの画面には
男のものとも女のものともわからない
軟らかな性器が映し出され
母は台所の方で
ピチャピチャと
夕 ....
予報どおりに
夜半から雨
街灯に照らされた水滴の連なりは、
白く
夜の一部をかたちにしてみせる
舗道の片隅ムスカリは
秘密を蓄え
雨に味方する
さわ、わ
さわさわ風に
雨糸揺れて
 ....
 
 
水に触れると
懐かしくて
飛び込みたくなるけれど
息が出来ないから
死んでしまったあの人や
まだ生まれていないその人は
水の向こうにいるのだろう

何度も水に触れると
く ....
 
 
Re:プラネット・ホームにて
 地球に宇宙が墜ちて来た
 次世代の呼吸の仕方を思考して
 マリービスケットをかじろう
 私はあなたの二酸化炭素
 緑葉体を頂戴よ
 
 宇宙一 ....
冷んやりした部屋の
窓際に椅子を置いて座る

裸電球に照らされた
オレンジ色の壁に
魚の形の滲みが付いている

じっと見つめていると
風が梢を揺らす音に混じって
足音が聴こえてき ....
服部 剛さんのおすすめリスト(3168)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
雨音- 銀猫自由詩23*09-5-28
過去の遺物- こめ自由詩1609-5-28
服部_剛第二詩集『Famila』- 渡 ひろ ...散文(批評 ...7*09-5-27
千歳の空から花々を- たちばな ...自由詩22*09-5-26
チューインガム- 山中 烏 ...自由詩3*09-5-24
目を閉じる- 木葉 揺自由詩2*09-5-23
さかなの目- 夏嶋 真 ...自由詩15*09-5-19
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愛という字- 小川 葉自由詩809-5-6
サヨナラ国分寺- 北村 守 ...自由詩8*09-5-6
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上澄み論- あ。自由詩20*09-5-5
金色の蝶- あ。自由詩12*09-5-3
しかられて- 銀猫自由詩17*09-5-1
- ふるる自由詩31*09-5-1
眩しいため息- 岡部淳太 ...自由詩8*09-4-30
「嬰子の褥」返詩_胎児のわたしから母へ- 夏嶋 真 ...自由詩30+*09-4-28
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風ひとつ- フミタケ自由詩11*09-4-26
someone- 霜天自由詩109-4-25
誕生日- たもつ自由詩909-4-25
雨の日のおるすばん- 銀猫自由詩12*09-4-25
水に触れる- 小川 葉自由詩9*09-4-22
宇宙の魚- ゆるこ自由詩609-4-6
潮騒- 壮佑自由詩31*09-4-5

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