{引用=
きみがとなりにいて、まつげの
触れるくらいとなりにいて それは
おどろくほど退屈で いとおしい
午後で}
きのう、オジギソウが発芽して
日記にそのことは書かなかっ ....
詩において、「死」とはいかなるものなのだろうか。あるいは「生」は?
視聴者を引きつける手段としての「死への恐怖」「死んだらこうなる」というものは、メディアに数多くあり、利用されている。ドラマを盛り上 ....
切なさにほだされて
歩けなくなる夜
誰かの幸せを唐突に願ってしまう
たくさんのなぜは消化されるはずもなく
刻々と恨みへと姿を変える
私はたくさんの夢を抱えて
たくさんの愛を抱えて
たくさ ....
もうすぐ
九百九十九年になります
その頃には
ひまわりも咲いているでしょう
絶望から生き残った
藁のような人びとが
ゆらゆらとゆれているでしょう
咲いてしまうことに
罪はなくて
咲い ....
「歪んだ世界」なんて言うけれど
この街は この国は この星は
一体いつから歪んでいるんだ
例えばこの「美しい国」ならば
戦後以降か 明治維新の頃からか
それとも織田信長の登場以来か
更 ....
ふりかけるのか ふりかけないのか
お前はご飯の上でふりかけを振りかざして迷っている
頭の中じゃ花びらちぎって物事決める乙女になっている
お前は乙女座かもしれないけど間違いなく野郎だぞ
ふりかけ ....
風吹きすさぶ
いちめんたんぼ
古代からつづく広い空
一匹の虫は泳いでいる
とつぜんに
ふしぜんに
屹立し現れる
高層ビルの群れ
一匹の生物すら寄せつけぬ
冷たい石でかためられ ....
1
ひかりは、不思議な佇まいをしている。
向かい合うと、わたしを拒絶して、
鮮血のにおいを焚いて、
茨のような白い闇にいざなう。
反対に、背を向ければ、向けるほど、
やわ ....
街灯に蛾が群れている
明滅する明かり
雲がさあっと横に分かれて
月が顔を出した
誰もいない
蛾がひっそり群れている
角からぽーんと勢いよく
何かが飛び出した
赤いビニー ....
モデル崩れで夢遊病持ちのレイナは
月も眠りについた真夏の夜に
四角い空に星を張り付けて回っている
いつか自分も星になれると信じていたけれど
最近は慎ましい結婚に憧れたりもする
プロボクサ ....
遠雷が止み
雨の最初の一滴が落ちるまでの
僅かな静寂に
こころ、ふと無になり
空の灰色を吸い込む
程なく落ち始めた雨粒に
再びこころには
水の班模様が出来て
潤う、のでなく
惑う ....
胸の中の灰色の重たるい空に
気怠く浮かぶとりどりの飴玉のような
飛行船の数を数える
数えたそばから何度でも忘れるために
祖父は戦争で韓国から強制徴用され
月も眠る夜に専制君主の目を盗み
田舎の山奥の炭鉱を逃げ出した
今は亡き祖父の苦労は想像することも出来ないが
ある頃に祖国の弟にトラクターを贈ったらしい
....
曇った空の中で
光を探したけれど
どこにも見当たらず
心の中までもが
曇り始める
花も下を向き
自分もどこなくうなだれる
アスファルトの道が重い
自分が重いのかもしれない
進む道は常 ....
ブルース聴かせて
友達がそう言ったのはいつだったろう
その夜に僕たちは並んで写真を撮った
この町を出ていくと聞いてから
僕は戸棚を漁って古いアルバムを捜しているのだが
少し ....
ポイントは、スロウ
誰かが間違ったとか、テレビが吐き出しているけれど
それが本当かどうかなんて誰にも、分からなくて
無駄なものを省いてきた、そんなつもりの生き方だけれど
結局何も捨て切れて ....
一人暮らしの アパートに
大きな箱が とどいたよ
野菜 果物 地場産品
お米 お茶っ葉 お手紙と
意味不明なる ふるさとの
町の指定ゴミ袋
でも なによりも うれしいは
....
いい子ねえ、って
大人からいつも
あたまをなでられていたから
ぼくはおおきくなれなかったんだ
と、いって
そらちゃんは笑う
海のみえるブランコが
そらちゃんのなき ....
その本には
わずかな言葉しか
書かれていない
けれども
見えない言葉が見えてくる
それは
未来への希望であり
人生への疲れでもあり
恋する人への思いでもある
同時にそれは
読む人が ....
風景の細胞を
ピンセットでつまんでいく
ひとつずつ
はつかねずみの
白さの雲
実験された
はつかねずみの
電動ではない
ツバメ
電動ではないのに
背中にスイッチ
オン/オ ....
空の青を一枚剥がしてみた
それでもまだ空は青かった
私は意地になってもう一枚剥がし
そして何枚も何枚も剥がした
そこには青い瞳をした少女がいて
私の嘘を全て映し出していた
....
ここはどこかとおもう
そしてすぐに
ここは大地だとおもった
風がふいて
雨がふって
鳥がないて
いきて
いる
奏でる というようなものではない
どこからともなく湧 ....
数多くいる詩人たちの中で、八木重吉ほど語りづらいと感じる詩人はそういない。何故だろうか。私だけの感じ方であるのかもしれないが、そんなふうに感じてしまう。おそらくそのあまりにも無防備すぎると思えるほど ....
清算されない過去で
腐敗し始めた小指に
果物ナイフを突き立てて
基節骨の深い処に疵を入れる
白旗の揚げ方を知らないから
傷口を舐めた舌は赤く染まり
飼い慣らされて
飛び方も
....
車窓の視界が
きらめく波でいっぱいになり
埠頭を渡る風の翼が
一瞬、かたちとなって見えた午後
岸壁の釣り人は
ただ垂れた糸の先と
深さの知れぬ水底近くを
くろい海水に遮られながら見つ ....
手を赤く染める雨を一粒。
摘んで捕まえた。
つぶしてしまわないようにそうっと。
空に泳ぐ寸前の雫の形のまま。
目の前にぶら下げる。
「こんにちは」
(こ ....
君と
ほくろの数を数えあった
自分の知らないほくろが
背中に5個もあった
ただそれだけで
背中に重みを感じた
単純な話
そんな些細なことを教えてくれた君を ....
野良犬を見かけなくなって寂しいだとか
犬の糞を踏まなくなって嬉しいだとか
駅前の駐輪場はどこも整備されてきて
雪崩れを起こして倒れなくなったなとか
そんなことにふと気付くことがある
数年前の ....
春の海はやわらかい
海と空との
地平線は線ではなく
ぼんやりとしている
春の空はやさしい
山と空との
地平線は線ではなく
崩れた帯のよう
近くで波の音がする
何度も繰り返すも ....
ベストオブにんじん色に選ばれた
「おめでとうございます!!!
あなたは、ベストオブにんじん色に選ばれました!!!」
という電話がかかってきたから間違いはない
学校へ行くと友達が
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106