*ひめさまへ*
かおる



たった一言の失言のせいで
創りあげたい美しい国の
議会はまた空転を続けている

かつての集団就職の金の卵たちが
機械化の波に押され
三高神話に駆逐され
猫もしゃくしも
大学と言う肩書きを欲し
お受験は胎教まで遡っていく

建前ばかりが大手を振って
還るべき巣作りよりも
今日の糧にあくせくするばかりで
疲弊してしまった機械が
その機能を使う以前に壊れてしまう

人は今の地球の一員であるはずで
地球と言うパズルの
欠けちゃ困るたったひとつのピース

子孫に託す努力を怠ると
絶滅危惧種に認定されるまで後ちょっとかも

するとあの失言は目を背けちゃだめな
ほんとうのことなのかもしれない

無邪気な子供のように
どうして耳の聴こえない人を
三文字で呼んじゃいけないのか
差別用語だからと無理矢理納得させられても
不便だなと思いがあってうまく頷けない

試験管ベビーが当たり前になっても
呼吸する以前はみんなをんなの肚の中だった

神の領域に踏み込み
子宮に変わる装置を発明するマッドサイエンティストも
そこまで科学が担わなくちゃならない程
破壊されていない、
まだ大丈夫な現実を置いてきぼりにして

産まない選択、生めない現実
生まれて来ない未来がまたひとつ

揚げ足取りの失言ゲームに汲々としていると
機械に明け渡さなくちゃいけない未来は遠くない

子供を育てたいと思えるあしたを
どうぞ、手放さないでください


自由詩 *ひめさまへ* Copyright かおる 2007-02-04 09:40:57
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