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わたしの、隙だらけの皮膚を突き抜けて
メタセコイアが生えている
臓器はいつしか記憶を失くし
葉脈を血液だけがめぐりつづけいる



あまりにむごい手つきで
世界が わたしを愛してや ....
まだ名づけられていない、
連続する瞬間で構成された時間を
拾い集めつづけても 
綴じるためのすべを、忘れてしまった



わたしたちは、かわるがわるに
世界を四角く切り取ったり
はが ....
気づいたときには、わたしが
わたしという輪郭に 縫いしろを足して
日常から切りとられていた
景色はいつも、ひどく透明なので
ふりかえっても もう
戻るべき箇所を、確かめることができない ....
わたしの棲む場所を流れる川に
水はない

誰かが
橋の上から捨てた言葉を
灰色のさかながついばんでいる


     *


夏の暑い日、わたしは
忘れてしまいたい過去の過ちと ....
枝分かれしていく 夜の
長く、しなやかな腕は
わたしを覆いながら それぞれ
しだいにたわんで その先端からやがて
着地し、朝に触れる



不必要なほどに震える あなたの
声と、指先 ....
現在という塊の中から
わたしの輪郭だけを残して、わたしが
蒸発していく
夕暮れの空は赤く発光し、届かない高さで
じっとして居る
いったい、わたしは何に忘れられたのだろう



浮遊す ....
晩夏の草むらに足を踏み入れると
かわいた空気がひび割れて
よれた、真っ白いシーツが敷かれ
見たことのない男が横たわっている
あばらの上には、何本もの{ルビ径=みち}があり
そのどれもが、わた ....
朝、ぼくの季節は二十五歳で
ざらざらとした空を
東から西へ
たとえそれが夢だとしても
渡って、どんなにボタンを押しても押しても/押しても
改行できないでいます



ぼくが、ベーコン ....
さよなら、さよなら、


記憶を解き放って 
遠ざかる夏の
四角く切り取られた 空


枠からはみだした場所では
かなしみによく似た顔の
ぼくたちが
今も、酸欠になっている

 ....
海岸線沿って定規で空を引く色鉛筆で画け得ぬ青




深く深い場所まで熱せられていくオーバーヒート前の打ち水




おしなべて心を乱す約束と雲の行方をだれも知らない

 ....
放出された 夏の、
取り扱いをあやまった空から
束ねられた雨が落下する
世界はまだ、はっきりとした輪郭を持っていて
ぼくも きみも それを知らない 


ウィリー、ウィリー、
なぎ倒さ ....
夜が、二足歩行で
足早に通り過ぎていく音を
淡い錯覚にくるまりながら、聴いていた
抱きしめあう行為は どこか
呼吸と似ていて、ときどき
わたしたちは声を漏らす
ともすれば ....
{引用=
きみがとなりにいて、まつげの
触れるくらいとなりにいて それは
おどろくほど退屈で いとおしい
午後で}




きのう、オジギソウが発芽して
日記にそのことは書かなかっ ....
ぼくがまだ見つけない 明日の
呼吸の波は、かぎりなく無音で
おしよせては、
皮膚のあいだに刻まれた旋律を
からめとりながら
引いていく


奥深い場所で対流する
なまぬるい記憶、ある ....
{引用=くりかえされる、すべてのいのちと
いとおしきわたしの二人称たちに}


わたしがあなたを産んだそのとき
それとまったく同時に
あなたがわたしを産んだのです
この、配線だらけの街の ....
水を、欲している
のどの ずっと奥のほうで
さかなが泳いでいる



季節が融けはじめていることに
気づいたときには もう
わたしのなかの海は 浄化され
沈殿していた過去があふれ出て ....
水深5キロメートルの恋に落ち プールサイドで墜落する午後




砂浜の午睡からうつら目を覚まし すいかの縞の波に溺れる




ピーラーで削がれ半裸になりしきみ 水にさらせば ....
彼方からの気流にのって 届いたそれを
あのひとは
夏だと言った



わたしにとって
わたしの知らない、どこか
遠い場所で あのひとが
笑ったり、泣いたり、しているということは
あ ....
   
{引用=  あのひとの記憶がしずむ海は、いつしか防砂林で見えなくなった
  越えられない高さに、すこし安心した}   





砂が、降って
深く深く沈んで 底まで
皮膚 ....
筆先で湛えきれず
液体が
ぽたり、ぽたり、と
滴るので
両の掌をくぼませて、ふくらみをつくり
上向きに 
すこしかさねて
それをすくおうとしてみるけれど
わずかな隙間を
液体はすりぬ ....
透きとおる真昼に
日常が、消えていく
八月に買った青いびいどろは
もう割れた



観覧車に乗りたいと言ったのは
あのひとのほうだった
てっぺんに着いても
世界はちっとも見えなくて ....
送電線の下をくぐって
アスファルトの海を
ぼくたちは、
泳いで、


はりめぐらされる
緯度や経度に
足をとられながらも
ひたむきに
日帰りの旅をくりかえす
ねむる前、ときどき
 ....
規則的に並んだ 長方形の、
石の上に横たわる
やわらかな、暗室
腕をまっすぐ 前に伸ばして
星座の距離をはかる
おや指とひとさし指で足りるほどの
遠さで
わたしを見下ろしている


 ....
満水の夜に
感覚をとぎすませながら
無数の魚が泳いでいる
距離と、位置と、
上昇する体温と、
そういうものを
止めてしまわないように


蛇口に口をつけて
あふれ出すカルキを吸うと ....
輪郭だけをのこしたまま
あのひとがいなくなってしまったので
いつまでもわたしは
ひとりと半分のからだで過ごしている


明かりの消えた部屋で ひとり
アルコールランプに、火を点ける
ゆ ....
わたしは、ほんとうは楽譜なのです
と 告げたなら
音を鳴らしてくれるでしょうか
指をつまびいて
すこしだけ耳をすましてくれるでしょうか
それとも声で
わたしを世界へと放ってくれるでしょうか ....
秒針がふるえて
ぼくは ただ
青くなってゆくばかりだ


深みが光を吸収し
かわりに
無数の粒子が
まとわりつく


探してた言葉は
どこにも見えず
たえなまく


 ....
あなたは ときどき
ふれあうほど 近くにいながら
私を ひどく孤独にさせる

ふたりでいても 
ひとりぼっちね

「恋」というものを
最小限に こまぎれにしたなら

私たちの 恋の ....
マングローブの森で
きみと 二人きり

光が射す方へ
手をのばしてみたけど
堂々巡りの 僕たち

むしろ
袋小路ならあきらめもつくのに

もう 僕は
迷ったりしても いいんだ
 ....
興味なさ気に
あいづちをうっているけど

僕は じつのところ

キミが
公園の桜のつぼみが
今、どのくらいの大きさで
今、どのくらい開いているかってことを
事細かに 教えてくれるのを ....
前田ふむふむさんの望月 ゆきさんおすすめリスト(32)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
未完の、ソネット_「隠家(あじと)」- 望月 ゆ ...自由詩8*09-7-1
未完の、ソネット_「遺」- 望月 ゆ ...自由詩17*09-1-29
運針の、記憶- 望月 ゆ ...自由詩42*08-7-28
水の空席- 望月 ゆ ...自由詩49*08-5-13
かさなりつづける、朝に- 望月 ゆ ...自由詩40*07-11-28
輪郭、その曖昧な、- 望月 ゆ ...自由詩33*07-10-22
径(みち)- 望月 ゆ ...自由詩20*07-10-17
拝啓、君は元気ですか?- 望月 ゆ ...自由詩20*07-10-11
やさしみ- 望月 ゆ ...自由詩42*07-8-27
凪いでいく、夏の、- 望月 ゆ ...短歌26*07-8-11
ウィリー、ウィリー、きみの名は、- 望月 ゆ ...自由詩44*07-7-14
リスク、- 望月 ゆ ...自由詩61*07-7-9
そんなふうにして過ぎていく- 望月 ゆ ...自由詩56*07-5-25
耳の産声- 望月 ゆ ...自由詩29*07-4-18
流転する、すべての- 望月 ゆ ...自由詩39*07-4-10
回遊、わたしのなかの、- 望月 ゆ ...自由詩58*07-4-4
【短歌祭参加作品】半透明の夏- 望月 ゆ ...短歌29*06-7-25
透けていく、夏- 望月 ゆ ...自由詩42*06-7-13
不感症の夜に- 望月 ゆ ...自由詩63+*06-5-17
水墨夜- 望月 ゆ ...自由詩50*06-4-14
八月の、リフレイン- 望月 ゆ ...自由詩38*06-2-24
ブレス- 望月 ゆ ...自由詩55*06-2-4
仰ぐ、空の視界で- 望月 ゆ ...自由詩1406-2-2
夜明けの水位- 望月 ゆ ...自由詩57*05-12-10
透明な宿題- 望月 ゆ ...自由詩65+*05-8-20
アンダンテ- 望月 ゆ ...自由詩53*05-6-19
ブルーホール- 望月 ゆ ...自由詩5*04-6-17
最終章- 望月 ゆ ...自由詩3*04-4-3
マングローブの森- 望月 ゆ ...自由詩4*04-4-2
じつのところ- 望月 ゆ ...自由詩4*04-4-2

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