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雨ですねぇ
雨ですねぇ
夜中にふる雨は
なぜか
さわがしくてしずか
布団の中で
ほくほくときいているのに
冬の雨は
身にしみて
つめたあい音がす
る
ぽと ほと と ....
太陽を盗んで、
穴に落ちて、
暗闇で、
空っぽで、
誰もいなくて、
誰もがなくて、
誰も待ってなくて、
遠くで、待って、くれなくて、
悲しくて、
苦しくて、
....
前足に触れたら
さっとひいた
白いお前
おびえているのか
さびしいのか
煙草臭いからか
鉄が飛び交うさなか
寝そべったお前は
生温かい塊
押し当てた手に
安心が芽生える
だがお前 ....
空から落ちてくる
やさしいものたちへ
こうしていると
鮮やかに蘇るのは、きっと
傘を忘れ
唇を噛んで
トボトボ歩いた幼い日
胸を弾ませ
両手をかざして
友と駆けた青春の日 ....
空を泳ぐ 羊の群れ
青を連れ去って
どこまでいくの?
え?
あぁ 夏までいくの
同じになったためしがない
あなたを
追いかけて
私は走る
不等号の
その向きに
あなたを追って
ボク
ボクは、僕といわない。
それは、シモベとよむから。
一羽の蝶が飛んでるよ
あなたとわたし
わたしは、あなたから生れた。
そして、母も父も
わたしにはいない ....
しらない をおいかけたら
からかうように空をすべった
梅雨のあいまの明るい風に
しらない しらないと
はしって逃げた
いつだって
しらない は遠く
つかめそうな距離でも
生卵のよう ....
砕けた背骨など
切り裂けた肉体など
コルセットで締め上げて
美しく着飾れば
微笑むのは容易い
私は、強い女
人々の喝采も
百万本の薔薇も
救えぬ魂
あなただけ ....
道の途中
その曲り角の 節目ごとに
石を埋める
浅く
また深く
土を掘って
掘り出されることを予期せずに
宝石のように
ただの石を地に埋める
その上に霜が降りる
あるいは雨が降 ....
歌舞伎町のプロントで
わたしは人を待っていた
雨が降っていた
隣に一人の男が座っていた
男は真っ青な顔をして
口をつぐんでいた
嫌だなあこいつ吐くんじゃないか
ふとそう思った
湿り気を ....
どのくらいの広さで降っている雨なのか
心は探りに行く
夜に出てゆく
けれど心は気持ちでしかないので
体の外のことは何も感じられない
雨の立てる匂いの遠さと近さ
水の滞空時間
....
夏の情熱の裏側に
すらっと伸びた少年少女の
腕がつかみそこねた{ルビ目差=まなざし}を
冷たく崩れてゆく陽炎
囚われた脈動は
透けていく意識となって
{ルビ中性花=ちゅうせいか}の宙吊 ....
たおれるって
あきらめることでは なくて
おきあがれない こと
かよわなくなった こころ
暗く 憎しみばかりつのる時
灯は しずかに 病みを照らして
今は 夜
ただ ....
わたし
椿の紅のビロウドのような
柔らかさに触れたくて
はなびらに少し
指先を這わせただけでした
椿は 紅を舞わせて地へと落ち
華の美しさを ....
もともと性に合わないんだ
優しくされるのも
穏やかになるのも
まんざらではなかったけれど
もともと性に合わないんだ
じっと見つめてごらん
鉄塔のもっと上
じっと聞 ....
音もなく飛んでいく飛行機見送りながら
君と二人、屋上で煙草吸った午後。
曇り空には一筋の飛行機雲さえ残らず、
君の吐き出す煙だけが
ぼんやりとした一筋の軌跡を宙に描き、
それを眺めておれと君 ....
詩人は
小心者で繊細な癖して
意外とだらしない
ちらかった原稿用紙の上
飲みかけの缶ビール
吸殻だらけの灰皿
空の100円ライター
そして一冊の詩集
ボードレールの悪の華
詩人は ....
誰もいなくなったプラネタリウムの
暗いドームの下
まるで其処が聖堂ででもあるかのように
ひざまづいて祈る影がある
何を何故祈るのか
誰にも知られることなく
ひとりきり目を閉じて
長い ....
子供が砂場に大きな山を作っていた
僕はただそれを見ていた
砂の山は子供の背丈よりも高くなっているのに
子供は裾野を広げようとせず
ひたすら高く高く砂を積んでいった
あちこちから少しずつ砂が崩 ....
街中を歩いていて
誰が詩人か
ひと目で
わかるのだろか
詩人らしい格好
たとえば
ベレー帽とか
黒っぽい服装に
サングラス?
詩人は
多分貧乏
だろうから
ブランド品な ....
目を 吐き
草を 食べ
今生の 別れに今 抗うものがあれば
砂糖で できた林檎を
黒風呂敷で 包み
きびすを返そう
つかんだ者は やがて堕ち
つかまぬ者は 行ってさ ....
その日
生まれてくる
いのちのために
地球は
美しい嘘を吐き続ける
覚えていること
今日覚えていること
財布の整理をしたこと
アロエの葉っぱの伸びように驚いたこと
死ななかったこと
皿を割らなかったこと
急ぐことはないということ
いずれいろんなものが ....
誰もがみな
道の途中だった
そして誰もがみな
人に気づかれることなく歩いていた
人に見られていると
そう思うのはあさはかな傲慢であると
時の風が教えてくれた
深い
森の奥から道へ
わ ....
ほほ、
雨上りの風が、
ほほをなぜてゆく
にわか雨の詩人は、
詩を吐いてまっかっか
死んじゃった
時は八月六日、
つるをのばしたつぼみの花は
夜空のかすみをうらめしげ
ええ、こと ....
デート
お天気良好
あなたに会いたかったはずなのに
それは思い込みだったかな
わたしはご機嫌が斜め
こんなにつまらなくて
退屈で
イライラするのはなんでだろう
あなたが退屈と言うことで ....
男はふと時計を見た
まじまじと時計を見たことはなかったが
見れば見るほど
時計は自分に似ていた
あたりまえだ
男は時計なのだから
一方、時計はといえば
すでに着替えを終え
これから ....
ゆうらんせん に
ぼろぼろ つめあわされた
ちの かたまった
けあな が すっているのは
どすぐろい よだれ
くんしょう に にぎわう
きれいな まちに
ぺたり ぺた ....
壁の向こう側を
幻視する
真夜中の花火
身体は溶け出して
分解される
空中に映し出された
追憶の景色
クルクルと
鉄くずがまわると
小さく鳴り出す
不安定な ....
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