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わたしは、
あなたのたわし。
たぶん、
そうなの。
だって、
たわし以前の記憶が、
わたしにはないんですもの。
だから、
たわしはわたし。
わたし ....
ユメに住めば 眠り浅く
ユメを食べて 満たされず
咲いたところで ユメのなか
カリソメの陽を浴びて
水面に映る蒼白い ヌケガラ
そこかしこに扉はあって
それは
いろんなところにつながっている
何気ない会話の
ほんの小さなやりとりにも
そんな扉がひそんでいるから
いつでもどこでも
特別を感じられるんだ
....
私の中に
午前を飼っている
白い舟がいくつか
遠く漂う午前だ
華奢な草の葉がためらいがちに揺れ
吹く風のなかに
覚束なげな青さが
消えない午前だ
もう長いこと飼っている
だからも ....
中央改札を出たら
階段の手前にいくつかの柱がみえる
その陰にぼんやりと
いつも誰かが待っている
少女だったり、サラリーマンだったり
学生服だったり、主婦だったり
日替わりで、何かを ....
悲しいことがあるとトイレを詰まらせて、
水浸しにするあの子。
べたべたになってしまったわ。
だって、運動靴の踵を踏んで歩いているんだもん。
反則だわ。
それが涙の代わりだと気付いたの ....
形容詞が
見当たらない
生き物の震えは
魂だ
猫がないたら
魂だ
月が見えるとき
ただ見ている
それなのに
感じながら
ただ見ている時間は
魂だ
手紙が
届い ....
鍵が見つからないと云って
出かけたのは午後三時
アップルパイの甘さに
憂鬱を重ねて
シナモンの匂いが広がる
目に映るのは日常の風景なのに
空っぽになったあたしは
ただ
悲しかっ ....
その小さな身体には大きすぎる
僕の白いYシャツを着た君を見て
窓に浮かぶ思い出
ある日ならんで歩いた海岸で
せまってくる白線をとびこえては
水しぶきをあげてはしゃいでいた
....
彼女「私この映画好き」
彼氏「俺も」
彼女「私このスープ好き」
彼氏「俺も」
彼女「私こういう家好き」
彼氏「俺も」
彼女「・・・」
彼氏「・・・」
彼女「私あなた ....
僕は感じる君の気配を
弓なりの曲線は
甘い咳払いひとつ
それは涎のようでもあり
差し出した僕の人差指に乗り
鳥かごから出ようとする可愛い小鳥
胸一杯の期待感に
ひ弱な翼を震わせて ....
いくどめの夏の陽を
やわらかな肌に射し
花と笑い
鳥と歌う
口もとから
こぼれるものが
微笑みであるように
眼から
あふれるものが
光とな ....
火の粉は
陽の寝そべる雪原に降りそそぎ
炎に弾ける冬毛の音が
なにもない空を跳ねてゆく
うさぎは
しおれた耳の先を焦がす
遠い朝に添えられた指先を
食んでいた ....
うつむく おもてをしろくして
みだれ黒髪 風へすき
雨のくる のをそぞろまつ
かすみのころもを まとう月
かごとゆられて {ルビ何所=どこ}へやら
{引用=個 ....
嘘は下手
毎日の風景が輝いているので
胸がいっぱいで
食事は日に一度
それでも 落日のからだはやせもせず
うたなんかもうたっている
大空のもと突然 笑いだしたりして
なにが可笑しいの? ....
夕方は肌色
わたしは溶けて行く
空気が肌色になって行く
境界が見えなくなる
そして夜になって
影も形も無くなる
夜明けにそっと
顔を手でおおい
いかにも
不吉に笑う
今日の糧は
厳かに実っているけれど
何も言わず
ただぶらさがっているわけではない
しゅくしゅくと鳴る炊飯器
ひとつぶひと ....
盗んだ船で、
沖に出る。
今年の夏は、
もう終わるけれど。
今夜はらりほー。
朝まで無敵!。
右手にアルコール。
左手に紫煙。
頭のてっぺんまで、
....
「もも」のような人だった
夏の始まり
胃のあたりにひどい痛みを訴えて
青白くやつれていった
食べものの好みが変わって
「ガン」かもしれないと感じた
不意に 人生の何分の一かを失う と思った ....
梅雨が明ける
青空の隙間から熱い風が吹く
素足を焼けた砂に投げ出せば
背中や肩や胸元に焼きついた記憶と
砂塵とともに行方を知らせない記憶たちが
行き来する
だから
こうやってここで
生 ....
あしもとから吸い上げたあしたの記憶が
葉脈をつたって
四肢に達し
やがて、蒸発してゆく
芽生えを待つからだに
クロスする
光合成の日々
涸れているのは喉なんかじゃなく
わたしの ....
オモチャ箱には
彩り鮮やかなブロック
そのひとつひとつを
あちこちから眺めては
思うがままに積み上げる
時にはいびつな格好に積み上げては
夏の終わりを告げる土用波に
あっさり崩さ ....
しずかにたたずむ ひとは
風の流れる さやかな笑みを
薄紅色の肌ですいこみ
未練なく放熱し
終りをうちあけて
やわらかに傾いた
音色の日差しにつつまれ
緑は青青と奇声を発しながら
....
おかえりなさい、が あったのだよ
ひらけば其処に
おかえりなさい、が あったのだよ
そとから帰って
よごれた手も洗わずに
とってもとっても
温かかったのだよ
....
わたしのなかに
流れる川だ
あなたは
たちどまるな と
言いながら
あなたが
流れた
わたしには
方角などわからない
ただ
ここに立ち尽くす
だ ....
枕と扇風機と
鳩のなき声は
味方だった
働きはじめる冷蔵庫のうなりに
あんしんして目を閉じた
夏の朝はいつも
まぶたを透かす白
レースのカーテンが波立って
飲み込まれる
眠らなき ....
午前三時。
君はまだ喋ってる。
冷えたパスタを、
フォークで突っついて、
ぺちゃくちゃり。
ワインを、
手酌で注いで、
ごくり飲み干して、
ぺちゃくちゃ ....
あの子の持ってる実、とっても苦い。
だって、「寺田さんはガール度が足りない」ってため息ついてた。
リボンで縛ったらいいよ。
美味しいものはありふれていて、
三半規管が反応して、ゆらゆら ....
タマゴちゃんはちょーかわいい
僕は迷わずにゴマ粒でタマゴちゃんの顔を描いた
茹でたてのタマゴを丁寧にむいて
でもタマゴちゃんの目はもっともっと大きいし
いつもニコニコしていたんだよ
タマ ....
お父さんとお母さんが嘘つくから、
橋を渡ってしまったんです。
−指を切っても、吸ってくれる人がいないのよ。
ボロボロのドレスを脱ぎ捨てても、
髪を金色に染めても、
わたしの意志はそこ ....
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