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夜の更ける頃
君の身体から
今までに聞いたことの無いような
音が聞こえてきた
安らかに君は君の中で
溺れているのかもしれなかった
+
縄跳びの回数を
数え間違えて
少女はずっ ....
画用紙にピンクのクレヨンで描いていた。
好きな音がたくさん詰まっていた。
周りが全てキラキラして見えるから、
墨で塗りつぶした。
眩しすぎて、目が痛いんだもん。
もう、わたし一人でだって ....
冬の空に
オリオンが南中する頃
ベテルギウスは涙を零して
名前が呼ばれるのを待っている
冬の空の、暗い、
まるで何も存在しないかのように ....
しぃ、静かに
足音を消し
息を殺し
傘を持つ手が
微かに震える
雨音を丁寧に拾う
小雨に近いそれは
白いせせらぎになって
さわさわと
ざわめきたつ
煙草 ....
今より少し争いが多くて
自分から吹飛ぶ人とか
きれいな焼け野原とかが
少しだけ増えていた
そんな時代の話
ある日突然
とてつもなく大きな虹が
世界中の架け橋となり
....
ちぐはぐなまま
外より
ガラスばかりみて
自分の眼すら
写ってないんだ
だらしないと
陰で言われるよりも
だらり としている
時間が いらつく
なのに
しかけに ....
放課後の廊下を歩いていた
右手には教室が並んでいて
どこまでも続いて終らない
左手には中庭の木立が並んでいて
無数のヒグラシの鳴き声が
窓ガラス越しにじっとりと暑く
....
何時ものように口ずさんだ歌は
受けとめてくれるはずの
君の笑顔をすり抜け
秋の日の溜め息となる
少し言い過ぎたのかな
でも一度口にした言葉は
もう取り消せなくて
気まずい思いを残 ....
たぶん少し疲れたのだ、という理由で床に転がる。
ごつごつとした床が柔らかい耳を飲み込んでいく。
徐々に徐々にそれに慣れる頃‥。
時間はとうに何日か、を刻んでいた。
空調機の「ブーン」と唸る音を拾 ....
板壁に花の影が映っていた。
花は微かに揺れていた。
もうすぐ冬になり枯れてしまうから、
寂しくはないだろう。
古びた板壁も10年以内には崩れて無くなるだろう。
でも今はまだ花は咲いていて、影 ....
わたしの空より
青い青いその先に
あなたの見ている空がある
夏から二ヵ月毎のカレンダーを剥がして
こころの奥まで秋が染みた日
それぞれの手に触れる温もりは
少し哀しい距離感 ....
「 」
昨夜のあいさつは、耳からこぼれる雨のよう
に切なく潤い熟し、さららと色を空を映す欠
けては満ちる月の鏡。
お早う
もうこんな時間
そろそろ失礼します
耳に残 ....
今夜―、銀河は沸騰している
星雲は膨らみつづける
銀箔の輝きがゆれている
何光年も離れた向こう
完璧な真空の空間のうち
宇宙は決まって沈黙している
時には激しい爆発音もあるらしいが
....
あ、来た。
掴めちゃうんだ。
雲って本当は食べられちゃうんだ。
割り箸に刺しちゃう。
−あ、でも心優しい人だけね。
「空の色は本当はたっくさんあるの」に、
あの子、聞こえない振りし ....
薄暗い軒先で
植えてもいないのに咲いている
高貴とは程遠い
紫の嫌な匂いを放つ花を
じっと 見ていた
「毒に彩られた花やね。」と教えてくれた
少女の丸くかがんだ背中から
....
歩き疲れた素振りを見せず
意固地なくらい背筋を伸ばして
灯りの少ない舗道を歩けば
月の兎と靴音だけがついてくる
無感情に道程を辿り
行く手を遮る列車を見送ると
何故かしら
乗りそ ....
生足は季節のアンテナで
感じる微かな蠢きを捕らえては
白い小箱に忍ばせる
真夜中のブランコ
揺れる君のくるぶしは
季節はずれのアンクレット
楽しかったはずの映画も
楽しみだったはずの ....
一つ
二つ
数えながら歩いている
わらった わらった
影を数えている
花火の影が網膜にちらついているので
手をひいて二人で夜道を帰った。
消えいくものはすべて
かつて私 ....
太った男の人が
日向で陽の光を浴びて
まだ少しずつ
太っている
やがて坂道経由の犬がやって来て
すべてを食べてしまった
+
お座り、が得意な子でした
お手、もしたし
....
ビニールの中
息で
つっぱらせた
よつ足
窒息する前
吹き込んだものに
騙されて
かわされて
プシュー って
謎が とけても
ふくらんだ ほっぺに
....
視線をゆきます。
ひっそりとした
鋭角な色のない
告白にも似た存在の道
とぎすまされた意志の果てには重く輝く種子が宿る
涙で
洗われた深い瞳
そこに秘密を映す
答のない ....
インターホンが壊れてしまって
不在票ばかり、溜まってゆく
ドアをノックする手を
誰も持たない
再配達を
今日は頼んだから、
夕暮れにつづく時刻に
言い訳を抱えて
ドアの内側に寄 ....
家に帰ろうとすると思った
遠くで僕が降りたのよりも
もっともっとあとの電車が
レールを軋ませて走ってゆこうとする
街灯がひとつ明滅していて
長い桜並木の
もうすでに長く葉桜のままの道を僕は ....
おはよう
息が吸える
布団の中は温かい
私は生きている
深呼吸をする
窓を開けて 今日の太陽
私は
まだ生きています
父の写真に
新しい水
お父 ....
その向こうになにがある?
気になるから 行こうよ
一ミリ先の
世界を 見よう
北風も 雨も あるけれど
まるであなたの
唇のような色でした
10月
神様のいない月に
願い事は増える一方で困ります
去年きれいに咲いた
シクラメン
冬に灯りをともすようにして
春先まで ....
真夜中の
骨の色素が熱を帯びて
暗く
暗く蒸発してゆくのです
未だに守れぬ約束へと
恐ろしく白い
わたしの骨は
いったい何を支えている
夢か幻か否現実か
未来は己で決める
....
目に見えない時を読めるようになったのは
あのひとと次の約束をするためだった
等間隔にきざまれた目もりを
瞬間の目印にして
大きな流れの中でも
わたしたちがまた、手をとりあえるよう ....
暗闇に咲く白い花は風に散り {ルビ蝶=ちょう}の羽となり
ゆるやかに宙を舞い
残された葉の一枚も一本の細い茎を離れ
ひらひらと
豪雨の過ぎた激しい川の流れに飲み込まれて ....
木がねむると
木のなかに
ほんとうの木がうまれて
風にふれようとする
風がねむると
風のなかに
ほんとうの風がうまれて
空にとどこうとする
空がねむると
空のなかに
ほんと ....
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