すべてのおすすめ
それは総ての男を魅了する
総ての芸術家を虜にする
それは瑞々しい果実のようであり
たおやかな母の抱擁をも予感させる
それはあまりにも眩しい
陽に焼けたまろやかな曲線は
誇ら ....
胸の奥につないだ
遠い思い出の時間は
時折
甘美なひとときを
わたしの中に
もたらしてくれるけれど
つなぎめが
とても痛くて
ささえきれなくて
今にも
ぷつんとちぎれて
....
今日という日は二度と来ない
あなたと会うとき
いつも思ってた
繋いだ手のぬくもりも
あなたの微笑みも
まったく同じじゃなかった
四角い小さな窓から
最 ....
大潮の夜に
ふたり酔って
ふらふらと歩きながら
月を見れば
俺は笑う月と、
あなたは兎の耳と、
反比例の相関を示し
提示した相関係数マイナスRの
数値が0コンマいくつになるか
....
泡立つ球体を、
一息に飲み干して。
どろーむ。
どろーむ。
しんどろーむ。
ぴーたーぱんは、
三時に食べた。
....
僕らが歩き出す衝動は
希望なのかもしれない
その過程でいくつかの
意味のようなものを口に含むけれど
次々と廃棄しなければならない
進めば進むほど薄くなるものを感じながら
やがて一番 ....
春の色よ
飛び出すのは今だ
それは、今だと叫んでいる
春の景色よ
きみはやさしさに包まれる
そよ風にのって
きみの命は、はばたき ....
一篇の詩に洗われて生まれてきた
風のかおりにつつまれて
身をさらし風化して
たわむれの声を聞く
{ルビ盲=めしい}た愛を引きずって
無欲な耳は
{ルビ戯=そばえ}を咀しゃくする
....
ひよこひょこひょこかえるのこ
けろけろわらう おじょうさん
さんごぷくぷくうみにさき
さきみだれるわ さくらのら
すいかだった。
真っ二つに割られたすいかが、
テーブルの上に、
どでんと置かれている。
どこを見回しても、
スプーンがない。
仕方がないので、
そのま ....
あたらしい朝がきた
希望の朝だ
夏休み3日目
寝ぼけた目をこすりながら
ラジオ体操
喜びに胸をひらけ
大空あおげ
「おはようごさ ....
反すうする
ある種の
草食動物は
記憶をいつも
もぐもぐ やってる
本人は
けっこう やめたいのだが
回りからは
案外
幸せに見えるらしい
あく ....
輪郭だけをのこしたまま
あのひとがいなくなってしまったので
いつまでもわたしは
ひとりと半分のからだで過ごしている
明かりの消えた部屋で ひとり
アルコールランプに、火を点ける
ゆ ....
君は知っている
自らの命のはかなさを
自らの行く末を
生後僅か百八十余日の命
それでいて綺麗好きな君は
けなげに身の回りを整えている
与えられた僅かな命のために餌を食む
....
だらだらと
ソフトクリームが垂れるみたいに
だらだらと夏
この一日を生きていて
気持ちいい
後悔と偽悪の間に
うすく蝉が鳴いて
昼間になると
うすい雲が空を
覆う
ぐずぐず ....
舞い上がる大空に
白い紙吹雪
あなたからの最後の手紙
異国へ旅立った
あなたを
辛くても
見送った
いくら待っても
あなたは
ずっと
....
三月から
止まったままの針さきを
ゆっくりとまわして合わせた
雨の朝に目を覚ませば
あなたは
まだ
白くあわたつ
菫のような朝
からだにおさまらない もじ
柔らかな葉が ....
夏の終わりには
風が囁くように傍らを通り過ぎ
蝶はラン・デ・ブのさなか
嘴に捕えられ
蜜はそのくちづけから
緩やかに零れて
太陽は輝きを彼方へと
少しずつずらしてゆく
真夜中の荒い息遣 ....
夜霧の向こうで、
待っている。
蝸牛。
にょきりと、
角を出してご挨拶。
こんにちは。
ゆるりゆるり、
糸を引き。
てらてらり、
雨水舐めてゆきま ....
クラッシュアイスが
しゃらしゃらと音立て
ストローとしばしの戯れ
タイムカードから解放された
一本目のタバコは息継ぎ
白い灰皿に
二本目の吸い殻を押しつけるころ ....
か細いわらの詩人が
明るい月の下
カバと話した
「僕の詩を読んでくれよ。
これが僕の他愛ないけれど、
たった一度の人生なんだ」
カバは当惑しながら読もうとするのだけれど
ちんぷん ....
うなじのあたりが
ピリッピリしている
神経痛かな
いや、それとも
いつものアイツ
アイツは時折姿を見せる
いや、肉眼では見えないのだけれど
幻覚でもない
ソイツは時も場所も問わ ....
過去からも未来からも見捨てられた記憶を
棚の何処にしまおうか迷って夢にする
どこからだろうと
どこまでだろうと
真っ青な背景で僕は君の夢を見る
それはしあわせで しあわせで しあ ....
あまがえる
あまがえる
こんな午後にはあまがえる
とろりとおひさま
くびすじからせなかまで膜をかぶって
どこにも行かれない午後
あまがえる
あまがえる
あまがえる
こんな午 ....
入眠の際が瞼の奥で細い光を放っている
生と死の曖昧な絆という楔を
今は、強引に断ち切って 眠りの森へ
木漏れ日を抜けて下方へ沈みたい
怖さに尻込みした夜の
怖さに涙した夜の
夢 ....
まだ幻になるには早すぎる夏
したたる汗を拭きながら
影を引きずってみる
昼下がり
気がつけば青信号は点滅し
横断歩道は白くアスファルトを削っている
そしてゆらりと
行き過ぎる ....
玄関の靴脱ぎ場で
わたしはあなたと話をしていた
あなたの欲しい不動産の話
わたしの欲しい不動産の話
玄関のドアは閉まっていた
肩にかけた鞄
夏の玄関は暑く隙間もない
わたしは不動産を ....
汗染みだらけの帽子を目深に被って
叩きつけるような陽射しの中
スーツ姿のサラリーマンの流れに逆らうように
足早に歩くあなたを見かけました
頬には汗が幾筋も流れ
まるで涙のように見えました
....
さみしいことを言わないで
抱きしめて
撫で撫でしてあげたくなるから
あまり甘えないで
おっぱいの間に抱き込んで
すりすり頬ずりしたくなるから
どうせいつか足蹴にして
行ってしまうくせに
私には保証書がない
雨は灰を帰すから
空が大地が、きらめいている
くやしい
鮮やかすぎる日中
それでも静かにお茶する。
珈琲の苦さが、じんわりと重みのなかを通過して沈み広がる
夏でも ....
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