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一 

仕事から帰ると 
僕の机の上に本の入った封筒が置かれていた 
裏に書かれた名前を見ると
{ルビ一昨日=おととい}「 周作クラブ 」の会場を探し歩く僕に * 1 
「 〜ホテルは何処 ....
米軍基地を見渡せる
緩やかな坂の中ほど
ぽつんと小さく咲いている
タンポポに目を奪われた

種を飛ばす少し前の
綿毛を湛えたその姿が
遠くのドックに停まっている
巡洋艦と重なっていた
 ....
薄曇りの空がからだを湿らせるだけの
ちっぽけな夜だから追いかけてみる

西の地平に月

最後に沈んだ
星の名を知らない、と
静かに胸に沈めた備忘録

    この体は赤道儀だ
   ....
老舗の焼き鳥屋には気の強い妻と
やたらに人のよさそうな爺さんが目尻を下げて
火鉢の上に並ぶ焼き鳥を丹念にまわしている

妻は若く 爺さんは見たとおり年老いて見えるが
本当は逆で 爺さんが若く ....
遠い
いつになく
ほそく笑む
青ざめている唇に
小指で すっと紅をさす
星は 、
籠の小鳥と目が合った
さみしい というわけではないけれど
痛むのはなぜ
こんなにも嬉しい朝なのに震え ....
長い髪を引かれた後に、残していった重さ
開いては閉じて、を繰り返す手のひらに
理由を隠す隙間なんて、どこにもないことに気付く


もうここにはないもの

空をかき混ぜた手
海から斜めに ....
傲慢なアロエが花開き
狼煙が上がれば
いけないものが
ひとつ ふたつ みっつ
投げ入れられた天然の業火によって
焼却され始める
炉の中で 
いけないものは
極上の白く澄んだ水晶の球に
 ....
光のくずは 
朝のなかをかがやく
屋根にならぶ
しずくの




雨の音は
あたたかな蒸気と きみを はこぶ
まどぎわにあそぶ
まだ 新しいひとみで
洗われてゆく 世界をみつ ....
いつかまた
離れていくのに
君は今度もその腕で
僕を抱きに来たんだね。

どこをさまよったのか
野良犬みたいな
疲れた
君のひとみ。

僕はだめな大人だから
君が小さく
ごめん ....
ありありと今日の空の雲が
まばゆいオレンジ散り散りに
何より 平凡な明け方に
おめでとう
退屈っていいことなのね


どこに自分がいるのか
分からないときって 多いけど
 ....
砂漠を飲み干したら
どこへ 誓う

朝焼けづけの
どこへ 誓う

菜の花と月と土の匂いと

共にいてくれる
夜の中

捨てたレール 滑走する
冷たい 黒い泉 あびて


 ....
夕暮れて
暮れなずみ

夕闇に
うちしずみ

静かに
   下がっていく
         温度
静かに
   暮れていくの
         音

あなたがノオトをめくる音 ....
ぼくは詩人

絵画は色の詩
詩は言葉の絵画

今日もまた

朝の散歩をしていると
画家に出会いました

のどかな風景を描写して
きれいに光の線が加わる

感心していると
ぼ ....
ボタンが取れて
心も取れた

はだけた世界に
乱れて飛んだ
あなたの思いは
月に溶けて

宙を舞う力なき手に
ただ一つ
霞だけでも掴めれば

わたしの思いも粉にして
あなた ....
日曜日の朝 
シャワーを浴び 
鏡の前で髪を整え 
{ルビ襖=ふすま}を開け
薄暗い部屋を出ると 
何者かが{ルビ袖=そで}を引っ張った 

振り返ると 
ハンガーに掛けられた 
高 ....
君が帰った Cafeの 空席に 
さっきまでノートに描いていた 
空へと届く望遠鏡の幻がぼんやり浮かんでいる 

別々に家路に着く 
君の切なさも 
僕の切なさも 
この Cafe に置 ....
幸せの真理はいまだによく解らない

蹴飛ばしてくるおなかを摩りながら

この夏母になる彼女はうれしそうで

生まれるのを 抗っているようだと

なんとなく感じてしまったあたしは ....
こんな晴れた日
野の緑はしなやかな腕を
天に向かって伸ばし
陽射しに仄かな生命を温めている

草むらをすり抜ける風は
蜜蜂の
しじみ蝶の
か細い肢に付いた花粉を
祈りに変えて
次の ....
風の声が聴きたかった 

新緑の並木道の向こうでは、
アスファルトに杖を落とした老人が{ルビ蹲=うずくま}っていた 

僕は見ていたに違いない、
何故彼がそうしていたのか一部始終を ....
叩く
ひとを叩く


大好きな彼女
君のこと好きだよ
と言わずに叩く


大切な母親
いつもありがとう
と言わずに叩く


可愛い我が子
よしよし
と言わずに叩く

 ....
久しぶりに良く晴れた朝
緩やかなカーブを描く坂道をゆく

気がつけば
坂の中腹あたりだろうか

どれくらい来たのだろう
振り返った後に
始まりはもう見えない
けれど確かな軌跡

 ....
飛砂を焼こうと
たどり着く海岸で
瞼を閉じたときに
ひらく{ルビ瞳=アイリス}

   あかいのは
   すべてが染まる音で
   あなたとの間には
   愛以外のなにかが潜んでいた
 ....
 

 

 月残る空 捨てられない孤高の魂 
 泳ぎきれないと溺れて沈むだけだ
 ボラの影 渡る橋
 横顔がやけに生える 夕日に
 俺が生まれる前から影は生まれていた
 時代遅 ....
ちわちわ
きみの髪は
自由な方角に
くるくる跳ねていて

すべての
春の出来事を
指差すような軽やかさ

PARCOに
君の春が咲く
パステルのロゴさえ
君の一部で

でさ ....
夕焼けに
うす紫に染まった
ほほにひとすじ
熱いものが流れて
小さな手のひらで顔をおおう
影が淡く
暗い血潮へ暮れてゆき

無器用な翼の
色調不明する鳴き声が、
空ろに響く
指の ....
そこは空き地だった
人影もない

空気の抜けたタイヤが積まれていた

交差点の信号機の
信号の変わる音がする

聞こえなかった声や
話さなかった言葉

みつかならないように
こ ....
知っているのに

知らない振りをする優しさや

わからないのに

解った振りをする優しさより

弱肉強食の今日

千尋の谷に突き落とすような

ライオンの優しさが

欲 ....
                       

子供がなにかを書いていると
先生がノートを取り上げて
大きな声で読み上げるので
水たまりの中には
どんな優しさも隠れられないよ

放課 ....
いつもほんの少しを数えたくて
それは真っ直ぐに見えない夜のために
道に帰れないその日のために
僕が、ほんの少しを数えたくて
出来るなら、そんな僕のことを
少しでも待っていてほしい、とか

 ....
許してくださいお星様
お花の欠片に銀のさじ
私の欠片が食いついた
モーツァルトのセレナーデ
美味しく戴く春の宵
銀の色したお月様
夜の夜中に目を開けて
お腹がすいたと
食べられた
食 ....
落合朱美さんの自由詩おすすめリスト(2390)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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10までを数えて- 霜天自由詩7+06-4-22
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